スマ学200のお題


130.リア充



突然ですが。

皆さんはリア充ですか。非リア充ですか。


自分は。


「春が憎いッッッ!」

テーブルを叩いて突っ伏すのはミカゲである。

「どうしたのだ同胞」
「くぅ……っ下駄箱にいじらしく手紙が添えられていたかと思えば宛名は当然のように違うし休み時間に他のクラスの女子に呼び出されたかと思えば伝言を頼まれ、昼休みに弁当を食すべく屋上へ赴けば見渡す限りのペアペアペア!」

うっうっ、と肩を震わせるミカゲの肩を側にいた男子生徒が強く掴んだ。分かる、分かるぞとばかりに頷き周辺にいた他の生徒も深く頷いて賛同する異様な空気──遅れて説明するがここはPCルーム。放課後のこの時間、パソコン部であるミカゲはこの場所に訪れて早々に今日起きた出来事を悲劇的に嘆いていたのである。

「心のオアシスが欲しい……」
「同胞、であれば今月発売された──」
「ミカゲ先輩、お友達が来ています」

女子生徒が言うとミカゲは顔を上げた。

「、……ルフレ?」

珍しい。ミカゲは立ち上がると入り口で待機する彼女の元へ。

「どうしたで御座るか?」
「兄さんがこれよかったら部活の皆とって」

差し出されたのは洋菓子の詰め合わせ。

「私からじゃないわよ。勘違いしないで」
「そ、それはもう十二分に」
「ミカゲ」

続けて現れたのはジョーカーである。

「部活は何時に終わる?」
「五時には……」
「ならその時間に迎えにいく」
「あ、はい」
「おーいミカゲ!」

次々とやって来る。

「パックマン?」
「お前今度から朝このスタイリング剤使って」
「な、何故」
「みっともないからに決まってんだろ!」
「拙者はお洒落とは無縁が故」
「使い方分からないなら私が教えるわよ」
「いや、」
「じゃあミカゲ。また後で」
「あっはい」

そのやりとりを見ていたパソコン部一同。


どう見てもリア充じゃねえか。


……当然、本人に自覚はない。
 
 
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