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一兎はわかりやすい、とよく言われる。好きなもの、面白いもの。嫌いなもの、面白くないもの。
「桃まだ?」
「んーもうちょっと待ってね」
キッチンに立って桃を剥いているところに一兎が遊びに来た。今日は学校のプールが点検で使えないから暇をしていたのだろう。
「泳げないのはつまんないよね」
「そうだね、一兎は水大好きだもんね」
「名前だってプール好きだよね?」
「うん、でも一兎や鯆澄みたいに修学旅行行ってまで泳ごうとは思わないかな」
一兎と鯆澄は修学旅行先に東コースを選んであの冷たい北海道の海にチャレンジしたらしい。本当に泳ぐとは思わなかったと部長が呆れていた。
「名前は修学旅行に行かないで合宿行ってたんでしょ?あんまりかわんないよ」
「そう?」
一兎と鯆澄が東へ、部長と竜之介先輩たちがが西へ行っている間、私はスライブセントラル内の飛び込み競技の強化合宿に行っていた。
せっかく外に出られる機会である修学旅行に不参加だったのを、不憫に思った部長がお土産に桃を買ってきてくれた。部長は桃のついでに土産話と愚痴も置いていった。主にナンパ(に失敗した)の話、それから中々合宿が組めない話。残念ながら原因はほとんど部長にある。
小田原先生は高いプリンを帰ってきたその足でくれて、臼杵先生と長野先生からもお土産があった。同じ学年の沖縄組や仙台、北海道組もお土産をくれた。今日は一兎が北海道みやげを持ってきた。竜之介先輩は忙しく、今日の鯆澄はよそのプールに遠征しているらしい。
せっかくもらった桃を一人で食べるのも味気ないので一兎に振舞うことにした。一兎はキッチンに寄りかかって桃が次々剥かれていくのを待っている。
「名前は修学旅行行かなくてよかったの?」
すりすりと一兎が私に頬を押し付けた。真っ白くてすべすべの肌が気持ちいいので特に咎めずにいるとねぇ、と一兎が答えを急かした。
「泳ぐの好きだからね」
「そうだよねー」
名前の肌、すべすべしてて気持ちいい、と言って一兎が私の頬を撫でた。
「ちょっと、包丁持ってるんだけど!」
鼻を首やら頬にぐいぐい押し付けてくるので思わず抗議すると一兎は押し付けてくるのをやめた。怪我をしたらプールに入れなくなる。
「泳ぎたいな」
一兎の腕が今度は腰に回された。何が何でも離れるつもりはないらしい。
「桃食べたら、学区のプール行く?」
「お風呂で泳ぐから今日は行かない」
また一つ桃を剥き終えて、芯を残して実を剥いでいく。
一兎が今度は項の匂いを嗅ぐように鼻を鳴らしたので、私は小さく悲鳴をあげた。
「血、」
私の肩から顔を出した一兎が驚いたように私の左手を掴んだ。
はっとして掴まれた手を見ると指の先にぷっくりと血が浮いていた。
「切っちゃった…」
絆創膏、あの早く治るやつの買い置きはあったっけと考えたその一瞬の隙に私の指は一兎の口の中に消えた。傷口にあつい舌の感触があって思わず身を引いた。一兎は構わず傷口を強く吸って、ようやく私の指を解放した。
「甘いね」
手をべたべたに濡らしている桃の果汁をなめて一兎が言った。
「食べごろの、買ってきてくれたからね」
「おいしい」
一兎がそのまま私が手にしたままのほとんどまるごとの桃にかじりついた。時折思い出したように甘い、と漏らすばかりで一兎はそのまま左手の桃を食べきった。
「……おいしかった!」
水道でべたべたの手を洗い流した一兎は絆創膏、とつぶやいてリビングへと消えていった。
「……何なの」
包丁握りしめたままの強張る手をほどいて、私は一切れ剥いだだけの桃を口に入れた。長い間掴んでいたせいか変色し始めていたけど一兎の言葉の通り甘くておいしかった。
「手、洗わなきゃ……」
ばしゃばしゃと水を流して手を洗った。血の止まったはずの傷口は熱くて、一兎がわかりやすいなんて嘘だと考えた。
行動の基準がはっきりしているのに、その基準がどこにあるかわからない。全く、振り回してくれる後輩だ。
「絆創膏、持ってきたよ」
キッチンに戻ってきた一兎が再びわたしに頬をすり寄せた。大きくて甘えたのウサギみたいで可愛くて仕方ない。
一兎に吸われた指がどくどくと音を立てた。怪我をしたら心臓より上に上げるんだよ、という竜之介先輩の言葉を思い出して、実行した。一兎がそこにぺたりと絆創膏を、貼ってくれたけど、どくどくぐるぐる、血が、そこばかりを回り続けている。
「桃まだ?」
「んーもうちょっと待ってね」
キッチンに立って桃を剥いているところに一兎が遊びに来た。今日は学校のプールが点検で使えないから暇をしていたのだろう。
「泳げないのはつまんないよね」
「そうだね、一兎は水大好きだもんね」
「名前だってプール好きだよね?」
「うん、でも一兎や鯆澄みたいに修学旅行行ってまで泳ごうとは思わないかな」
一兎と鯆澄は修学旅行先に東コースを選んであの冷たい北海道の海にチャレンジしたらしい。本当に泳ぐとは思わなかったと部長が呆れていた。
「名前は修学旅行に行かないで合宿行ってたんでしょ?あんまりかわんないよ」
「そう?」
一兎と鯆澄が東へ、部長と竜之介先輩たちがが西へ行っている間、私はスライブセントラル内の飛び込み競技の強化合宿に行っていた。
せっかく外に出られる機会である修学旅行に不参加だったのを、不憫に思った部長がお土産に桃を買ってきてくれた。部長は桃のついでに土産話と愚痴も置いていった。主にナンパ(に失敗した)の話、それから中々合宿が組めない話。残念ながら原因はほとんど部長にある。
小田原先生は高いプリンを帰ってきたその足でくれて、臼杵先生と長野先生からもお土産があった。同じ学年の沖縄組や仙台、北海道組もお土産をくれた。今日は一兎が北海道みやげを持ってきた。竜之介先輩は忙しく、今日の鯆澄はよそのプールに遠征しているらしい。
せっかくもらった桃を一人で食べるのも味気ないので一兎に振舞うことにした。一兎はキッチンに寄りかかって桃が次々剥かれていくのを待っている。
「名前は修学旅行行かなくてよかったの?」
すりすりと一兎が私に頬を押し付けた。真っ白くてすべすべの肌が気持ちいいので特に咎めずにいるとねぇ、と一兎が答えを急かした。
「泳ぐの好きだからね」
「そうだよねー」
名前の肌、すべすべしてて気持ちいい、と言って一兎が私の頬を撫でた。
「ちょっと、包丁持ってるんだけど!」
鼻を首やら頬にぐいぐい押し付けてくるので思わず抗議すると一兎は押し付けてくるのをやめた。怪我をしたらプールに入れなくなる。
「泳ぎたいな」
一兎の腕が今度は腰に回された。何が何でも離れるつもりはないらしい。
「桃食べたら、学区のプール行く?」
「お風呂で泳ぐから今日は行かない」
また一つ桃を剥き終えて、芯を残して実を剥いでいく。
一兎が今度は項の匂いを嗅ぐように鼻を鳴らしたので、私は小さく悲鳴をあげた。
「血、」
私の肩から顔を出した一兎が驚いたように私の左手を掴んだ。
はっとして掴まれた手を見ると指の先にぷっくりと血が浮いていた。
「切っちゃった…」
絆創膏、あの早く治るやつの買い置きはあったっけと考えたその一瞬の隙に私の指は一兎の口の中に消えた。傷口にあつい舌の感触があって思わず身を引いた。一兎は構わず傷口を強く吸って、ようやく私の指を解放した。
「甘いね」
手をべたべたに濡らしている桃の果汁をなめて一兎が言った。
「食べごろの、買ってきてくれたからね」
「おいしい」
一兎がそのまま私が手にしたままのほとんどまるごとの桃にかじりついた。時折思い出したように甘い、と漏らすばかりで一兎はそのまま左手の桃を食べきった。
「……おいしかった!」
水道でべたべたの手を洗い流した一兎は絆創膏、とつぶやいてリビングへと消えていった。
「……何なの」
包丁握りしめたままの強張る手をほどいて、私は一切れ剥いだだけの桃を口に入れた。長い間掴んでいたせいか変色し始めていたけど一兎の言葉の通り甘くておいしかった。
「手、洗わなきゃ……」
ばしゃばしゃと水を流して手を洗った。血の止まったはずの傷口は熱くて、一兎がわかりやすいなんて嘘だと考えた。
行動の基準がはっきりしているのに、その基準がどこにあるかわからない。全く、振り回してくれる後輩だ。
「絆創膏、持ってきたよ」
キッチンに戻ってきた一兎が再びわたしに頬をすり寄せた。大きくて甘えたのウサギみたいで可愛くて仕方ない。
一兎に吸われた指がどくどくと音を立てた。怪我をしたら心臓より上に上げるんだよ、という竜之介先輩の言葉を思い出して、実行した。一兎がそこにぺたりと絆創膏を、貼ってくれたけど、どくどくぐるぐる、血が、そこばかりを回り続けている。
