スマ学200のお題
48.強制
二月二十二日。――今日は猫の日。
「……、」
嫌がらせ。
朝、教室に入ってきたウルフが自分の机の上を見てみると、付けてくださいとばかりに猫耳付きカチューシャが置かれていた。ご丁寧にも色は髪と同じく灰色。
「あ、ウルフ。おはよう」
ぴょこん。反射的に顔を背けてしまった。やって来たルーティは、何故か猫耳付きカチューシャを付けていたのである。肝心の猫耳も、髪の色に合わせて黄色。
「……それ」
「ああ、これ? 今日は猫の日だからって校長先生が作ったんだって」
どうやらこの嫌がらせは単に自分にだけ向けられたものではないらしい。
周りを見てみればルーティだけじゃない、マルスやロイ、あのクッパでさえ律儀にも猫耳付きカチューシャを付けているのである。うちの校長の思いつきとはいえ、揃いも揃ってこうも付き合うか。ウルフは呆れて小さく息を吐き出す。
「付けないのか?」
ひょいと顔を覗き込んできたフォックスは、元々狐の耳が生えているので訳の分からないことになっている。ウルフは椅子を引くと腰掛けながら、
「んなくだらねえもん付けてたまるか」
「今日一日付けとかないと単位落とされるんだぞぅ!」
元気よく口を挟んできたのはローナ。って強制かよ。
「知ったことか。その分取り返せばいい話だろ」
「簡単に言うんだね……」
と、その時。ガラッと教室の戸が開いて沈黙。
「席につけ」
あんたもかい!
「出席をとるぞ」
まさか、教師まで猫耳付きカチューシャを強制させられていたとは。
ただの娯楽にそこまでするか。ガノンドロフが早速名前を呼んで出席の確認をする中、ウルフは用意されていた猫耳付きカチューシャをそっと頭に被せた。