脚本版

「怪奇探偵 老人を追え❗」

登場人物

怨神(おんかみ)勇人
志田伸子
志田君子
木霊(こだま)
山爺(やまじじい)

伸子
「お願いです。1年前から行方不明の母を探して下さい」
勇人M
「そう私にお願いしてきた彼女は、志田伸子さん。私は怪奇をメインにしている探偵である怨神勇人という。
勇人
「ちょっと待って下さい。私は怪奇メインに扱う探偵です。人捜しは専門外ですよ」
伸子
「はい。分かっています。だからこそ、お頼みすることにしたんですよ。私には霊感みたいなものが昔からあって、その勘をが母は生きていると告げているのです」
勇人M
 「私は伸子さんの話を聞くことにした。
 父・忠男さんが亡くなってから1ヶ月後のことだった。山菜を採りに行くと言って、朝、家を出て行ったきり、戻ってこず、行方不明になったのだと言う」
勇人
「しかしながら、失踪から1年経っているので、必ず見つけ出せるとは、限りません。それと、期間を設けさせていだたきます。依頼は、君子さんだけの失踪だけを取り扱っているだけではないので。この条件を飲めますか?」
伸子
「期間は、どれくらいなりますか?」
勇人
「最長でも、2週間が限界かと」
伸子
 「……お願いいたします」
勇人M
「私は伸子さんを見送り、一息つく」
勇人
「なるべく早く始めないとな」
勇人M
「車を手入れして、山籠りの準備をして、明日から始めようか」

翌日

勇人
「さて、現場と思われる山林に来たが、どう攻めるか」
勇人M
 「私は頭を悩ませた。情報が少なすぎる。周辺住宅の人にから話を聞いてみたが、1年前の話となるとみな、うろ覚えすぎて、話にならなかった。だったら、山の怪奇に聞いて見るのがいいんじゃないか。別に聞く相手は人でなくてもいい。だからこその怪奇探偵だ。山の怪奇は多い」
勇人
「地道に出くわすまで登山と山菜採りかな」
勇人M
「が、全然見つからない。そう簡単に見つかるわけがなかった。怪異といえど心をもっている。人間嫌いな怪異は多い。私は考える。山で人に警戒心をあまり抱かない怪異は。考えて、1つの怪異が浮かぶ」
勇人
「山と言えば、木霊(こだま)が居たな。木霊捜してを捜して話を訊いてみるか」
勇人M
 「木霊(こだま)。
 樹齢100年以上の木に宿る妖怪だ」
勇人
「樹齢100年の木。見つけられるのか?やるしかないのよな。どちらにしても」
勇人M
 「それから1週間後、私は何とか巨木を見つけた」 
勇人
「ようやく樹齢ありそうな木を見つけたぞ。木霊いるかな?木霊いるかー?」
勇人M
「しばしの沈黙」
木霊
「よんだー?」
勇人
「木霊、ようやく会えた」
木霊
「ぼくをさがしてたの?」
勇人
「ああ、話を訊きたくてな」
木霊
「いいよ。ひまだからつきあってあげる」
勇人M
 「私は木霊に、ここに来た経緯を話した」
木霊
「なるほどね。いらいされて、おばあさんをさがしにきたのか」
勇人
「ああ。1年前から行方不明のな」
木霊
「いちねんまえね」
勇人
「そうなんだ。だから手掛かりがなくてな、悪戦苦闘中だ」
木霊
「いちねんまえから、みかけるおばあさんならいるよ」
勇人
「え!?何だって!?」
木霊
「いちねんまえから、よくみかけるおばあさんならいるよっていったの」
勇人M
 私は慌て君子の写真を木霊に見せた。
木霊
「うん。このおばあさんでまちがいないよ」
勇人
「そうか、生きてたのか。伸子さんの勘は当たってた。でもなぜ家に帰らないんだ?」
木霊
「さあ、しらない。でもやまじじぃといるみたい」
勇人
「山爺とぉ!」
勇人M
 山爺(やまじじぃ)。
 ひとつ目の人形怪異。
勇人
「なぁ、山爺の住みかわかるか?」
木霊
「わかるけど、いくの?」
勇人
「ああ。案内頼めるか?」
木霊
「いいけど、あんないだけね」
勇人M
「私は木霊に頼み、山爺が住む家屋に案内してもらった」
木霊
「ここだよ。ただ、きをつけてね。やまじじぃはひとのこころがよめるから」
勇人
「分かった。ありがとう」
勇人M
 「わらぶき屋根の古い家屋だった」
勇人
「心が読めるか。厄介だな」
勇人M
「ガタッ。
 戸が開いた。
 1つ目の男と目が合った。
 山爺だ。」
山爺
「きょえぇ!」
勇人M
 いきなり山爺が鉈を持って飛び掛かって来た。
勇人
「うお!」
勇人M
 「いきなりのことで、私は尻餅をついた」
勇人
「まて、待て、待て!心が読めるんじゃないのか?俺に敵対心はない!」
勇人M
 「山爺の振り下ろした鉈が頭上で止まった」 
山爺
「君子のことをなぜ、知っている?探偵?」
勇人
「心を読んで話されると、色々聞きたい話はあるとおもうが、話がややこしくなるので、対話で話さないか?」
山爺
「いいだろう」
勇人M
「山爺(やまじじい)の家に入ると君子がいた。
 とりあえず捜し出せたことに、私は少し胸を撫で下ろした」
山爺
「君子の娘に頼まれて、君子を捜していたと。君子を連れて行くのか?」
勇人
「いや、そうとも限らない。捜して欲しいと依頼を承ったが、見つかったら連れ戻してほしいとは、言われていない」
山爺
「ん、どう言うことだ?」
勇人
「言葉通りの意味ですが。あなた方の話によっては、このままで良いのではと思っています」
「……」
勇人M
「山爺と君子は、お互いに顔見合せた」
勇人
「あなた方を見ていると、どちらかが一緒に居ることを強制したわけではないみたいなので」
山爺
「俺がはなそう」
山爺M
 「1年前、君子は夫を亡くし、意気消沈していた。何も手につかず、悲しみに暮れる日々を過ごしていた。そんな時、気分転換のため、山に山菜採りに出掛けた。そこで君子は俺と出会った。
 偶然だった。俺は食糧調達のため、山の麓に降りて来ていた。その時、出会ったのだ。
 俺と出会った時、君子は少し驚いたが、それだけだった。
 俺は、そのことに驚いたが、君子の心を読んで、哀れみを覚えた。
山爺
「うちで少し休んで行かないか?」
山爺M
 「自然とそんな言葉が出ていた。
 君子は頷き、俺について来た」
山爺
「それからだ、一緒に暮らすようになったのは」
勇人
「そうか」
勇人M
 私は立ち上がった。
山爺
「どうする?」
勇人M
 私は二人に背を向けた。
勇人
「帰るさ。伸子さんだけには生存報告する。ただ、それだけだ。場所はばらさない。」
勇人M
 「山爺と君子の顔が輝いた」
勇人
「じゃあな。2人で幸せに暮らせよ」
勇人M
 私は2人の家を一人後にした。

終わり
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