スマ学200のお題
145.熱中症
休み時間。すま組の教室。
「ねぇルーティ」
呼ぶ声に次の授業の教科書やノートを準備していた手を止めて怪訝そうに振り返れば。
「"熱中症"ってゆっくり言ってみて」
夏といえば。
「色っぽく上目遣いで」
分かりやすすぎる。
「絶対に言わない」
「えー」
案の定じっとりとした目付きで断固拒否を決め込むルーティにカービィは唇を尖らせる。
「何故だ! ルーティ殿!」
出た。
「せっかく極秘ルートで仕入れた超高性能小型盗聴器を三日も前からセットしていたというのに!」
犯罪なんだよなあ。
「分かったルーティお手本が見たいんでしょ」
「お手本はいいから何処に盗聴器仕掛けたの」
「むっ! そういうことなら任せてくれ!」
話を聞いちゃいない。
「……ユウ!」
リオンは読書に勤しんでいたユウに詰め寄る。
「キスをしよう!」
ツッコミが追い付かない。
「なんか違うよね?」
「最終的な目的が合ってればいいんじゃん?」
ユウは静かに本を閉じる。いつもの足蹴制裁を期待して尻尾を振り回すリオンをじろりと見上げて本を置いたかと思えば胸ぐらを掴んで。
「っえ」
引き寄せてからの──キス。
「駄犬が。貴様は休み時間となると騒ぎ立てるのに夢中になりすぎだ」
ユウは手荒く解放して吐き捨てる。
「水分補給を怠るな。熱中症になりたいのか」
よく見てみれば彼の机の上には水筒が。
どうやら水を口移ししたようで。
「生唾ドリンクありがとうございます!」
「気色の悪い言い回しをするな」
「おかわりも是非!」
「自分で飲め」
僕たちは一体何を見せられてるんだろう……
「口の中が粘つくのは脱水症状のサイン! 涼しい室内でも水分補給はこまめに! 僕たちスマッシュブラザーズとの約束だよ!」
「誰に向かって話してるの」
ツッコミでのぼせそうなボケ比率。
熱中症の原因はここにあるのかもしれない。