スマ学200のお題
50.お土産
久々の家族旅行に行ってきた。
大した所じゃなかったけどそれなりに楽しめたし、そこでしか買えないお土産なんかも買ってみた。クラスメイトには菓子類を買ってきたけど……
「……お土産?」
放課後。ターゲットのそいつが教室を出たタイミングで声をかける。カイマンはぴたりと立ち止まり、振り返ると怪訝そうに視線を返した。
「あのクッキーみたいなやつなら食べたっスよ」
「そ、そっちじゃなくて!」
先程から両手を後ろに回してもじもじとしているのはスリッピーである。
言え。言ってしまえ。スリッピーは大きく息を吸い込んでそれをゆっくり吐き出したところで、目の前まで接近し、手のひらサイズの小包を胸に押し付けた。
「……え」
「や、やるっ!」
何をそんなに。カイマンは小包を受け取ると、早速その場で紐を解いた。
出てきたのは小さな石。それもただの石というわけにはいかなくて、橙色なのだが半透明、磨き上げられているのか表面はつるつるで綺麗なものだった。
「パワーストーン。……中身、ランダムだからさ」
金運上昇。一緒に入っていた紙にはそう書かれていた。
「どうせなら恋愛運とかのがよかったんスけど」
「い、嫌なら返せっ!」
「駄目っスよ」
スリッピーが手を伸ばせば、カイマンはひょいと躱して。
「……でも、ご利益ありそうっスね」
カイマンはくすっと笑う。
「普段よりバイト頑張れるかも」
本当はペアのストラップでもいいかなって思ったけど。
「それでお金が貯まったら旅行にでも連れてけよな」
「新婚旅行っスか。駄目っスよまだ学生なのに」
「難聴かよ!」
それはまあ、次の機会にでも。
「外すなよパンサー」
「レオンこそ」
「こらそこ、銃を仕舞いなさい」