去る春、君の声だけが在るIF
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
グラビア撮影のお仕事。敏腕マネージャーは時に自由すぎる選手が問題行動を起こさぬよう見張り、時に選手のまとう衣装の裾をなびかせ、時にはためくマントのために風を起こし……主に黒子役として裏で暗躍する。いつもと同じだ。……同じかな?そもそもなんで一般男子高校生が正装もといコスプレを……?ダメダメ、正気に戻ったら負け。
「勘弁してください!」
だから普段なら……箱根学園のマネージャーとして、こんなみっともない悲鳴なんてあげないんだけど。
「何が不満?」
葦木場さん……我らがエースのせいだ。ほっぺを膨らませて、ぷんぷんしていてかわいい。2年の先輩たちにはそういう顔をよく見せるみたいだけど、後輩には見せてくれないから。でもこれ、ギャーギャー逃げ回る私が気に食わないゆえの貴重な顔なんだけど……
スタジオを逃げ回った先にいい身代わりを見つけた。手嶋純太。葦木場さんの因縁の相手、憧れの人、トモタチ。ぐるっと回り込んで背中に隠れる。
「ちょっと助けてください」
「おわっ」
「ちょっと純ちゃん、邪魔しないで。そこ退いて」
「邪魔しないでって、オレは正真正銘巻き込まれた側なんだけどな」
「ヤダヤダヤダ手嶋純太どうにかして葦木場さんのトモダチでしょ」
「お前相変わらず態度悪いな!」
だってだって、この男になんかそういう後輩らしい態度を取るのは癪に障るというか、なんていうか、嫌なんだもん。いつもの飄々とした態度、たまに顔を出す卑屈な発言、それから山の頂上で見た全部使い切った後の死にそうな顔。鮮烈な光。それが私が知ってる手嶋の全て。ハコガクにはいないタイプの暗い……一見陽キャぽいのに暗い一面を持つ、ライバル校の主将。先輩だろうが、気に食わない男……しかし今日ばかりは藁にも手嶋にも縋りたいのだ。だって、葦木場さんが……
「……なんとかして!」
「なんとかって……そもそもなんで鬼ごっこしてたんだ?」
「してない。名前が勝手に逃げたんだよ」
「だって……」
よくよく見れば、手嶋も葦木場さんと同じような白を基調とした服を着ている。背中にしがみついていたので気づかなかった。
手嶋の背中から手を離し、前に回り込み、5歩下がり全体を視界に収める。上から下までしげしげ見て、一瞬だけ見た葦木場さんと脳内で比較する。
「……葦木場さんの方がかっこいい」
「っとに、お前なーーーー!?」
「だってだってだって!見た!?なんで!?なんでこんな謎のコスプレでこんなにかっこいいの!?葦木場さんはなんでこんなにかっこいいの!?おかしいでしょ!」
「おかしくないよオレいつも通りだよ」
「あのな……」
「怖くて振り向けない。手嶋純太、どうにかして」
「どうにかしようにも、シキバお前の背後に立ってるけど」
「やだーッ」
「よし確保」
言葉の通り、虫でも捕まえるみたいに背後から脇の下に両腕通されて捕獲。相手は先輩、それも超大男、更に今日は衣装で全身白。金の亡者は下手に暴れられない!衣装の汚損が怖いから!
「やだやだやだーッ!教えてよなんでこんな一般男子高校生がしたらオモシロくしかならない衣装でかっこよく見えるの!?」
「知るか!足の長さ!顔!以上だ!」
「うちのエースは脚が長くて顔がかっこよすぎて、変なコスプレでも似合っちゃうってこと!?」
「そうだよ!凡人とは違うんだよ!何度も言わせんな!」
「純ちゃんはいつだってかっこいいよ!」
「うるせー!!今言われても嬉しくねえよ!」
私に負けじと手嶋純太もギャンギャン喚いて、葦木場さんの「でも」の一言でピタリとやんだ。葦木場さんの一音一音が重く、これこそがエースの風格だと思う。
頭上から声。恐る恐る見上げる。かっこいいエースの顔じゃなくて、同級生相手にわがまま言ったり天然発言で黒田さんを働かせてる時のむくれた顔をしている。……嫌な予感!ド天然爆弾着火!
「名前だって、インターハイのあと、他校なら純ちゃんがいちばんかっこよかったって言ってた!」
「言ってない言ってない言ってない!!」
「言ってた!」
「言ってないです!」
「他校なら」ね!?確かに言ったけど!今言わなくてよくないですかそれは!?ねえ!葦木場さんてば!!
「へー、オレがいちばんカッコよかったって?」
「言ってない言ってない」
「まあまあ、照れるなって」
「照れてないし、手嶋純太が怪盗のコスプレしたって全然かっこよくない」
「へー」
へらへら笑ってて、全然こたえてない!私が葦木場さんに捕まったままなのをいいことに、手嶋純太はチョイチョイと犬か猫を構うみたいに下から手を出してきた。がるる……!私は躾の行き届いてない、嫌いな相手はとりあえず噛むタイプの後輩だぞ!総北にはいないだろ!
「お前なんて、お前なんて、葦木場さんの10分の1くらいしかカッコよくない!」
「大絶賛のシキバの10パーセント?へー、凡人にしては過大な評価をいただいたな」
「むかつくむかつくむかつく」
「むかつくほどカッコいいって?ありがとな♡」
「あーーーーーもうこいつヤダ!!」
「先輩相手に随分な口きくじゃねえか」
「ぐぬぬぐぬぬ」
「……だから純ちゃん相手に口で勝つのは無理だって」
ついに葦木場さんにまで無理だと言われ、私は悔しさに唸ることしかできない。……こらそこ!ニヤニヤするな手嶋ァ!
「勘弁してください!」
だから普段なら……箱根学園のマネージャーとして、こんなみっともない悲鳴なんてあげないんだけど。
「何が不満?」
葦木場さん……我らがエースのせいだ。ほっぺを膨らませて、ぷんぷんしていてかわいい。2年の先輩たちにはそういう顔をよく見せるみたいだけど、後輩には見せてくれないから。でもこれ、ギャーギャー逃げ回る私が気に食わないゆえの貴重な顔なんだけど……
スタジオを逃げ回った先にいい身代わりを見つけた。手嶋純太。葦木場さんの因縁の相手、憧れの人、トモタチ。ぐるっと回り込んで背中に隠れる。
「ちょっと助けてください」
「おわっ」
「ちょっと純ちゃん、邪魔しないで。そこ退いて」
「邪魔しないでって、オレは正真正銘巻き込まれた側なんだけどな」
「ヤダヤダヤダ手嶋純太どうにかして葦木場さんのトモダチでしょ」
「お前相変わらず態度悪いな!」
だってだって、この男になんかそういう後輩らしい態度を取るのは癪に障るというか、なんていうか、嫌なんだもん。いつもの飄々とした態度、たまに顔を出す卑屈な発言、それから山の頂上で見た全部使い切った後の死にそうな顔。鮮烈な光。それが私が知ってる手嶋の全て。ハコガクにはいないタイプの暗い……一見陽キャぽいのに暗い一面を持つ、ライバル校の主将。先輩だろうが、気に食わない男……しかし今日ばかりは藁にも手嶋にも縋りたいのだ。だって、葦木場さんが……
「……なんとかして!」
「なんとかって……そもそもなんで鬼ごっこしてたんだ?」
「してない。名前が勝手に逃げたんだよ」
「だって……」
よくよく見れば、手嶋も葦木場さんと同じような白を基調とした服を着ている。背中にしがみついていたので気づかなかった。
手嶋の背中から手を離し、前に回り込み、5歩下がり全体を視界に収める。上から下までしげしげ見て、一瞬だけ見た葦木場さんと脳内で比較する。
「……葦木場さんの方がかっこいい」
「っとに、お前なーーーー!?」
「だってだってだって!見た!?なんで!?なんでこんな謎のコスプレでこんなにかっこいいの!?葦木場さんはなんでこんなにかっこいいの!?おかしいでしょ!」
「おかしくないよオレいつも通りだよ」
「あのな……」
「怖くて振り向けない。手嶋純太、どうにかして」
「どうにかしようにも、シキバお前の背後に立ってるけど」
「やだーッ」
「よし確保」
言葉の通り、虫でも捕まえるみたいに背後から脇の下に両腕通されて捕獲。相手は先輩、それも超大男、更に今日は衣装で全身白。金の亡者は下手に暴れられない!衣装の汚損が怖いから!
「やだやだやだーッ!教えてよなんでこんな一般男子高校生がしたらオモシロくしかならない衣装でかっこよく見えるの!?」
「知るか!足の長さ!顔!以上だ!」
「うちのエースは脚が長くて顔がかっこよすぎて、変なコスプレでも似合っちゃうってこと!?」
「そうだよ!凡人とは違うんだよ!何度も言わせんな!」
「純ちゃんはいつだってかっこいいよ!」
「うるせー!!今言われても嬉しくねえよ!」
私に負けじと手嶋純太もギャンギャン喚いて、葦木場さんの「でも」の一言でピタリとやんだ。葦木場さんの一音一音が重く、これこそがエースの風格だと思う。
頭上から声。恐る恐る見上げる。かっこいいエースの顔じゃなくて、同級生相手にわがまま言ったり天然発言で黒田さんを働かせてる時のむくれた顔をしている。……嫌な予感!ド天然爆弾着火!
「名前だって、インターハイのあと、他校なら純ちゃんがいちばんかっこよかったって言ってた!」
「言ってない言ってない言ってない!!」
「言ってた!」
「言ってないです!」
「他校なら」ね!?確かに言ったけど!今言わなくてよくないですかそれは!?ねえ!葦木場さんてば!!
「へー、オレがいちばんカッコよかったって?」
「言ってない言ってない」
「まあまあ、照れるなって」
「照れてないし、手嶋純太が怪盗のコスプレしたって全然かっこよくない」
「へー」
へらへら笑ってて、全然こたえてない!私が葦木場さんに捕まったままなのをいいことに、手嶋純太はチョイチョイと犬か猫を構うみたいに下から手を出してきた。がるる……!私は躾の行き届いてない、嫌いな相手はとりあえず噛むタイプの後輩だぞ!総北にはいないだろ!
「お前なんて、お前なんて、葦木場さんの10分の1くらいしかカッコよくない!」
「大絶賛のシキバの10パーセント?へー、凡人にしては過大な評価をいただいたな」
「むかつくむかつくむかつく」
「むかつくほどカッコいいって?ありがとな♡」
「あーーーーーもうこいつヤダ!!」
「先輩相手に随分な口きくじゃねえか」
「ぐぬぬぐぬぬ」
「……だから純ちゃん相手に口で勝つのは無理だって」
ついに葦木場さんにまで無理だと言われ、私は悔しさに唸ることしかできない。……こらそこ!ニヤニヤするな手嶋ァ!
