スマ学200のお題
132.鶴の一声
健康診断。
それは定期的に行われる必要義務である。
「はぁああっ!?」
エス組教室。昼休み。
「お前ミカゲっ……食べなさすぎ!」
お叱りを飛ばすのはパックマンである。仲良く弁当をつついているものかと思えばどうやら四時限目の健康診断のミカゲの結果を見て憤りを感じている様子──それもそのはず二人は身長も十センチ以上離れているのにも関わらず体重がほとんど変わらなかったのである。
「マックにも言ってほしいで御座る」
「いや俺はボクサーだしな」
菓子パンと牛乳が昼食のお供など年頃男子ではとても足りるとは思えないラインナップ。これには流石のマックも苦言。
「もう少し食べた方がいいと思うぞ」
「……だって」
ミカゲはわなわなと震えながら。
「ガチャとかイベントとかその他諸々支出あるのに食費にまで手が回らなくないですか!?」
「お前オタ活やめろって」
良くない傾向である。
「ミカゲ」
と──現れたのはジョーカー。手招きをするので不思議そうに席を立って近付けば。
「!?」
ひょいと。
まさかのお姫様抱っこ。
「ほぎゃあああ!?」
ジョーカーは声を上げるミカゲに構わずぽつり。
「軽すぎる。ちゃんと食べてくれ」
ヴッ!
「は、はひ……」
男心折られる公開処刑。
「いいなーパックマンもされてみたい」
「されてみたらいい」
以降ミカゲがしっかりと食べるようになったのは言うまでもない話。