去る春、君の声だけが在る2
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移動距離が長いので、選手を追いかける側も大変だ。方々からの出資もありスタート・ゴール地点の近くに宿を取ったが、まったく観光どころではない。
いつもは日焼け対策万全で、なるべく焼かないように気をつけているが今日ばかりはその余裕なし。正直顔まで覆いたいくらいだが、今年も山神謹製Tシャツを着ている以上、校名背負ってみっともないマネはできない。2個上の先輩方は過保護だ。昨年のインハイ前突然渡されたTシャツ。わけもわからず受け取ったが、あれはロードサイドにいる部員から見つけやすく目立つという理由だった。それから「ハコガクの部員と分かればそうそう絡まれないだろう」という理由。これは……逆に絡まれたりしてイマイチ実感しなかったけど。今年は3日間あっちこっち走り回って大忙しの予定だから、ちゃんと機能してくれることを祈るばかりだ。絡まれてる暇はない。マネージャーとして任された仕事は去年よりはるかに多い。これは素直に嬉しかった。
さて、今回の箱根学園の方針だが例年選手以外は多くが路上待機になる。選手通過時の報告や大勢を把握するための連絡手段として、今年からグループチャットを導入した。複数のチャットルームを用途で使い分ける方針で、メインルーム、事務連絡ルーム、各リザルトの報告ルーム、マネージャーとメカニックなど裏方中心の通称マネメカルーム、レース以外の連絡も行う学年ごとのルーム、それからいくつかの隠しルーム。規模の大きいレースですでに導入済みで、実用性は確認済み。
今日の私の仕事としては先回りして明智平ロープウェイ付近での待機。主にリザルト報告ルームのひとつ「山岳ルーム」で報告したり、「マネメカルーム」で依頼があれば対応したり、宿泊関係で「事務連絡ルーム」で発信したりする予定だ。個人的には今日の山岳ライン待機は泣くほど嬉しい。ただでさえ夏休み、渋滞のいろは坂をのろのろ登ったら車酔いで死ぬから。
山岳ラインにすでに待機している大会関係者、それから他校の知り合いに挨拶を終えて一息。2年チャットを覗くと早速スタート前の揉め事が報告されていた。天を仰いでしまうのもやむなし。早速すぎるぜバシさん!
どうやら他校の1年と揉めてたらしい。しかも総北。どうせ泉田さんから「存分に暴れてこい」って煽られてるだろうなと思ったけど、走る前から暴れすぎだよ……我々の仲良しは同級生に知れ渡ってるから「やっぱ苗字さんにスタート地点入ってもらった方がよかったじゃん」「手に負えねえよアレはまじで」「どうにかしてください」とお叱りのチャットが入っていた。出走後先輩方がうまいことコントロールしてくれることを祈るばかり。泉田さんなんてコントロールがうますぎて乗馬鞭の幻覚が見える時がある。
あとサブ携帯(電波を求めて2回線デビューしたので携帯とスマホの2機持ちになった。これもうまいことうちの両親を説得してくれた隼人くんのおかげだ)で「シークレットルーム」を一瞬開く。で、すぐ閉じた。
入室パスワード付きの隠し部屋は複数ある。当然私も全ては把握していないが(女マネージャー抜きで話したいこともあるだろうし)、同志のみに解放されたいくつかの部屋には私もアクセスできる。そのうちのひとつが「精神安定のための泉田実況ルーム」。通称主将姫応援 ルーム。王者奪還のプレッシャーで精神不安定な部員たちがひたすら泉田さんを姫と呼ばわり実況している。本人にバレたら死ぬので名前出し厳禁、パスワードは同志にしか共有されない厳重さ。じゃあやるなよって感じだけど、みんな限界ギリギリで今日を迎えたわけで。ここ数日インターハイが近づくにつれて胃痛に悩まされる部員も多く、もう縋るものなら何にでも縋りたいという限界部員が最後に縋るのが我らが泉田主将 。私は出入りを許されていないが、真波の限界グループも多分ある(ような雰囲気がしている)。
出走前が一番緊張するのは選手以外も同じで、朝の挨拶 ラッシュを皮切りに実況ルームは大盛り上がりだった。「髪型の件やっぱり取材陣に言われてましたo(^-^)o」「わかる、かわいいもんね」「今日も姫ガンギマリっす最高〜!」と大いに荒ぶっている。私も今朝起きて真っ先に朝の挨拶 をした身、ブーメランが飛んでくるのであまり下手なことは言えないが。が、「KISS」「ちゅ……」「ンチュ……」などと朝イチで主将にエアキッスする部員ども。見られたら死ぬ。まじで。殺される。黒田さんに見られても死ぬ。いやなんか薄々察してるぽい物言い(あれも一応男子高校生だからな、崇拝するのもほどほどにしとけよ)もしてたけど。去年の秋、新体制に対する不満に満ちていた部内を思うと複雑だが、あれから1年が経ち主将をちやほやすることでしか平常心を保てない限界集団に成り果てた。こう言うとちょっと間抜けみたいだけど、部員は全員初めての追う立場なので、みんな緊張とイヤなプレッシャーを感じているのだ。許してほしい。そしてどうか見逃してほしい。
いつもは日焼け対策万全で、なるべく焼かないように気をつけているが今日ばかりはその余裕なし。正直顔まで覆いたいくらいだが、今年も山神謹製Tシャツを着ている以上、校名背負ってみっともないマネはできない。2個上の先輩方は過保護だ。昨年のインハイ前突然渡されたTシャツ。わけもわからず受け取ったが、あれはロードサイドにいる部員から見つけやすく目立つという理由だった。それから「ハコガクの部員と分かればそうそう絡まれないだろう」という理由。これは……逆に絡まれたりしてイマイチ実感しなかったけど。今年は3日間あっちこっち走り回って大忙しの予定だから、ちゃんと機能してくれることを祈るばかりだ。絡まれてる暇はない。マネージャーとして任された仕事は去年よりはるかに多い。これは素直に嬉しかった。
さて、今回の箱根学園の方針だが例年選手以外は多くが路上待機になる。選手通過時の報告や大勢を把握するための連絡手段として、今年からグループチャットを導入した。複数のチャットルームを用途で使い分ける方針で、メインルーム、事務連絡ルーム、各リザルトの報告ルーム、マネージャーとメカニックなど裏方中心の通称マネメカルーム、レース以外の連絡も行う学年ごとのルーム、それからいくつかの隠しルーム。規模の大きいレースですでに導入済みで、実用性は確認済み。
今日の私の仕事としては先回りして明智平ロープウェイ付近での待機。主にリザルト報告ルームのひとつ「山岳ルーム」で報告したり、「マネメカルーム」で依頼があれば対応したり、宿泊関係で「事務連絡ルーム」で発信したりする予定だ。個人的には今日の山岳ライン待機は泣くほど嬉しい。ただでさえ夏休み、渋滞のいろは坂をのろのろ登ったら車酔いで死ぬから。
山岳ラインにすでに待機している大会関係者、それから他校の知り合いに挨拶を終えて一息。2年チャットを覗くと早速スタート前の揉め事が報告されていた。天を仰いでしまうのもやむなし。早速すぎるぜバシさん!
どうやら他校の1年と揉めてたらしい。しかも総北。どうせ泉田さんから「存分に暴れてこい」って煽られてるだろうなと思ったけど、走る前から暴れすぎだよ……我々の仲良しは同級生に知れ渡ってるから「やっぱ苗字さんにスタート地点入ってもらった方がよかったじゃん」「手に負えねえよアレはまじで」「どうにかしてください」とお叱りのチャットが入っていた。出走後先輩方がうまいことコントロールしてくれることを祈るばかり。泉田さんなんてコントロールがうますぎて乗馬鞭の幻覚が見える時がある。
あとサブ携帯(電波を求めて2回線デビューしたので携帯とスマホの2機持ちになった。これもうまいことうちの両親を説得してくれた隼人くんのおかげだ)で「シークレットルーム」を一瞬開く。で、すぐ閉じた。
入室パスワード付きの隠し部屋は複数ある。当然私も全ては把握していないが(女マネージャー抜きで話したいこともあるだろうし)、同志のみに解放されたいくつかの部屋には私もアクセスできる。そのうちのひとつが「精神安定のための泉田実況ルーム」。通称
出走前が一番緊張するのは選手以外も同じで、
