スマ学200のお題
131.隙
六月六日。おあつらえ向きに雨。
「言われる前に言っておくからね!」
朝──カイマンと隣り合って傘を差して登校していたスリッピーは唐突に。
「今日が蛙の日だからってオイラ別に特別な事は何もしないからな!」
蛙の日。
「え」
対するカイマンはいつもと変わらぬ調子で。
「何で今日が蛙の日なんスか?」
「こっちが聞きたいよ!?」
蛙の鳴き声の語呂合わせだそうです。
「そもそも興味なかったのかよ」
こいつのことだから今日が蛙の日だからとか何とか適当な理由を付けて変に突っ込んでくるかと思い敢えて自分から話を振る作戦に出たのに結果はこれである。不完全燃焼というか何というか駆け引きに乗せられている気がして気に食わない。
「んー、興味ないっていうか」
カイマンは正面に向き直りながら。
「興味あるのは蛙じゃなくてスリッピーだし」
……はい?
「スリッピーの日なら興味あるっスよ」
そう言った後で気付いたように。
「あーでもそれじゃ誕生日と一緒かぁ」
カイマンは振り向く。
「そういえば誕生日いつだっけ、って」
ようやく異変に気付いて。
「……何赤くなってるんスか」
「うるさいっバカイマン!」
隙を与えたのが悪い。