スマ学200のお題


57.俳句



「ハイクを詠め!」

――八月十九日、俳句の日。

「カイシャクしてやる」
「え、何それ」

朝から教室に猛スピードで駆け込みその勢いのまま指差すのはロイである。

「今日は俳句の日なんだよ」

遅れて入ってきたマルスが説明すると、ルーティはようやく理解した。

無茶振りが好きな連中の集まったクラスだ。きっと、俳句の日なんだから何か会話するのであればそれを俳句にして喋れとかそんなところなのだろう。

「あのねロイ。僕は普通に、喋るから」

さすがクラス中で優秀な成績をおさめているだけのことはある。即座にやらないと宣言しつつわざわざ五七五にまとめてきた辺りルーティも楽しんでいるようだ。

「……とか言って。ほんとは俳句、楽しんでねえ?」
「字余り」
「ぐっ」

ルーティはにやりと笑って更に追い討ち。

「もうすぐで。先生来るから席ついて」
「真ん中八文字!」
「おい黙れ。今のはセーフ、そうだよな?」

せっかくの指摘も突如現れたフォックスがロイの背後に回り込み、殺気。

「罰ゲーム。あるなら僕も、やろうかな?」
「ちょいタンマ! そういう遊びじゃ」
「――夏空に」

え?


「想いを馳せつ、また巡る」


沈黙。

「俺って……」
「ごめんなさいねうちの兄が」
「夏は終わるけど、秋は頑張ろうよ!」

頑張れ恋心。

妹に宥められるネロを、ルーティ達はいつまでも眺めていた。
 
 
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