スマ学200のお題
39.十一月
休み時間。ここは星組の教室。
「ねえ、クリスタル」
スリッピーは教科書やノートを次の授業のものと入れ替えながら前の席のクリスタルに声をかけて。クリスタルは怪訝そうに振り返る。
「なぁに?」
「十一月って何かあったっけ?」
そういえば。十月は文化祭やハロウィン、十二月はクリスマスに大晦日といったイベントがあるのに対し、十一月はこれといってぱっと思いつかない。
「そうねぇ……」
「一日が犬の日じゃなかったか?」
口を挟んできたのはビル。
「えー、それもう過ぎてんじゃん」
「間に合っていたとして、期待はしないぞ。スリッピー」
彼なら首輪やリードで弄びそうだ。
「月の初めだし、前日がハロウィンだから気付きにくいわよね」
「プッキーの日が十一日にあるッスよ」
「それってどう祝うのさ」
スリッピーの隣の席のカイマンが言うが、ばっさり。
「あーもう! 何かないのかなぁ!」
「別にいいじゃないの。分からない人ねえ」
クリスタルは苦笑いを浮かべる。
「イベントがないとか苛々の対象なんだよ! 大体、犬の日もプッキーの日も同じ一を並べただけなら一月で補えるし」
「そういえば。確かに、否定はできないッスね」
納得したのが尽き。スリッピーは机の上に頬杖を付く。
「十一月って、いる?」
何かとんでもないこと言ってる!?
「抹消しようか、十一月」
「十一月生まれの人に謝りなさい」
イベントで生きる男、スリッピー。