去る春、君の声だけが在る2
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入部前から「悠人」は問題を起こした。幼馴染としては庇う気持ちがあるが、部員としては特別扱いはできない。喧嘩両成敗といこうにも悠人は「オレは悪くない」と頑なだ。
「お前にとってはかわいい弟分なのは知ってる。でも特別扱いできないのはわかるな」
悠人の入寮が決まってすぐに葦木場さんと黒田さんに呼び出された。黒田さんの声は険しく、何のことかはすぐにわかった。そしてこのメンバーの意味も。
「わかってます」
主将の泉田さんがいないのは、そういうことだ。私と同じで……それか私以上に新開悠人を持て余すことがわかっている。
「……きっとみんなすぐに目が覚めますよ、悠ちゃん本当に隼人くんとは真逆ですから」
「多分、その『悠ちゃん』も部活の時はやめたほうがいい」
「わかりました」
葦木場さんに悠人の話は前もってしてある。葦木場さんはあの時「わかった」と言ったけどどこまでわかってるかは不明だ。考え込むような仕草。
「お前達は多分距離の取り方を学んだほうがいいんだと思う」
「は、い……」
やたら距離の近い先輩に言われるような、距離の取り方ってなんだ。葦木場さんはよし、と頷いて私の頭をポンポン撫でた。ほら……
悠人は金子さんと篠崎さんにも絡んだらしいし……バシさん相手にも絡んでたらしいし……っていうかバシさんとの初対面は最悪だったらしい。
「ああ、あなたが『バシさん』ですか」
バシさん側にも一応新1年生の面倒を見る気はあった。最強スプリンターの弟、細くて頼りなさそうな新1年だが、名前の幼馴染でもあるわけだし、と思っていたらしい。私のかわいい幼馴染にしては最初の一言がトゲトゲしてるけど。
「シュークリーム、美味かったです。ごちそうさまでした」
言葉以上の意味を含ませる、嫌味な言い方。喧嘩早いバシさんの手が出なかったのは、ひとえに苦労して手に入れたレギュラーの座、およそ1年かけて厳しく躾けた泉田さんの成果……それから友人たる私が「幼馴染が入部してくる、楽しみだけど不安だ」と入寮前夜にこぼしたことを覚えていたから、らしい。同じくラーメン屋のカウンターでの会話を覚えていたレイさんがうまいこと引き剥がしてその場で乱闘は回避された。
それらを受けて、葦木場さんがいつもと変わらない顔で「一旦折っといた方がいいな」と呟いた。……なにを?真意を図ろうと遥か上のお顔を見上げる。大きな手で何かある程度の長さのものを両手で持ち、それを真っ二つに折るような仕草。……なんと。
「こう、バキバキに」
「……バキバキッと」
「そう」
どうやら私の幼馴染はバキバキにされるらしい。体格差的にはバキバキにするのは容易いだろう。……悠ちゃん、逃げてくれ!
「お前にとってはかわいい弟分なのは知ってる。でも特別扱いできないのはわかるな」
悠人の入寮が決まってすぐに葦木場さんと黒田さんに呼び出された。黒田さんの声は険しく、何のことかはすぐにわかった。そしてこのメンバーの意味も。
「わかってます」
主将の泉田さんがいないのは、そういうことだ。私と同じで……それか私以上に新開悠人を持て余すことがわかっている。
「……きっとみんなすぐに目が覚めますよ、悠ちゃん本当に隼人くんとは真逆ですから」
「多分、その『悠ちゃん』も部活の時はやめたほうがいい」
「わかりました」
葦木場さんに悠人の話は前もってしてある。葦木場さんはあの時「わかった」と言ったけどどこまでわかってるかは不明だ。考え込むような仕草。
「お前達は多分距離の取り方を学んだほうがいいんだと思う」
「は、い……」
やたら距離の近い先輩に言われるような、距離の取り方ってなんだ。葦木場さんはよし、と頷いて私の頭をポンポン撫でた。ほら……
悠人は金子さんと篠崎さんにも絡んだらしいし……バシさん相手にも絡んでたらしいし……っていうかバシさんとの初対面は最悪だったらしい。
「ああ、あなたが『バシさん』ですか」
バシさん側にも一応新1年生の面倒を見る気はあった。最強スプリンターの弟、細くて頼りなさそうな新1年だが、名前の幼馴染でもあるわけだし、と思っていたらしい。私のかわいい幼馴染にしては最初の一言がトゲトゲしてるけど。
「シュークリーム、美味かったです。ごちそうさまでした」
言葉以上の意味を含ませる、嫌味な言い方。喧嘩早いバシさんの手が出なかったのは、ひとえに苦労して手に入れたレギュラーの座、およそ1年かけて厳しく躾けた泉田さんの成果……それから友人たる私が「幼馴染が入部してくる、楽しみだけど不安だ」と入寮前夜にこぼしたことを覚えていたから、らしい。同じくラーメン屋のカウンターでの会話を覚えていたレイさんがうまいこと引き剥がしてその場で乱闘は回避された。
それらを受けて、葦木場さんがいつもと変わらない顔で「一旦折っといた方がいいな」と呟いた。……なにを?真意を図ろうと遥か上のお顔を見上げる。大きな手で何かある程度の長さのものを両手で持ち、それを真っ二つに折るような仕草。……なんと。
「こう、バキバキに」
「……バキバキッと」
「そう」
どうやら私の幼馴染はバキバキにされるらしい。体格差的にはバキバキにするのは容易いだろう。……悠ちゃん、逃げてくれ!
