スマ学200のお題
54.夏の風物詩
「風流ですわね……」
体育の時間。今日の種目は五十メートル走である。
男子が二人ずつ順に走ってくるのを、女子はゴール手前コースの外からタイムを計りつつ見守っている。その中で記録用紙を手に、呟いたのはゼルダだった。
「……何が」
タイマーを手にしているサムスは一切振り向かずに問う。
「夏日を駆ける男子の全てです!」
「そう。貴方って本当ピーチに似てきたわね」
きらきらと瞳を輝かせるゼルダに対し、サムスは冷静に淡々とした口調で返してタイマーを止める。たったいまゴールラインを走り抜けていったトゥーンとピットは速度を緩めて立ち止まると、息を弾ませながら両膝に手を付いて。
ああ、何となく分かる。サムスはちらりと視線を向けた。
小鼻に滲んだ汗を拭う為に体操着の胸元を掴み、引き上げて拭う。その際、露となる肌色の面積が汗を滲ませて色めく。
うっすら浮き出た筋肉の質感、腰のライン、へその窪み――
「見ましたか?」
ぎくり。サムスはタイマーにさっと視線を映す。
「……授業中よ」
「もうっ、意地を張らないでください!」
怒るゼルダにサムスは「はいはい」と適当にあしらって。……
「……黒とピンク、かぁ」
ドンキーは遠目に呟いてにやり。
「夏の風物詩ゆうたらやっぱ透けブラやろ。なぁマルス?」
「それ、僕に聞かないでくれるかい」
マルスは小さく溜め息。