スマ学200のお題


22.鬼畜



ここは、星組の教室。

「きゃっ」

雨の日というのは、こういう窓の縁でもたまにナメクジがいたりするから困りものである。ちょうど窓を開けようとしたクリスタルは、小さく悲鳴を上げて。

「これはこれは。クリスタル、お困りのようなら私が君の助けになろう」

薔薇を片手に素早く駆け付けるパンサー。

「パンサー……、じゃあ塩持ってきて」
「えっ」

クリスタルが指差すので、見てみればナメクジがこんにちは。特別苦手というわけでもないが、パンサーは思わず身を引いて。

「何をしている。早く塩を持ってこい」

いつの間にか、隣でレオンがじっとナメクジを見つめている。塩をかけられ、悶え苦しむ姿を早く拝みたいというわけか。

「……そういえば」

パンサーは思い出したように。

「水でもナメクジは退治出来るらしいよ」
「あら。本当?」

クリスタルは首を傾げる。

「塩をかけるとナメクジは粘液だかが濃くなって死ぬらしいけど、逆に水をかけると粘液だかが薄まって死ぬとか何とか」
「ほう」

いつの間にかレオンは水筒を構え、ナメクジに水をプレゼント。一方のナメクジは苦しみもがくこともなく、昇天。

「あら、本当だったの」
「ふ……惚れ直したかい? クリスタ」
「つまらん」

レオンは、ぽつり。

「塩をかけた方がまだ面白かったぞ」

……あんたって人は。
 
 
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