スマ学200のお題
26.成長
「ルーティ!」
朝。すま組の教室、登校してきて早々にルーティはフォックスに抱き付かれた。
「お、おは」
「何処にも行かないでくれ!」
出会い頭に何を言うのか。
何か誰かに吹き込まれたな、とルーティが視線を送るも、皆が揃って目を逸らす。
「……どうしたの?」
ルーティが胸に手を添え、そっと押し返すとフォックスは大袈裟に鼻を啜って。
「ルーティだって、成長するんだろ?」
「えっ」
「そしたら、俺よりもかっこよくなって」
フォックスは背を向け、頭を抱える。
「いつか可愛い彼女も出来て、式場なんか決めちゃって、それから、それから」
「ちょ、」
「ルゥゥティイイ!」
そして振り向き、抱き締める。
「成長なんかしないでくれええ!」
――僕の心配をするよりも。
「変わらないね」
「へ?」
自分の心配をした方がいいと思う。