スマ学200のお題
47.口癖
「おはよーカイマン! てへぺろ!」
教室に入って数秒と経たない内にカイマンはぴしっと固まって。
「……ああ、おはよっス」
「今日の英語はファルコン先生が休みだから自習だってさー。てへぺろ!」
「ごめん、そろそろ突っ込んでいいっスか」
こつんと軽く握った拳で自分の頭を小突いてウインク、ぺろりと舌を出して星を二つ三つ飛ばすその仕草は何処かで見たことがある。実際に目の当たりにすると、どんなに好意を持っていようが多少なりともイラっとするものがあるな……
「特徴的な口癖だろ? てへぺろ!」
「殺意を好意に変換する機能は現在取り扱っておりません」
「ちえっ、なんだよー」
どうやら変わった口癖を使うことで、一人称や喋り方とは違う特徴を自分に持たせようとしたらしい。某ゲームとは何ら関わりはありません、あしからず。
「そうだ。実は他の人でも試したんだー」
「巻き込んだって言うんスよ、それ」
「うっさいなあ、もう!」
というわけで。
「一時限目の数学の宿題はやったのか? キリッ」
パンサーの口癖うぜえ。
「俺はそこの蛙さんにやれって言われただけだからな。キリッ」
カイマンがあからさまに嫌そうな顔をして見つめていると、パンサーはふっと笑って赤い薔薇を向けた。成る程、心なしか殴りたい衝動に駆られる。
「この言い知れない感情は何っスかね」
「恋かな。キリッ」
続けて、レオンの場合。
「この連立方程式が解けないだと? 授業を真面目に受けないからだ、クズ」
レオンの口癖うぜえ。
「どうした、クズ。震えているぞ、クズ」
「……普通が一番っスよ、スリッピー」
「ちょ、机持ち上げないで!」
口癖を付けずとも特徴たっぷりの集団。それが星組。