スマ学200のお題
115.煽り
全校集会。
「……皆さんは今日という日がどんな日であるかご存知でしょうか」
舞台上の演台の前で語るのは生徒会長。
「一月十六日……今日はヒーローの日です」
にこやかに。
「アニメや映画の世界における『ヒーロー』をより多くの人に愛してもらい、その存在を広く知ってもらうことを目的にある広告会社が先一昨年に制定しました」
それはもう生き生きと。
「ヒーローとは一概にいっても様々あります。幼い頃に憧れを抱いたキャラクターから日常生活の中のさりげない家族の言動など。或いは自分自身かもしれない──皆さんはヒーローといえば何を思い浮かべますでしょうか」
長々と。
「……兄さん」
教頭のクレイジーは肩を寄せて耳打ち。
「長いって」
「水を得た魚のようだな」
仕方ない。生徒会長である彼は校長教頭理事長に続く権力者でもある。本来ならそんなこともないのだが常に学園の為に働きかけて優秀な功績を残してくれているのだから並大抵の教師ではまずもって頭が上がらない。故にこうして彼都合で開かれる全校集会に対して不平不満を垂れる者は基本誰一人としていないのだ。
「任せておけ」
「……どうにか出来るの?」
「場を整えてくれたのは彼方だからな」
とはいえ支持されているのも事実。ようやく話を終えて次は締め括りの校長の話ということで舞台上へと入れ替わるように足を進めた。
「……先の話を続けるようで申し訳ないが」
マイクに右手を掛けながら。
「遅れて参じるのが"ヒーロー"とはよく言ったもの」
にっこりと。
「ヒーローの話を聞いていただけるだろうか」
掴みにしやがった。
「やられたね」
よくやるものだと副会長のマークは苦笑い。
「はは。校長らしいじゃないか」
ロックマンはニコニコと笑いながら。
「近年ではヒーロー同士が異なる正義をもって相見える作品も多く存在すると聞く」
「待って待って構えないで」
しっかり効いていた模様。