スマ学200のお題


55.日焼け



「……はよっす」

すま組の教室に入ってきた人物に、居合わせた全員の空気が凍り付いた。

「は、……誰?」
「教室間違えてんじゃねーの」
「いや俺だよ! ネロだよ!」

これはまた随分と、清々しく日焼けをしてくれたものである。

それがこんがりといい具合に焼けてくれているだけなら未だしも、肌色と呼ぶには乏しい茶色に染まりきっているのだから何とも。

「昨日は海に行ってきたんだよー!」

続けて、ぴょんと跳ねて教室の入り口に登場したのはローナ。

「あれ?」

しかし日焼けが目立たない。

「入らなかったの?」
「まさか! ばっちし日焼けしてきたぞ!」

そう言ったローナが学ランの裾を持ち捲り上げて、ズボンもほんの少し下にずらし下着が見えてしまうのも構わず日焼けの痕を見せつけるのだからたまらない。

「っ、おいバカ!」
「やめさないな女の子がはしたない」

そして最後に注意を促しつつ入ってきたのは、シフォン。

「……あら」

当然、男子の注目も浴びて。流れを察し、その少女一枚上手で薄く笑み。

「確かめてみる?」


――夏とは、斯くも素晴らしい。


「なあルーティ今度海に」
「行かない」
 
 
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