スマ学200のお題
140.遅刻
この学園には頭脳明晰であったり運動能力に長けていたりと様々なスペシャリストが存在しているが全てにおいてともなればある程度は絞られてくる。その中で完璧といえば、といった質問を投げかけられた際真っ先に挙げられるであろう生徒は八割程度一致することだろう。
「あれ?」
エス組の教室。
「おはよう」
「お……はよう」
朝の校門前での挨拶運動を終えて教室の扉を開いたマークはきょとんとした。気付いたシュルクが挨拶をするもマークは何だか腑に落ちない様子で歩を進めて自分の席へ。
「珍しくない?」
言うより早くパックマンが口にした。
「会長が来てないの」
やっぱり。
「まさかとは思うけど休みかしら」
「会長さんせっかく皆勤賞だったのに……」
たちの悪いウイルスにでも付き纏われているのか否か。兎角デイジーの横でしずえが残念そうに話した通り彼の出席記録はここで打ち止めになったというわけだ。パックマンは頬杖を付く。
「別にいいじゃん……あんな堅物、たまに居ないくらいがちょうどいいんだって──」
次の瞬間。
「うわあああああっ!」
遠く他の生徒の叫ぶ声が聞こえて。
「……?」
疑問符を散らしていれば。
ガシャンガシャンパリーンッ!
「きゃあああっ!?」
「な、何!?」
椅子を返して飛び上がったり立ち上がったり。窓硝子は割れるわ戸は吹き飛ぶわ何がどうなっているんだと騒いでいれば立ち込めた煙の中から煤けた腕が伸びて戸を失った枠に掴まった。そうして現れた人物は咳き込みながら。
「久しぶりに……全力で走ったな……」
お前かよ!
「……これは」
遅れてやって来た担任のベレトが困惑しているとロックマンは満面の笑顔で。
「おはようございます」
「お……おはよう」
キラキラのエフェクトが眩しい。
「な、何をどうすればあんなことになるんだい」
「俺はロボットだからな」
口角をひくひくと震わせるマークにロックマンは埃を払いながら何食わぬ顔で。
「最大出力で走ったらああなった」
「もう二度と遅刻しないでくれ」
ロックマンの遅刻は後にも先にもこの限りだったのだとか何とか。