スマ学200のお題


109.辛党



家庭科の授業。

「ちょっとピチカ!」

リムは慌てて名前を呼んで止める。

「えー?」

今日の授業は家庭科室に移動してからの調理実習。あちらこちらで黒い煙があがったり爆発音がしたり悲鳴が聞こえたりとてんやわんやだがこれも日常。肝心の料理は定番のカレーだったのだがピチカが砂糖を入れようとしたところで同じ班のリムが止めた。

「甘口の方が好きでしょ?」
「だからって砂糖は入れなくていいのよ」
「絶対美味しくなると思うのに……」
「ピチカは甘党なんだね」

隣の班のレッドが声を掛けた。こちらの班は肉じゃがを作っていたらしく既に完成したものがご飯と一緒に美味しそうに並べられている。

「おこちゃまだなー!」

何故か頬に煤の付いているローナ。

「ローナちゃんは辛党だぞぅ!」
「辛いものが好きってこと?」
「辛党は酒好きのことだ」

ユウが口を挟む。

「意味も知らずに使う方が子供だと思うがな」
「あーっあーっ悪口だ先生に言ってやろー!」
「うるさい」

保護者(ネロ)が手刀。

「あだぁっ!」

呆れ顔のユウの前にさっと回り込んで手を取ったリオンは跪きながら。

「ユウのことが大好きな私はユウ党ということでいいですか……」
「よくない」
「愛してるなら許されますか!」
「そういう問題ではない」
 
 
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