スマ学200のお題


19.嘘



放課後。

「愚かな奴め。天気予報を見ないからだ」

突然降り出した雨にリオンが下駄箱の前で困り果てていると、ちょうど部活を終えたらしいユウが下駄箱に現れて。

「ユウは持ってきているのか」
「当たり前だ」
「ありがとうございます」
「誰が入れてやると言った」


――とは言いつつも。


「リオン。もう少し寄れ」
「み、密着を許すというのか……!」
「逆だ。離れろ」

結局、帰り道がリオンと同じ方向だからという理由で、ユウは自分の傘の中に彼を入れて歩いていた。雨音が周りの音を掻き消し、自分の心臓の音が聞こえる。

ちらり、横目に捉えると目が合った。慌てて逸らしたが、不自然じゃなかっただろうか……ユウは頬に微かな熱を感じて。

「お、珍しいじゃん」

と、ここでロイとマルスの二人と鉢合わせ。どうやら本屋に寄っていたらしい。

「相合い傘かよ。やるねぇ」
「ロイ殿、そんな……照れるではないか」
「楽しそうだね。でも、ユウ」

マルスは小首を傾げながら。

「今日、雨合羽持ってきてなかった?」

次の瞬間、ユウの瞳が金色に煌めいた。
 
 
19/146ページ
スキ