スマ学200のお題
125.悪口
「にぃにのばかーっ!」
開口一番。昼休み。
「あんなのただの親切でしょ!」
ピチカが声を大にして言うのも無理もない。
それというのも、この食堂で昼食を摂るべく歩いていたところコップに水を汲んだ男子生徒とぶつかってしまったピチカ。余所見をしていたのはピチカの方なのだが男子生徒は一言も悪く言うことなく掛かってしまった水をハンカチで拭ったり兎角身を案じてくれていたのだがそれを見かけたスピカが威嚇全開で追い返したのだ。
「下心に決まってる!」
……シスコンの彼には王子が姫の手を取る場面にでも見えたのだろうか。
「にぃにの心配性!」
「当たり前だろ兄ちゃんなんだから!」
「あんぽんたん!」
今日ばかりはピチカも引き下がらない。心配してくれるのは有り難い事だろうが関わる異性を見掛ける度にこれでは。
「っ……ピチカの分からず屋!」
スピカも負けじと言い返す。
「お前が可愛すぎるからいけないんだぞ!」
「にぃにが可愛いからにぃに譲りだもん!」
「うるさいっ美容室行ったばかりみたいな綺麗な髪の毛しやがって!」
「僕だってにぃに以上にかっこいい男の人なんてまだ見つけたことないんだから!」
「整形みたいな二重!」
「シミもニキビもない綺麗な肌!」
……?
「また喧嘩してるの?」
「……いや」
訊ねるルーティにダークウルフはジト目。
「次の誕生日には可愛い服とかアクセサリー送りつけてやる! もっと可愛くなればいいんだ!」
「にぃになんて僕とお揃いの仔猫のキーホルダーいつまでも付けてればいーの!」
「全然悪口じゃないじゃん」
「仲良しですねえ」
根の良さが相見える兄妹。