スマ学200のお題


144.本能



朝。

「おはよーさん!」

登校時間。一人で歩いていたマックの後ろ姿を見つけて駆け寄ってくるなり背中を思い切り叩いて挨拶したのはラッシュだった。

「お前、俺じゃなきゃブッ飛んでたぞ」
「悪ィ悪ィ……ランニングは?」
「ドックの奴、腰をやりやがってな」
「そらいけねェや。大事に言っといてくれや」

何の変哲もない朝の風景。


「おはようっ!」


風を切る勢いで横切り向かって正面を歩いていた男子生徒に元気よく飛び付いたのは。

「朝から大きな声を出すな」
「はぁん……今日も今日とて氷点下以下の視線に股間クリティカル待ったなし……!」

ユウの腕に抱きついてはお馴染みデレ顔で腰をくねらせご満悦の様子でリオンは尻尾をブンブン。やれやれ朝からご苦労なこった等とマックが息を吐き出して何気なく隣に視線を移せば。

「……ラッシュ?」

なんか、目で追ってないか?

「引っ付くな暑苦しい」
「当てているんです」
「当たるもの持ってないだろう」
「もう少し下に……びゃんっ!?」


あっ。


「ラッシュ……」

瞳孔を開いて尻尾を鷲掴み。

そういえば、そうだった。形がクソデカいお陰で忘れてたけどこいつ猫科なんだった……

「?……いけねッ!」

我に返ったラッシュが慌てて手を離す。

「すまねえッ! 大丈夫かい!?」
「朝からそんな……すごく、よかったです……」
「そ、そんならいいけどよ……?」

どちらも犬猫の本能というやつなら仕方ない。

「……で」

刺さる視線に耐えかねて呆れたように。

「なんで俺を睨むんだ。俺を」
「……別に」
 
 
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