スマ学200のお題
153.馬鹿
──四月一日。
今日この日は知る人ぞ知る例の"あの日"。
「別名、万愚節」
これは嘘ではなく本当の豆知識。
「バングセツ?」
「万人が愚かな嘘をついてもいい日という事だ」
「へーえ」
時刻はもう既に日の沈む頃。
「その見た目で知識語るの解釈違いなんだけど」
「お前こそ口調をどうにかしたらどうだ」
「兄さんに言われたくない」
「ごめんね♡ 賢くて♡」
「うわキショ解釈違いに解釈違い上書きしないで」
「校長先生! 教頭先生!」
何事かと思えば。
「おや」
夕暮れの廊下で鉢合わせたのは個性派揃いのクラスすま組の無意識ムードメーカー枠ルーティと過保護者フォックス。その彼の相棒兼恋人のファルコ。
「いつまで校舎に残ってんだよ」
クレイジーは眉を寄せて腰に手を当てる。
「俺たち今部活が終わったんです」
フォックスの説明に、元々疑って掛かっていたわけでもないがマスターとクレイジーは納得した。
「言われなくても帰るところだっての」
「、ファルコ」
此方も喧嘩を売っているつもりはないのだろうがこれに関しては悪癖といったところか。顔を顰めながらこの状況において不必要な発言をするファルコをすかさずフォックスが名前を呼んで諭す。
「あはは」
ルーティは苦笑いを浮かべて。
「じゃあ僕たちはこれで」
改めて向き直る。
「さようなら。マスター先生」
あれ?
「クレイジー先生も」
「逆だろ逆」
ファルコは訝しげに指摘した。
「え?」
「お前校長に挨拶しながら教頭の方向いてたぞ」
「あ、あれっ?」
対するマスターとクレイジーは黙っている。
「すみません!」
ルーティは慌てて頭を下げた。
「そりゃどっちがどっちでもいいけどよ」
「よ……良くはないよ」
「とにかく俺たちもう行きます」
フォックスは乾いた笑みを浮かべながら。
「校長先生、教頭先生。さようなら」
……足音が遠ざかる。
「ねぇ兄さん」
ぽつりと。
「今のってノーカン?」
「本人が気付いてないならノーカンだ」
「だよね」
揃いも揃って。
深く長い息を吐き出しつつ。
「バレたのかと思った」
「……だな」
エイプリルフールという今日この日に。
中身(魂)を入れ替わって遊んでいたなんて。
「僕そんなに似てないかなー」
「あれは父親譲りの何とやらだな」
「勘弁してよ」
果たしてこの動悸は。
心臓に悪かったからなのかそれとも。
「……僕たち馬鹿みたいじゃん」
「そういう日だからな」
「ほんと最悪」
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