スマ学200のお題
127.パスコード
「何をしているので御座るか?」
「きゃあっ!」
放課後。生徒会室前。
「驚かさないで!」
「死角でも何でもなかったよ」
シュルクが言うとルフレは膨れっ面で脳天手刀。
「いたっ!」
「兄さんの端末を預かっているの」
ルフレは聞かれるよりも先に端末を差し出す。
「パスコードが分からなくて」
生徒会の副会長を務めているルフレの双子の兄マークもまさか自分が生徒会の会議を行う為に一時的に預けた端末のパスコードを寄って集って探られているものとは思いもしなかったことだろう。ミカゲが端末を受け取ると、
「適当な番号は入力しないで!」
ルフレは慌てたように。
「何度か間違えているの」
「間違えた番号は?」
「誕生日じゃなかったわ」
「ファイアーエムブレム覚醒の発売日も違った」
「……記念日は」
シュルクは首を横に振って。
「僕の誕生日でもなかったよ」
「それは流石に自意識過剰で御座るな」
「ミカゲ?」
咳払いをして気を取り直す。
「クロムと会った日付を入れてなかったわ」
「た、試すの?」
「可能性としてはなくはないもの。駄目なの?」
「駄目じゃないけど……」
やり取りを傍目に。
ミカゲは無言で数字を打ち込む。
「あ」
合ってた。
「えええ何何どうして!?」
ルフレはミカゲに突撃して覗き込む。
「よく分かったわね!?」
「いや、……」
ミカゲは横目でシュルクをちらりと見て。
「二人の出席番号で御座る」
ルフレにだけ小声でこっそり。
「あ、……あぁ……」
「端末を通して惚気られた気分で御座る……」
やり取りが聞こえなかったシュルク。
きょとんとした様子で。
「……何?」