スマ学200のお題
27.条件反射
昼休み。
「どこ見て歩いてんだァ!?」
素行の悪い生徒に目を付けられてしまったのはミカゲである。少し肩が触れただけだというのにポケットに手を突っ込みながら見下す姿勢でお馴染みの零距離メンチ。そもそも端に寄って擦れ違おうにも三人が三人横一列に並んだ上大股で歩いているからこうなるんだろうに。
「す、……みませ」
瓶底眼鏡を曇らせながら聞き取りづらい声で。
「こいつ超ガリ勉クラスの生徒じゃん」
「きめーんだよオタク!」
「あれは」
たまたま見つけたのはルキナである。
「──助けないと!」
「大丈夫だよ」
隣を歩いていたマークは反して落ち着いた様子。
「オラッ!」
そうこうしている間に。
男子生徒の一人がミカゲに殴りかかる──
「っ!?」
ひらりと躱した。
「この!」
今度は二人がかりで殴る蹴ると仕掛けるも。
「ひゃえっ!」
声を裏返しながら受け流して回避。
「ちょこまかしやがって!」
「ふざけてんのか!」
たまたま躱せているのではない。首を反らし身を屈め体を捻り──動きを見切っているのだ。
「あぁあ危ないで御座るからあああ!?」
そしてこの情けない声である。
「ええ……」
「ミカゲは忍者だからね」
「条件反射で体が動くんですね……」
普段の振る舞いと動きが一致しない男、ミカゲ。