戦国BASARA
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目の前に並べられたのはショートケーキ、モンブラン、せんべい、まんじゅう、種々の名前も知らない洋菓子、和菓子。名前はこれは何処何処の店でね、あれはテレビでも紹介された人気のお菓子でね、こっちは少し前にツイッターでバズったの。と全く意味のわからない説明をする。阿闍梨餅の偽物の袋を破った。売り切れだったの、と愚痴をこぼす。どうやら代わりにに偽物を買ったらしい。
名前があれこれ食わせるせいですっかり甘党に仕立てられてしまった。左近も食べてねと左近にも勧められるがやつは甘いものばかり食べさせられて胸焼けという顔をして煎餅片手に緑茶を啜った。そして、甘党に仕立て上げられた私が顔色を変えずに端から食らうのを全くありえないという顔で見ている。名前は自分で体を支える気もないらしく左近に寄りかかってにこにこしていた。名前さん骨がない、と左近がふざけて揶揄うとそうなの、自立心もないんだよねえと何食わぬ顔で返す。昔から、真面目な顔して嘘か本当か理解しがたい嘘をつく。左近が食んだ煎餅がパキンと折れた。
「三成、おいしい?」
「……ああ」
「ふふ面白いよね。こーんなに細いのにお腹のどこに消えてくのかしら」
名前は無遠慮に私の腹をまさぐって腹の上から内臓を撫ぜた。いっぱい叫んでエネルギー使ってばっかりだからかな?と呟くのに知らん、と返しても名前は笑うばかりで腹に耳を押し当てた。
「よせ」
「ふふ、いきてる音がする……」
「お前はいい加減その、人の腹の音をきく悪癖を辞めろ」
「だって、面白いんだもん」
「名前」
「あ、水音」
「……名前……!!」
「ぐう」
名前は下手くそな寝たふりをして腹に顔を突っ込んだまま目を閉じた。悪い趣味だと左近が何故だか眉を下げる。いつもなら、腹から響く断続的な水音や消化音をいちいち実況しては歓喜の声を上げる名前が黙って腹の中で呼吸を繰り返した。腹があつい、緑茶を挟みモンブランのフィルムを剥がした。腹が呼気であつく湿って、涙に濡れた。人の腹の中で泣くのを辞めろと言っても全く聞き入れないのでとうの昔に諦めた。名前は何歳になってもよく泣くが、もう泣くなと言うことさえ辞めてしまった。
「それは、どうして?」
口に出したつもりはなかったが、左近が静かに声を発した。何も変わらず、うるさい男だがこういう時だけは驚くほど穏やかな顔をする。気にくわない顔だ。何もかも見えているという顔は家康も偶に見せるが家康はほんとうは何も見えていないと気づいたのはいつか。
「……もう死ぬほど繰り返したからだ」
答える声が落ちて左近は何も返事をせずに最後の煎餅のかけらを噛み砕いた。名前の呼気が腹にかかって煩わしい。
「なんだ、間に合わなんだか」
刑部が襖を開けて入ってきたのを見て左近が炬燵ここ空いてますよと布団を上げてやった。刑部は膨らんだ腹を見て残念そうにため息をつく。
「折角ぬしらのために酒を仕入れてきたというのに、タイミングが悪かったか」
「あっ大吟醸!」
「そこの大酒飲みのためのとっておきよ、とっておき」
「刑部さん太っ腹!」
「まだあるゆえに好きなだけ飲むが良い」
「ラッキー!」
大酒飲みと呼ばれた名前が腹の中で身じろぎをした。左近が金属をめくり、刑部はどこからか4つ容れ物を出す。
「おい名前」
腹の中ではみっともなく泣いて今更顔を出せないと名前が苦悩しているのだろう。受け取った容れ物から目を逸らさずとも、刑部と左近の生暖かい視線は手に取るように分かる。
「早く起きろ」
腹の中に声をかければもぞもぞと動く感触がしてややあって返事が聞こえた。名前を待たずに一口含むと頭が冴える心地がした。
名前があれこれ食わせるせいですっかり甘党に仕立てられてしまった。左近も食べてねと左近にも勧められるがやつは甘いものばかり食べさせられて胸焼けという顔をして煎餅片手に緑茶を啜った。そして、甘党に仕立て上げられた私が顔色を変えずに端から食らうのを全くありえないという顔で見ている。名前は自分で体を支える気もないらしく左近に寄りかかってにこにこしていた。名前さん骨がない、と左近がふざけて揶揄うとそうなの、自立心もないんだよねえと何食わぬ顔で返す。昔から、真面目な顔して嘘か本当か理解しがたい嘘をつく。左近が食んだ煎餅がパキンと折れた。
「三成、おいしい?」
「……ああ」
「ふふ面白いよね。こーんなに細いのにお腹のどこに消えてくのかしら」
名前は無遠慮に私の腹をまさぐって腹の上から内臓を撫ぜた。いっぱい叫んでエネルギー使ってばっかりだからかな?と呟くのに知らん、と返しても名前は笑うばかりで腹に耳を押し当てた。
「よせ」
「ふふ、いきてる音がする……」
「お前はいい加減その、人の腹の音をきく悪癖を辞めろ」
「だって、面白いんだもん」
「名前」
「あ、水音」
「……名前……!!」
「ぐう」
名前は下手くそな寝たふりをして腹に顔を突っ込んだまま目を閉じた。悪い趣味だと左近が何故だか眉を下げる。いつもなら、腹から響く断続的な水音や消化音をいちいち実況しては歓喜の声を上げる名前が黙って腹の中で呼吸を繰り返した。腹があつい、緑茶を挟みモンブランのフィルムを剥がした。腹が呼気であつく湿って、涙に濡れた。人の腹の中で泣くのを辞めろと言っても全く聞き入れないのでとうの昔に諦めた。名前は何歳になってもよく泣くが、もう泣くなと言うことさえ辞めてしまった。
「それは、どうして?」
口に出したつもりはなかったが、左近が静かに声を発した。何も変わらず、うるさい男だがこういう時だけは驚くほど穏やかな顔をする。気にくわない顔だ。何もかも見えているという顔は家康も偶に見せるが家康はほんとうは何も見えていないと気づいたのはいつか。
「……もう死ぬほど繰り返したからだ」
答える声が落ちて左近は何も返事をせずに最後の煎餅のかけらを噛み砕いた。名前の呼気が腹にかかって煩わしい。
「なんだ、間に合わなんだか」
刑部が襖を開けて入ってきたのを見て左近が炬燵ここ空いてますよと布団を上げてやった。刑部は膨らんだ腹を見て残念そうにため息をつく。
「折角ぬしらのために酒を仕入れてきたというのに、タイミングが悪かったか」
「あっ大吟醸!」
「そこの大酒飲みのためのとっておきよ、とっておき」
「刑部さん太っ腹!」
「まだあるゆえに好きなだけ飲むが良い」
「ラッキー!」
大酒飲みと呼ばれた名前が腹の中で身じろぎをした。左近が金属をめくり、刑部はどこからか4つ容れ物を出す。
「おい名前」
腹の中ではみっともなく泣いて今更顔を出せないと名前が苦悩しているのだろう。受け取った容れ物から目を逸らさずとも、刑部と左近の生暖かい視線は手に取るように分かる。
「早く起きろ」
腹の中に声をかければもぞもぞと動く感触がしてややあって返事が聞こえた。名前を待たずに一口含むと頭が冴える心地がした。
