スマ学200のお題


44.本物



昼休み。ここはダー組の教室。

「ヤンデレが分からな」
「それ前にも聞いたよなぁ?」

昼食の弁当を口にしながらダークトゥーンが言い切るよりも先に、ダークリンクは牛乳パックを握り潰した。まあ、中身は既に空っぽなわけだが。

「幾つか話挟めば使い回しでも誤魔化せると思ってんじゃねーぞコラ」
「それちょっと違うんじゃね?」

威圧するダークリンクにすかさず突っ込むのはダークフォックス。

「あれの結論は単なる病気。よって解決はしていないはず」
「まー確かに」
「……ちっ」

ダークリンクは椅子に座り直す。

「病んでるんだから病気でも同じようなもんだろ……」
「おや、そんな顔をして。何を話してるんです?」

現れたのはダークファルコだった。その手に持っているのは弁当……ということはわざわざ場所を変えて食事をするというわけか。

「別に……」
「珍しいじゃん。彼女と飯でも食うの?」
「ええ。そうですよ」


ん?


「おっおま……彼女とかいたのかよ」
「いいえ。厳密には“まだ”そういう関係ではありません」

疑問符が飛び交う中、ダークファルコは続ける。

「……思うだけならタダでしょう?」

そう言って、にっこり。

「でも……不思議ですよね。そう思い込んでるだけなのに、彼に近付く人間を誰一人許せなくなってしまうんです。俺のモノなのに、って……でも、これはいずれ実現することですから。――間違ってなんかないでしょう?」

その場の空気が凍り付いた。ダークファルコはふと時計を見て、

「あ、待たせては悪いので行きますね」

小走りで教室を出ていくダークファルコ。

「っべーわあれ本物だ」
「本物だな……」
「成る程」
 
 
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