スマ学200のお題
134.田舎者
「あ」
窓を開けたルーティはぽつりと呟いた。
「雨の匂い」
「えっ?」
休み時間。すま組の教室。
「何だよそれ」
ロイは怪訝そうに見つめる。
「そのままの意味だよ」
「ほんとだ!」
話を聞き付けたピチカがルーティの隣に並んで窓の縁に手を置いて頭を覗かせながらすぅっと空気を鼻から吸い込んで匂いを感じ取り、発言するとロイはますます眉を寄せて。
「でも天気予報はただの曇りって」
「絶対この後雨降るよ!」
「田舎者じゃん」
カービィが口を挟んだ。
「あれって植物が土壌に発する油分で雨が降る直前に湿度が高くなると鉄分と反応して匂いがするらしいよ」
豆知識。
「つまり田舎者にしか分かんないの」
「むむむむ……!」
「──今回発生する雨は都心部よりやや南寄りに小一時間かけて降り注ぎ、雷も伴う」
今度口を挟んだのは近くの席で一行には視線を寄越さないまま読書をしていたユウだった。
「ここら一帯はその影響を受けない。五時限目の体育は通常通りグラウンドを使うだろうな」
「流石ど田舎なんちゃって都市出身者」
カービィのすぐ真横を音速で鉛筆が横切った。
「すっごーい! そこまで分かるの!?」
感激するピチカにルーティは苦笑いしながら。
「ただの未来予知だよ」