スマ学200のお題


38.いらいら



世の中には、広大な海の如く心の広い人間がいる。

「なーなー」

次は理科の授業。実験をするらしいので、移動教室だ。

「ちょっとええか?」

教科書やノートを手に、廊下を歩いていたリオンに声をかけたのはドンキーだった。前を歩いていたリオンは立ち止まると、振り返って。

「聞きたいことあんねけど」
「なんだかんだで正常位が一番好きです」
「うん。違うわボケ」
「鋭い突っ込み……癖になりそう……っ」

安定して気持ち悪い。頬を染めて胸に手を添えるリオンにドンキーは呆れて言葉を失っていたが、はっと我に返ると本題に入るべく、咳払いをして。

「あんた、苛々したことってない?」
「あ、それボクも気になる!」

ひょいと首を突っ込んできたのはピット。

「ゆうとくけど、嫉妬とかノーカウントやで」

リオンはうーんと唸って、腕を組んだ。

「……あるぞ」
「おおっ!」
「ほんでどないやったん?」

二人は興味深そうに詰め寄っていく。

「伏せ字だ」


えっ?


「分かりやすいものほど腹立たしい……何故、伏せるのか」

リオンはぐっと拳を握って。

「文字萌えが許されるのはゲムヲ殿だけだ!」
「なんかとんでもないこと言いだした!?」
「フォックス殿の字も可愛いので好きです」
「聞こえてるぞ」

端から聞いていたフォックスは溜め息。

「あれってそういう焦らしプレイじゃなかったの?」
「ピット殿……! く、私としたことが盲点だった……」

不意にリオンは振り返って、にこり。

「それで、何の話だったか?」
「あんた幸せそうやな」
 
 
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