スマ学200のお題
20.百合
昼休み。ここはすま組の教室。
「あ、にぃにだ」
今日も昼食を終えてから妹のピチカの様子を見に現れたスピカは、プッキーという長細い棒状で大部分にチョコのかかったお菓子を持さ……え? 名前が違う?
何言ってるんですか。今までもこれからも、このお菓子の商品名はプッキーですよ。
「一本ちょーだい」
「ん。いくらでもどーぞ」
全く。妹のピチカの前となるとすぐこれだ。でれでれしながら箱を差し出すスピカに、ルーティは悪戯心を擽られて。
「僕も一本もーらいっ」
「あ、こら」
席を立ち、スピカの後ろから手を伸ばしてプッキーを奪う。スピカが振り向いたところで、ルーティはプッキーを口に銜え、
「ん」
食べる? と、差し出す。
「……ぁ、阿呆か!」
「んー」
「よ、せって、ばかっ」
瞼を閉じ、それらしく詰め寄るルーティに、スピカは頬を染めてたじたじに。
「っ、の」
結局は押し負かされて、反対側を口に銜える。少しずつ、かじって距離を詰めていく様子に、付き添いのダークウルフは。
「びーえる、というやつか?」
「いいえ。あれは百合よ。百合だわ」
鼻血を垂らしながら答えるピーチに、ダークウルフは静かにハンカチを差し出した。