スマ学200のお題


143.距離感



朝。すま組の教室。

「おはよー!」

元気な挨拶で戸を開いたのはピチカ。

「あらおはよう」
「はよっす」
「おはようじょー!」

一緒に登校してきたリムも「おはよう」と返しながら自分の席に着いたが既に目の前の席に座って読書をしている人物を目にあることに気付く。

「ちょっと、ユウ」
「なんだ」
「髪がほつれてるわよ」

リムが指しているのは後ろ髪の三つ編みのことである。けれどユウは気に留めていない様子で、

「知らん」
「もー……勝手に直しちゃうからね」
「好きにしろ」


休み時間。移動教室。

「ひぎぅっ」

ユウが妙な声を上げたのも無理もない。

「ほっそいわねぇ……ちゃんと食べてる?」
「急に後ろから腰を掴むな!」
「掴みやすい方が悪いんじゃない」

と。まあこういうことで。

「はっ……貴様には縁がない話だろうな」
「ちょっとそれどういう意味よ!」
「えーなになに夫婦喧嘩?」
「誰がッ!」


……うん。


「近すぎねぇか?」

背後で闘志を燃やす男、ネロ。

「そりゃまあ幼馴染みですしおすし」
「お寿司食べたいわねえ」
「にしたって近すぎだろあいつら!」
「……ネロ殿」

ぽんと肩を叩いたリオン。

「寝取りなら受けて立つぞ!」
「そっちじゃねえんだよ!」

危機感を覚える気持ちも分からなくはないが。

「そんなに言うなら告白すればいいのに」
「んねぇー」

一体いつになることやら。口々に話すシフォンとローナの横でレッドは小さく溜め息を吐いた。
 
 
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