スマ学200のお題


108.想定外



あけましておめでとうございます!

というわけで冬休み期間中の登校日であるこの日、校長の無茶苦茶な提案で僕たちは正月らしく袴や着物を着て登校することになりました。

「どべしゃぁっ!」

……自分で言うんだ。

「大丈夫かよ」
「そそっかしいわね」

慣れない着物を着せられたローナは顔面から派手に転倒。ネロは呆れたように溜め息、シフォンは慣れた様子で引っ張り起こす。

「なぁんで袴じゃないのさぁっ!」
「貴女は女の子なんだから」
「ルーティはどうなるのさルーティは!」
「僕は男だよ」

今年もこれを言わされるのか。

「あっ」

先行く背中を見つけて駆け寄る。

「ウルフ!」

こればかりは突っ込んでも仕方ないのだがどうやって袴から尻尾が生えているんだろう。それ専用に穴が開けられてるんだろうか。

「あけましておめでとうっ!」
「……おう」

素っ気ない返事。けれどその視線は確かにルーティへと向けられていた。ウルフは黒を基調にした袴だが対するルーティはというと黄色を基調にした袴──かと思いきや白を基調とした着物の上から深緑の袴を履いている。確かに着物には淡い黄色や橙色の花の刺繍が施されているが全体的に纏まりがよく賑やかでもない。

「ど、どうかな」

こうもじろじろ見られては恥ずかしいので馬子にも衣装か鹿にも衣装か知らないが存分に言え、とばかりに話を振ってみると。


「悪くない」


えっ。

「うわっぷ」
「さっさと行くぞ」

わしゃわしゃと髪を撫でられてこの始末。

……これだから何も言えなくなる。
 
 
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