スマ学200のお題


105.複雑



休み時間。すま組の教室を出てすぐの廊下で可愛らしい曲に合わせて踊っているのはピチカとローナである。彼女たちの向かい側には端末がセットされており、所謂流行りのアプリに投稿する為の動画を撮っている最中だった。

「ピチカちゃーん!」

ダークフォックスは腕を振り上げる。

「めちゃんこ可愛いっスよー!」
「ピチカぁぁぁ!」

負けじと声を上げるのは言わずもがなスピカ。

「お前ら! 投稿されたらすぐ反応しろよ!」
「任せときなって」
「アカウントを複数用意しました!」
「こん時の為にツールを作成済みだぜ?」

アウトである。

「に、にぃにったら……」
「まあまあ」

騒ぐ兄とその取り巻きに頬を染めて恥ずかしげなピチカをローナが宥める。……


場面は変わって昼休みの屋上にて。

「わぁー」

ピチカは引き気味にアプリ画面を見ていた。

「よく撮れているかね?」
「当然だわ」

訊ねるローナに答えたのはシフォンである。

「しっかりと撮っておいたわよ。騒ぐ外野さん達のあられもない姿をね」

なんと。

アプリに投稿したのはピチカとローナのダンス動画ではなくその様子を合いの手を入れたりと騒ぎ立てながら見守るスピカ達の姿。

「概ね予想どぉーり!」

ローナは誇らしげな様子で。

「めちゃくちゃバズってるじゃないか!」
「サブアカウントなのに……」

未だに伸び続けている例の動画。

「あーん! 複雑だよー!」
「バズりとはそういうものなのだよ」
「ピチカには向いてないわね」
 
 
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