スマ学200のお題
102.学級閉鎖
「っくし」
世間一般的には欠席率が20%を超えると検討されることが多くなるという学級閉鎖。
「……あ?」
スピカは教室の戸を開けて思わずそんな声が漏れた。というのも今日という日が当たり前に登校日であるにも関わらず誰も居ないのである。少し早い冬休みに入ったという話も聞かないし訝しげにしながら自身の席に着くと。
「番長じゃないですか」
ダークファルコが入ってきた。
「おはようございます」
「……おう」
「物の見事に誰も居ませんね」
最近はインフルエンザが流行っている。昨日も昨日で出席人数が少なかったがこの教室の様子から遂に問題のパーセンテージを下回ったか。流石に学級閉鎖も免れないなとスピカは密かに溜め息を吐く。
「ふふ」
ぞくりと。
「何ニヤニヤしてやがる」
「いえ」
ダークファルコはゆっくりとスピカの元へ歩み寄るとその髪に優しく触れて目を細める。
「二人きりですね」
教室の戸が勢いよく開いた。
「げほごほッ……殺すぞ……鶏ガラ野郎……!」
病人。
「おま……めちゃくちゃ顔色悪いじゃねーか!」
「ゔえっほ、ぇほ……大丈夫です……!」
教室の戸に凭れ掛かり立っているのもやっとの様子であるダークウルフの額には剥がれ掛けの熱さまシート。直後に教室の窓に何かがぶつかる音がしてそちらを振り向けば虫のようにダークピットがへばり付いていた。彼は確か少し前から風邪で寝込んで欠席していたはずだったが。
「番長は……渡さないよ……?」
「ぎゃー!?」
不意打ちでスピカの脚に抱き付いたのはダークマルス。一体いつからいたのやら彼も彼で普段以上に顔色が悪く体調不良が窺える。
「げっほげっほ……ファルコ……!」
「おや。生きていましたか」
「この寒い時期に冷水ぶっかけやがって……!」
「元気そうで何よりです」
ダークウルフに続いて教室にふらふらと入ってきたダークフォックスもこれまた顔色が悪い。この会話の様子から彼の場合は嵌められたようだが。
「ぶええっくしょい!」
「ハァッ……ハァッ……番長ぉ……」
その後も次々と明らかに体調不良であるダー組の生徒がぞろぞろとゾンビのように。
「全員、今すぐ帰れえええッ!」
このクラスの生徒の執念は異常である。