スマ学200のお題
121.名前
キラキラネーム──なんてものはもはや昔の話である。今や読みにくい漢字にファンタジー世界よろしくといった読み仮名など当たり前でありそれこそ一昔前に流行った花子や太郎のような簡単な名前の方が訝しげに見られる始末。
時代の移り変わりとはそういうものである。
「おにぃは名前の由来とかってある?」
休み時間。すま組の教室。
「聞いたことないけど」
ピチカの質問にルーティはうーんと唸った。
「でも多分父さんがラディスで母さんがルピリアだからそこから取ったんだと思う」
「いいないいなー!」
名前は親から貰う最初のプレゼント。生まれてから死ぬまで共に生きていくことになるその名前に親の文字を頂くなんてありがちかもしれないが何とまあ愛を感じることだろう。
「でもどうして?」
「それはだねルーティ君」
ずいっと前に出たローナが語り出す。
「ひっじょーに賢いこの僕ローナ・アルフェインが夏休みの宿題の自由研究に向けて名前の調査をしているからなのだよ!」
冬である。
「ず、随分と先取りするんだね」
「千里の道も一歩からなので!」
「アルフェインの恥だわ」
実の姉より厳しいご指摘。
「見てもいい?」
「ほいさ!」
ルーティは好奇心から今はまだ集計途中であろうローナの手にしていた紙を受け取って目を通す。
「へぇ……」
色んな名前が書いてある。
「……ん?」
ルーティは怪訝そうな顔をして。
「しずえ"さん"?」
「さんだよー」
「ベレト"先生"?」
「先生だよー」
名前じゃないような。しかも。
「ゼルダが二つあるけど」
「片方はリンク先生だよ!」
何というか。
「名前じゃないと思うんだけど……」
「浸透してるじゃないか」
「そういう意味じゃなくてね?」
訂正した方がいいと思う。……多分。