スマ学200のお題


146.紳士



キーンコーンカーンコーン。

「今日の授業はここまで」

すま組の教室。

「予習復習忘れずに」
「はぁーい」
「明日は小テストをするからね」
「えー!」

予想通りのブーイングに小さく笑いながら理科の授業を終えたルイージは教材を纏めると軽く手を振って退室。次の授業は地理──ピチカは早くも周りが休み時間さながらの賑わいを見せる中、密かに溜め息を吐き出して立ち上がった。

次の授業が嫌というわけではない。

でも、黒板を綺麗にしなきゃいけないでしょ?


それが日直としての仕事だと言っても。

もう少し相手がまともだったらな……


「──白だな」
「ぴゃっ」

だってだってだって!

「リオンのばかー!」


変態さんが日直のパートナーなんて!


「ピンクのリボンが愛らしいな!」
「やだやだやだ! 口に出さないでよう!」

心の声が読めるんだか視えるんだかって能力のお陰で絶賛からかわれてる僕だけど……透視までできるなんて反則すぎるよー!

「うぅ……にぃにに言い付けてやる……っ」

対抗すべく構えた黒板消しをぶつけたところでご褒美にしかならないのは目に見えている。むぅ、と膨れっ面になりながらも諦めてふいと顔を背けて仕事開始。黒板の文字を消していく。

「……ピチカ殿。高い所は私が」
「いーのっ! 届くもん!」

せっかくの気遣いもぷいと更にそっぽを向いて高い位置の文字を消すべく背伸びする。

「……んぐ、」

これがなかなか届かないのでむきになってしまう。これでもか、とばかりにぴょんぴょんと飛び跳ねて文字を消すべく奮闘していれば。

「ぅきゃんっ!?」


さわ、と。

スカートの裾と太腿を柔らかく触れたのは。


「へんたいっ!」

ピチカはスカートを押さえながらばっと振り返る。睨みつけた先には尻尾を揺らすリオン。

「もーっ! 仕事してよ!」
「心得ているとも」

尻尾で触るなんて油断も隙もないんだから──!


「……今の見た?」
「見た見た」

頬杖を付きながらロイと話すのはカービィ。

「よくやるよねぇ」


別に特別見たいとも思わないけど。

下着が見えないように尻尾で隠すなんて──


「なになに、何の話だいっ?」

話に割り込んできたのはローナである。

「あそこにいる紳士に惚れるかもって話」
「えーあの変態にぃ? ないない!」

顔の前で手を振り残当な反応。

「だってさ」

カービィは聞こえるようにわざとらしく。

「普段のスタイルが変態でよかったねえ」
「五月蝿い」

程なく消しゴムが飛んできた。
 
 
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