スマ学200のお題
122.恵方巻き
二月三日。
言わずもがな節分。説明は割愛。
「今年の方角は南南西微南だってさ」
「何処だよ」
ごもっともなツッコミである。
「えーと」
昼休み。昼食を摂るべくロイとマルスと屋上を訪れていたカービィはポケットから携帯端末を取り出してコンパスのアプリを起動する。
「あっちだって」
「……こっち?」
「もう少し右だと思う」
カービィに指示を受けながらロイは向きを調節。
「喋ったら駄目だからね」
「ん」
「ロイ殿そのまま屈んで頭を前後に動か」
割り込んできたリオンをマルスが蹴り飛ばす。
「大丈夫かい?」
「声出るかと思ったわ」
「喋ってるじゃん」
思わぬトラップである。
「あーもー絶対位置ずれたって」
「普通に食べればいいのに……」
「あっ」
屋上の扉が開く。
「校長先生と教頭先生じゃん」
現れたのはマスターとクレイジー。どうやら既に昼食を終えた彼らは風に当たりに来た模様。
「……確か……恵方巻きってその年の年神がいる方角を向いて食べるんだったよな」
「そうだけど」
閃く。
「兄さん豆何個食べた?」
「律儀に食べる訳がないだろう」
マスターは呆れたように息を吐く。
「だよねー。……ん?」
視線。
「えっちょっ」
マスターとクレイジーの方を見ながら恵方巻きを黙々と食べるロイ、マルス、カービィ。
「怖いんだけど」
「お前たちやめなさい」
拒否られたのは言うまでもない。