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地方ロケ、ホテルの予約をミスって5名4室しか取れなかった。まさかこんなミスをすると思わなかったので、聞いた瞬間フロントで崩れ落ちそうになった。フロントで確認したところ、他に空きはなし、件の1室はツインである。これがもしダブルだったら、もう目も当てられなかった。狗丸さんが俺はツインでいいと申し出てくれたので、あとは誰が狗丸さんと同室になるか。みなさん絶対嫌がるだろうな……
「あの、私責任とって床で寝ますから」
「床!?俺がベッドひとつ使って名前さんは床で寝るってことか!?」
「なんでそうなるんですか。私たちの誰かが相部屋ですよ」
棗さんが呆れ返ってため息を漏らす。早く部屋で休みたい、といった表情だ。メンバー4人揃ってのロケは若い肉体を生かして過酷なアクテビティが多めだったので当然だろう。
「ダブルだったら俺が名前と寝てもよかったんだがな」
「トラ!」
「本当ですか?御堂さんベッドくっつけてダブルにして使っていいんで、私に床だけ貸してください」
「生憎だが、俺は真ん中がへこんだベッドじゃ寝れる気がしない」
「絶対嘘!虎於ロケバスでも飛行機でも平気で寝るじゃん!」
「なんかそういう昔話なかったか?」
「アンデルセンですね。本物のお姫様というものは、えんどう豆の上にふわふわの布団を40枚載せて初めてわかるんですよ」
「なんでもいいのでどなたか一晩床だけ貸してください」
「名前さんはなんでそんなに床にこだわってるわけ……」
「同じ高さで眠るのは恐れ多くて」
今をときめく人気アイドル4人がフロントでいつまでも揉めているのは少々体裁が悪い。他の客の視線が気になったらしい亥清さんが「オレとトウマが一緒に寝るよ」と切り出した。2人はこれまでにお泊まり会をしたことがあって、同じ部屋で寝るのは初めてではないのだという。
「巳波も虎於も、いきなり誰かと同じ部屋で寝ろって言われても無理なタイプじゃん」
「無理じゃないです」
「全然無理じゃない」
「なんなんだよ、もー!」
私が「本当にすみません」と頭を下げると「後でなんか奢ってもらう!」と亥清さんはいたずらっぽく笑ってツインルームの鍵を受けとった。
「奢りとか考えなくていいから!俺達この後コンビニ行くし……」
「どうせ全員同じ部屋に集まるんだ。気にするな」
「ええ。お二人の部屋に集まってトランプ大会やる予定なので」
「聞いてねえよ!」
「今言いました。ウノの方がよかったですか?」
「なんでもいいって……」
「名前さんも来る?」
「いや私はちょっと仕事が……」
「そうなの?残念」
優しい人たち!!そして仲良しさん!私にシングルルームを譲ってくれたおかげで今夜は山積みの仕事が少し進められそうだ。芸能事務所の人間というものは総じて忙しく、少し目を話した隙に宇都木さんからの未読チャットはすでにめちゃくちゃな数になっている。狗丸さんが早寝するなら遅くまでパソコンをつけていられないし、事務所に帰った時が恐ろしいなと思っていたのだが、少しでも減らせるなら越したことはない。
と思っていたのだが。
「名前さん!開けて!ねえってば!!」
「……亥清さん?」
やばい。寝落ちした。パソコンはスリープ状態で、結構長めに落ちていたらしい。なんか大変らしいが、おかげで目は覚めた。あのまま落ちてたら朝までコースだった。
「どうしたんですか?怖い夢でも見ました?」
「一生のお願い!巳波も虎於も帰っちゃったしトウマ全然起きなくて役に立たな……」
私の部屋のドアを無理やり開けようとして、亥清さんが絶句する。
「どうしたんですか?お化け?漏水?」
「む、虫……でもいい、自分でどうにかするから!」
「?なんでですか、どうにかできないから呼んだんでしょう」
「いい、いいってば……」
亥清さんの青かった顔色が赤くなってまた血の気が引いた。Gだろうか。個人的にはGよりやばいのはKから始まるやつなんだけど、どちらにせよスリッパで叩いてやっつければいいだろう。スリッパ、スリッパ……
「ちょっと亥清さんなんでドア閉めようとするんですか」
「なんでって……!?もういい、名前さんは部屋戻って。トウマ叩き起こしてどうにかする……」
「せっかく寝てるのに狗丸さん起こしたらかわいそうですよ」
「今のオレの方がかわいそうなんだけど!?」
涙目になるほど怖かったのだろうか。よし、さくっと倒して差し上げよう。廊下でオロオロしていた亥清さんは「もうなるようになれ……」とブツブツ唸って、私をツインルームに押し込んだ。
「虫、虫、虫……」
「……ベッドの足元の方」
「ん〜?」
寝起きのせいか、疲れ目のせいか、全然わからない。悍ましいGの波動は感じないが……カーペットに手をついて両膝もつく。こういうのは視線をなるべく奴らに近づけた方がいいのだ。多分。
「名前さんちょっとマジ勘弁して……!!起きろってば、トウマ!リーダーでしょ!?」
「んん……」
「トウマぁ!」
「ん……ハル、何騒いでんだ……ブフッ!!!!!!!」
亥清さんに激しくゆり起こされて目を覚ました狗丸さんが飛び起きて盛大に暴れた。気配がした。虫退治が最優先なのでそちらに目を向ける余裕はない。
「……あ!いた!いました!えい!」
「……名前さん……何やってんだ?」
「え?亥清さんが虫が出たっていうから……ほら、小さい蜘蛛じゃないですか。外に出してあげましょうよ」
「そ、そうじゃなくて……」
狗丸さんが視線を合わせてくれない。あっちにウロウロこっちをウロウロ、亥清さんは狗丸さんの後ろに隠れてしまった。
「あの……名前さん」
「なんですか」
「な、なんで服……服着てないんすか……」
「……」
「服は着てる、とか言ったら許さないから」
「ハル、よせって!イヤホントすみません……」
「イヤッ!!!!!!!!!」
あられも無い自分の姿を見て、それから呆然とベッドの上の狗丸さんと亥清さんを見返す。
狗丸さんはすいません、と繰り返し、とうとう亥清さんは布団をかぶって団子になってしまった。なんだか胸や腹が涼しいなとは思っていたが、まさか。自宅の感覚で服を脱いだ自分のバカ!!
「なんでなんで、なんで!黒くて小さいやつ着てるわけ!?トウマ、ぜんっぜん起きなくて役に立たないし!!」
「いや色がどうとかは俺に言われても……イテッ!寝てたのは悪かったって……」
布団団子の中で亥清さんが喚いているのを狗丸さんがヨシヨシと宥めた。私?私は頭を抱えてる。やってしまった。
どうりで!どうりで亥清さんがよそよそしいわけだ!!!下着の上下(亥清さんの言う通り黒くて面積小さめのやつ)、かろうじて引っ掛けただけのワイシャツ、メガネ!!部屋で涼みつつ、仕事にキリつけたら風呂に入ろうとして寝落ちした、今の私が身に付けてるのはたったそれだけだ。言い逃れのしようもない、露出狂じゃん!!
私たちは布団団子を挟んでしばし呆然と見つめあっていたが、ツインルームをイライラとノックする音にハッとした。
「ちょっと狗丸さん、他のお客さんもいるんですよ。それより何か楽しそうなことしてます?ずるい」
「うるさいぞ!何の騒ぎだ。延長戦やるなら俺らも呼べよ。次は絶対ウノって言うからな」
「あわわあわわ」
「ちょっと待て!!!マジで!マジで待て!!」
「ダメダメダメ!!何も面白くないから!!」
「名前さんはとりあえずなんか服着てくれ!」
「なんかって何ですか……!」
亥清さんは瞬時に布団を跳ね除けてドアを押さえにかかり、狗丸さんが寝巻きのズボンをモゾモゾと脱いで床に放った。テンパっているのか、ついでにTシャツまで脱いで放り投げる。ワアワア叫びながらも、ふたりとも視線は絶対こっちにくれない。そして狗丸さんはパンイチになってしまったわけだが……
「えー!なまあたたかい……」
「善意で貸してやったんだけど!?!?」
狗丸さんが小声で吠えると、大きな口からチラッと犬歯がのぞいた。恵んでいただいたズボンをモゾモゾと履いている間に亥清さんの「あーーーーッ!もう2人ともゴリラすぎ!」という悲鳴とともにツインルームのドアは破られた。やばい!裾のところが絡まってて履くのが間に合わない!
「ぎゃっ!」
「……」
「……」
慌ててズボンを引き上げようとして躓き、今の私はみっともなく尻を突き出し芋虫みたいに床に這いつくばっている。わあわあ騒いでいた棗さんと御堂さんの表情はこの惨状にすっかり抜け落ちた。御堂さんが黙ってドアを閉めて、これ以上の被害の拡大を阻止した。
「俺たちを仲間外れにして、ずいぶん楽しそうじゃないか」
重々しい御堂さんの声に、私たち3人はビクッと震えた。お、怒ってる……?
「……亥清さんになんてもの見せてるんですか」
ビクビクッ!棗さんのこれはマジで怒ってるやつ。亥清さんが頼りない声で巳波ぃ、と鳴いたが棗さんは険しい表情を崩さない。
「いやこれには深い訳が……」
「深かろうが浅かろうが、聞きたくないな」
「巳波ぃ……!!」
「狗丸さん早くパンツ履いてください」
「いやパンツだけは履いてるんだわ……」
「名前さんも黒いレースなんて見せびらかしてないで早くお尻しまってください。風邪ひきますよ」
「お、お見苦しいものを……」
「早くしまってください」
「ウス……」
棗さん御堂さんにビシバシ言われて、亥清さんと狗丸さんはベッドの上に仲良く正座した。私はモゾモゾとスウェットを腰まで引き上げて、床に正座した。
「何やってるんですか。私たち、女の人を床に正座させる趣味はないですよ」
「ほら、隣に並べ」
「え!今の名前さんの隣に並ぶのイヤなんだけど!」
「グッ」
「じゃあ狗丸さんの隣に。おふたりとも、ちょっと詰めて差し上げて」
「なんでこんな目に……」
「名前はボタン閉めてからにしてくれ。目のやり場に困る」
「虎於も目のやり場に困ることあるんだ……」
「俺じゃなくて悠が!」
「ああそっちね……」
3人仲良くベッドに正座して、私がモソモソボタンを留めていると、棗さんによる事情聴取が始まった。最初に現場を発見した亥清さんが身振り手振りで必死に事情を説明して、狗丸さんは項垂れて自分の番を待っている。ああ、今夜は寝かせてもらえなそう。せめてシャワー浴びてから寝落ちするんだった……隣で小さなくしゃみ。狗丸さんだ。彼は授業中みたいに小さく挙手をして、御堂さんがそれを一瞥した。
「どうした?」
「これ朝までかかる?俺、風邪ひきそうなんだけど……」
そういえば、この人パンイチだった。御堂さんがそれに気づいて吹き出して、棗さんも3人並んだ絵面の間抜けさに気づいて肩を震わせた。
「ちょっと、なんでそんな格好なんですか?あはは、もしかして床に落ちてるTシャツ、狗丸さんの?」
我慢できなかった棗さんが大笑いして、床のTシャツを拾い上げる。パタパタと埃をたたいてから狗丸さんに返却された。
「なんで上まで脱いだ?慌てすぎだろ」
御堂さんも笑いすぎて腹筋を抑えながら貸出用のパジャマの入ってる引き出しを開けて、狗丸さんにズボンだけ渡してあげた。
「ひどい、トウマの方が服着てないじゃん」
「んな笑うことないだろ……」
亥清さんが正座を崩してひっくり返って笑って、狗丸さんはモゾモゾとTシャツとパジャマを身につける。
「さて、それはそれ。これはこれです」
「事情聴取の途中たったな」
「ヒイッ」
棗さんと御堂さんは一瞬でガラリと雰囲気を変えて、それぞれ仁王立ちで私たちを見下ろした。私たち3人は慌てて正座し直して、罰を受け入れるポーズを取った。朝までコース、回避ならず。
「あの、私責任とって床で寝ますから」
「床!?俺がベッドひとつ使って名前さんは床で寝るってことか!?」
「なんでそうなるんですか。私たちの誰かが相部屋ですよ」
棗さんが呆れ返ってため息を漏らす。早く部屋で休みたい、といった表情だ。メンバー4人揃ってのロケは若い肉体を生かして過酷なアクテビティが多めだったので当然だろう。
「ダブルだったら俺が名前と寝てもよかったんだがな」
「トラ!」
「本当ですか?御堂さんベッドくっつけてダブルにして使っていいんで、私に床だけ貸してください」
「生憎だが、俺は真ん中がへこんだベッドじゃ寝れる気がしない」
「絶対嘘!虎於ロケバスでも飛行機でも平気で寝るじゃん!」
「なんかそういう昔話なかったか?」
「アンデルセンですね。本物のお姫様というものは、えんどう豆の上にふわふわの布団を40枚載せて初めてわかるんですよ」
「なんでもいいのでどなたか一晩床だけ貸してください」
「名前さんはなんでそんなに床にこだわってるわけ……」
「同じ高さで眠るのは恐れ多くて」
今をときめく人気アイドル4人がフロントでいつまでも揉めているのは少々体裁が悪い。他の客の視線が気になったらしい亥清さんが「オレとトウマが一緒に寝るよ」と切り出した。2人はこれまでにお泊まり会をしたことがあって、同じ部屋で寝るのは初めてではないのだという。
「巳波も虎於も、いきなり誰かと同じ部屋で寝ろって言われても無理なタイプじゃん」
「無理じゃないです」
「全然無理じゃない」
「なんなんだよ、もー!」
私が「本当にすみません」と頭を下げると「後でなんか奢ってもらう!」と亥清さんはいたずらっぽく笑ってツインルームの鍵を受けとった。
「奢りとか考えなくていいから!俺達この後コンビニ行くし……」
「どうせ全員同じ部屋に集まるんだ。気にするな」
「ええ。お二人の部屋に集まってトランプ大会やる予定なので」
「聞いてねえよ!」
「今言いました。ウノの方がよかったですか?」
「なんでもいいって……」
「名前さんも来る?」
「いや私はちょっと仕事が……」
「そうなの?残念」
優しい人たち!!そして仲良しさん!私にシングルルームを譲ってくれたおかげで今夜は山積みの仕事が少し進められそうだ。芸能事務所の人間というものは総じて忙しく、少し目を話した隙に宇都木さんからの未読チャットはすでにめちゃくちゃな数になっている。狗丸さんが早寝するなら遅くまでパソコンをつけていられないし、事務所に帰った時が恐ろしいなと思っていたのだが、少しでも減らせるなら越したことはない。
と思っていたのだが。
「名前さん!開けて!ねえってば!!」
「……亥清さん?」
やばい。寝落ちした。パソコンはスリープ状態で、結構長めに落ちていたらしい。なんか大変らしいが、おかげで目は覚めた。あのまま落ちてたら朝までコースだった。
「どうしたんですか?怖い夢でも見ました?」
「一生のお願い!巳波も虎於も帰っちゃったしトウマ全然起きなくて役に立たな……」
私の部屋のドアを無理やり開けようとして、亥清さんが絶句する。
「どうしたんですか?お化け?漏水?」
「む、虫……でもいい、自分でどうにかするから!」
「?なんでですか、どうにかできないから呼んだんでしょう」
「いい、いいってば……」
亥清さんの青かった顔色が赤くなってまた血の気が引いた。Gだろうか。個人的にはGよりやばいのはKから始まるやつなんだけど、どちらにせよスリッパで叩いてやっつければいいだろう。スリッパ、スリッパ……
「ちょっと亥清さんなんでドア閉めようとするんですか」
「なんでって……!?もういい、名前さんは部屋戻って。トウマ叩き起こしてどうにかする……」
「せっかく寝てるのに狗丸さん起こしたらかわいそうですよ」
「今のオレの方がかわいそうなんだけど!?」
涙目になるほど怖かったのだろうか。よし、さくっと倒して差し上げよう。廊下でオロオロしていた亥清さんは「もうなるようになれ……」とブツブツ唸って、私をツインルームに押し込んだ。
「虫、虫、虫……」
「……ベッドの足元の方」
「ん〜?」
寝起きのせいか、疲れ目のせいか、全然わからない。悍ましいGの波動は感じないが……カーペットに手をついて両膝もつく。こういうのは視線をなるべく奴らに近づけた方がいいのだ。多分。
「名前さんちょっとマジ勘弁して……!!起きろってば、トウマ!リーダーでしょ!?」
「んん……」
「トウマぁ!」
「ん……ハル、何騒いでんだ……ブフッ!!!!!!!」
亥清さんに激しくゆり起こされて目を覚ました狗丸さんが飛び起きて盛大に暴れた。気配がした。虫退治が最優先なのでそちらに目を向ける余裕はない。
「……あ!いた!いました!えい!」
「……名前さん……何やってんだ?」
「え?亥清さんが虫が出たっていうから……ほら、小さい蜘蛛じゃないですか。外に出してあげましょうよ」
「そ、そうじゃなくて……」
狗丸さんが視線を合わせてくれない。あっちにウロウロこっちをウロウロ、亥清さんは狗丸さんの後ろに隠れてしまった。
「あの……名前さん」
「なんですか」
「な、なんで服……服着てないんすか……」
「……」
「服は着てる、とか言ったら許さないから」
「ハル、よせって!イヤホントすみません……」
「イヤッ!!!!!!!!!」
あられも無い自分の姿を見て、それから呆然とベッドの上の狗丸さんと亥清さんを見返す。
狗丸さんはすいません、と繰り返し、とうとう亥清さんは布団をかぶって団子になってしまった。なんだか胸や腹が涼しいなとは思っていたが、まさか。自宅の感覚で服を脱いだ自分のバカ!!
「なんでなんで、なんで!黒くて小さいやつ着てるわけ!?トウマ、ぜんっぜん起きなくて役に立たないし!!」
「いや色がどうとかは俺に言われても……イテッ!寝てたのは悪かったって……」
布団団子の中で亥清さんが喚いているのを狗丸さんがヨシヨシと宥めた。私?私は頭を抱えてる。やってしまった。
どうりで!どうりで亥清さんがよそよそしいわけだ!!!下着の上下(亥清さんの言う通り黒くて面積小さめのやつ)、かろうじて引っ掛けただけのワイシャツ、メガネ!!部屋で涼みつつ、仕事にキリつけたら風呂に入ろうとして寝落ちした、今の私が身に付けてるのはたったそれだけだ。言い逃れのしようもない、露出狂じゃん!!
私たちは布団団子を挟んでしばし呆然と見つめあっていたが、ツインルームをイライラとノックする音にハッとした。
「ちょっと狗丸さん、他のお客さんもいるんですよ。それより何か楽しそうなことしてます?ずるい」
「うるさいぞ!何の騒ぎだ。延長戦やるなら俺らも呼べよ。次は絶対ウノって言うからな」
「あわわあわわ」
「ちょっと待て!!!マジで!マジで待て!!」
「ダメダメダメ!!何も面白くないから!!」
「名前さんはとりあえずなんか服着てくれ!」
「なんかって何ですか……!」
亥清さんは瞬時に布団を跳ね除けてドアを押さえにかかり、狗丸さんが寝巻きのズボンをモゾモゾと脱いで床に放った。テンパっているのか、ついでにTシャツまで脱いで放り投げる。ワアワア叫びながらも、ふたりとも視線は絶対こっちにくれない。そして狗丸さんはパンイチになってしまったわけだが……
「えー!なまあたたかい……」
「善意で貸してやったんだけど!?!?」
狗丸さんが小声で吠えると、大きな口からチラッと犬歯がのぞいた。恵んでいただいたズボンをモゾモゾと履いている間に亥清さんの「あーーーーッ!もう2人ともゴリラすぎ!」という悲鳴とともにツインルームのドアは破られた。やばい!裾のところが絡まってて履くのが間に合わない!
「ぎゃっ!」
「……」
「……」
慌ててズボンを引き上げようとして躓き、今の私はみっともなく尻を突き出し芋虫みたいに床に這いつくばっている。わあわあ騒いでいた棗さんと御堂さんの表情はこの惨状にすっかり抜け落ちた。御堂さんが黙ってドアを閉めて、これ以上の被害の拡大を阻止した。
「俺たちを仲間外れにして、ずいぶん楽しそうじゃないか」
重々しい御堂さんの声に、私たち3人はビクッと震えた。お、怒ってる……?
「……亥清さんになんてもの見せてるんですか」
ビクビクッ!棗さんのこれはマジで怒ってるやつ。亥清さんが頼りない声で巳波ぃ、と鳴いたが棗さんは険しい表情を崩さない。
「いやこれには深い訳が……」
「深かろうが浅かろうが、聞きたくないな」
「巳波ぃ……!!」
「狗丸さん早くパンツ履いてください」
「いやパンツだけは履いてるんだわ……」
「名前さんも黒いレースなんて見せびらかしてないで早くお尻しまってください。風邪ひきますよ」
「お、お見苦しいものを……」
「早くしまってください」
「ウス……」
棗さん御堂さんにビシバシ言われて、亥清さんと狗丸さんはベッドの上に仲良く正座した。私はモゾモゾとスウェットを腰まで引き上げて、床に正座した。
「何やってるんですか。私たち、女の人を床に正座させる趣味はないですよ」
「ほら、隣に並べ」
「え!今の名前さんの隣に並ぶのイヤなんだけど!」
「グッ」
「じゃあ狗丸さんの隣に。おふたりとも、ちょっと詰めて差し上げて」
「なんでこんな目に……」
「名前はボタン閉めてからにしてくれ。目のやり場に困る」
「虎於も目のやり場に困ることあるんだ……」
「俺じゃなくて悠が!」
「ああそっちね……」
3人仲良くベッドに正座して、私がモソモソボタンを留めていると、棗さんによる事情聴取が始まった。最初に現場を発見した亥清さんが身振り手振りで必死に事情を説明して、狗丸さんは項垂れて自分の番を待っている。ああ、今夜は寝かせてもらえなそう。せめてシャワー浴びてから寝落ちするんだった……隣で小さなくしゃみ。狗丸さんだ。彼は授業中みたいに小さく挙手をして、御堂さんがそれを一瞥した。
「どうした?」
「これ朝までかかる?俺、風邪ひきそうなんだけど……」
そういえば、この人パンイチだった。御堂さんがそれに気づいて吹き出して、棗さんも3人並んだ絵面の間抜けさに気づいて肩を震わせた。
「ちょっと、なんでそんな格好なんですか?あはは、もしかして床に落ちてるTシャツ、狗丸さんの?」
我慢できなかった棗さんが大笑いして、床のTシャツを拾い上げる。パタパタと埃をたたいてから狗丸さんに返却された。
「なんで上まで脱いだ?慌てすぎだろ」
御堂さんも笑いすぎて腹筋を抑えながら貸出用のパジャマの入ってる引き出しを開けて、狗丸さんにズボンだけ渡してあげた。
「ひどい、トウマの方が服着てないじゃん」
「んな笑うことないだろ……」
亥清さんが正座を崩してひっくり返って笑って、狗丸さんはモゾモゾとTシャツとパジャマを身につける。
「さて、それはそれ。これはこれです」
「事情聴取の途中たったな」
「ヒイッ」
棗さんと御堂さんは一瞬でガラリと雰囲気を変えて、それぞれ仁王立ちで私たちを見下ろした。私たち3人は慌てて正座し直して、罰を受け入れるポーズを取った。朝までコース、回避ならず。
