スマ学200のお題
117.悪用
昼休み。
「お」
見知った背を見かけて駆け出す。
「旦那ぁ!」
「うおっ、」
聞こえたのも同じ声だが様子が違う。
「パンサーよく見ろ」
「、え?」
振り向いたのは。
「いやぁ……驚いたよ」
パンサーは頭の後ろを掻いて笑いながら。
「ダークシャドウだっけ? ごめんね間違えて」
「ふん。間違えるヤツがあるか」
同じ背丈に同じ髪型。ぱっと見ただけではまず分からない。それこそ同じチームに属している仲間でさえ見間違えてしまうほど。
「ああ……」
ダークウルフは然程気にしていない様子。
「お兄さんも真っ黒じゃん」
「仲間ですね」
ダークフォックスとダークファルコは口々に。
「可愛い女の子がいるなら今すぐにでも転入」
「貴様たちは本物だの偽物だの話している割には似ていないな」
ハートを飛ばすパンサーをレオンが遮る。
「似てる似てる」
「彼らの姿くらいなら顔を合わせなくても」
そう言って──ダークフォックスとダークファルコの体がつま先から頭の天辺まで黒く塗り潰されたかと思うと。黒の粒子が弾けて肌は白く本物側特有の薄茶色の髪と青色の髪に。
「うわっ!」
「俺らこれするとホンモノ側に怒られるんスよ」
「力も使いますからね」
「貴様も同じことが出来るのか」
レオンに視線を向けられて。
「……ああ」
、視線が痛いな。
「レオン?」
「くく」
……この笑い方は。
「ついてこい」
「いや、番長を待たせて──ッぎゃん!」
尻尾を掴まれてズリズリと。
「し、尻尾を掴むな!」
「いってらっしゃーい」
「見送るな!」
レオンはダークウルフを引きずりながら。
「こいつは使えそうな玩具だな。くくっ……」
「こうなるからあんまし使えないんだよなあ」
「運が悪かったですねえ」
「助けないんだね」
ちなみに。ダークウルフが帰ってきたのは五時限目が終わった後だったのだとか。