去る春、君の声だけが在るIF
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外水道の掃除をしていたら、「苗字!苗字どこ行った!?!?」と叫び声が遠くからした。黒田さんだ。何かやらかしたかなあ。思い出そうとするけど心当たりがない。幹部学年になってからは私結構そこそこ真面目にやってるし。
それからすぐ、バタバタと黒田さんが飛び込んできた。私を見つけて、「大変なんだよ!!」と叫び、膝に手をついて息を整える。あの黒田さんが。珍しいなと思って私はまじまじと黒田さんのまん丸い後頭部を見た。黒田さんがこんなに慌ててるのだから、相当な事態だろう。掃除も今日はここまでにしよう、とりあえず蛇口を閉める。
「どうしたんですか?何かありました?」
「とにかく、来い、塔一郎が……大変なことに……!」
「えっ怪我でもしました!?」
「ここじゃ言えねえ、部室行くぞ」
「ここじゃ言えねえってなに!?」
黒田さんを追って慌てて部室に戻る。1番小さい部屋、私がよく事務仕事をするのに使っている。が、扉に「立入禁止」の張り紙がされている。えっ何これ。
「この部屋で起こったことは他言無用だ。いいな」
「えっ怖、本当に怖いんですけど!」
黒田さんが恐ろしい宣言をして扉を少しだけ開ける。私も続いて入って、扉を閉める。促されて、鍵をかける。
室内には作業用の大きいテーブル、資料の入ったロッカー、パイプ椅子と長椅子。それから困った顔で立ちすくむ、巨乳の美女がいた。ハコガクのジャージ姿……胸とお尻と太ももがパツパツになっている。長いまつ毛を伏せて、ためいきをつく姿で確信した。
「うわっ泉田さんだ」
「ユキ……名前を呼ぶ必要はないって言ったのに」
「女の子の声だ!!」
「名前」
「はい。黙ります」
冷たい声で名前を呼ばれて姿勢を正す。女の子の声だけど、トーンは完全にいつもと同じで、私の脳内は(うわ、女の子だ……)と(泉田さんだ……)を行ったり来たりして大混乱だ。この状況についていけてない私を置いてけぼりに、黒田さんと泉田さんが揉めている。
「他にどうしろっつーんだよ、部員を呼ぶわけにもいかねーだろ」
「だからって……」
確かに前キャプテンが巨乳の美女になった今(本当に信じられないけど)、飢えた男子高校生の前に無闇にその姿を晒すのは危険な気がする。私が呼ばれたのはそういうわけか。とりあえず、この汗臭い部室に美女がいるのが居た堪れなくて、窓を少しだけ開けた。
「いや、なんでこんなことになっちゃったんですか。お姉さんか妹さんがいる話聞いたことないから普通に信じちゃいましたけど、おかしいでしょ!?」
「ボクだって今の状況が現実だって信じたくないけどね……」
美女の一人称がボクなの、当たり前なんだけどちょっとときめいた。それにしてもおっぱいが大きすぎる。泉田さんは頭痛を堪えるようにこめかみを抑え、その拍子にサイジャに包まれたおっぱいがむにゅっと形を変えた。す、すごい……
いわく、自主練中に道で倒れているご老人を助けたところ、「感心な若者じゃ、褒めてつかわす」との言葉の後眩い光に包まれ気絶して、目が覚めたらこうだったのだという。慌てて黒田さんに連絡を取り、不慣れなカラダでなんとか自転車漕いで学校まで戻ってきた。
説明してもらっても何がなんだかだし、泉田さんの事情説明の間、私は立派すぎるおっぱいから目を離せないでいたのであまり内容が入ってこなかった。も、ものすごく大きいし、丸い。羨ましいの域を超えて普通に大変そう。サイジャを無理やり押し上げる(ジッパーなるべく上げようとしたみたいだけど、上まで上がってなくて逆に大変なことになっている。ジッパーが壊れそうだ)おっぱいはとにかく大迫力だ。すっご……ていうか練習行ってたってことは今も下着的なものをつけてなくてこの大迫力ってこと?重力どうなってるの?やっぱ大胸筋パワーか。アンディとフランクってすごい……!そんな感じでおっぱいに夢中になっていたところ、黒田さんに小突かれて我に返る。
「戻るまで服かなんか貸してやれ。で、お前が面倒見ろ」
「む、無理です……!服、黒田さんの着れます?それか、誰かに借りて……とりあえず、なんか大きめの羽織って……」
黒田さんの長袖ジャージを借りて羽織る、それだけの動作なのに大きいおっぱいは多彩な表情を見せてくれて私と黒田さんはそれを固唾を飲んで見守った。す、すげえ……私達は同じタイミングでゴクリと喉を鳴らし、美女の泉田さんに睨まれる。
それで、幼馴染が女体化したことをイマイチ受け止めきれてない黒田さんはそのまま練習に去っていった。お、押し付けられた!しかし後輩クライマーに指導してやる約束だというのだから仕方ない。元凶の老人曰く「今夜男子寮の12時の鐘が鳴り終わった時に元の姿に戻る」とのことで、黒田さんは練習に行く前に男子寮のボンボン時計の設定をいじってくれるらしい。あれは普段、消灯以降鐘が鳴らないようになっているから。っていうか夕飯と風呂どうしたらいいんだろう……?無理じゃない?
まあいいか、黒田さんにどうにかしてもらおう。私は立入禁止にされたこの部屋で遠征関係の書類仕事をすることにした。泉田さんは「アンディとフランクの声が全然聞こえない……!!」と絶望した様子で、それから背の高さや重心がいつもと異なる不慣れなカラダでかなり居心地悪そうにしている。でも諦めて「時間を無駄にはできないから」と勉強することにしたようだ。
……が、私の仕事は一向に捗らない。目の前に座られたせいで、気になって仕方ない。大きな目と長いまつげの印象はそのままに、首も肩も腰も細い、女の子の姿。とにかくおっぱいが大きい。サイジャとジャージに覆われても主張が激しい。すっげえ……!正直、かなり好きだな……普通にどタイプかも。女の子を好きになったことがないからこのドキドキが何かはわかんない。大好きな先輩が女の子になったこの状況にドキドキしているのかも?いや普通に顔か……今夜12時に戻るなら、今のうちに目に焼き付けておかないと……
「……こら、手が止まっているよ」
「うわっ」
いつもならひぇってなる注意もご褒美だな。見過ぎだと言うように私の顔を逸せる、その指先が細い。何もかも、普段と違う。顔が熱い。泉田さんが不思議そうに私の顔を覗き込む。
「名前?」
「す、すみません。すごく好みの顔で……」
「好みの顔……」
「アイドルだったら推してました」
「推し……」
「正直な気持ち、大好きです」
「だ、大好き……」
「できることなら結婚してほしいです。そのくらい好きです。12時で戻っちゃうのが本当に惜しいです。なので目に焼き付けておいてもいいですか?」
「結婚……」
「毎日この顔眺めて暮らせたら、きっと幸せだろうなって……」
「もういい、十分だよ」
美女は呆れ顔でも美女……夕飯とか風呂とか寝るとことか、一旦そういう細かい面倒ごとは考えないことにして、私は今夜12時で消えることが確定しているシンデレラならぬアブデレラの観察に集中する。泉田さんってお母さま似だったりする?あとで黒田さんに聞いてみよう。遠征の準備は全く進んでいないけど、明日早起きしてやればいいや。
「ハッそうだ写真……写真とってもいいですか」
「許すと思うかい?」
「で、でも……バシさん達、この姿を拝めないなんてかわいそう……」
泉田さんは呆れたように深い深いため息をついた。「全然ご褒美じゃないのはどういうことなんだ……?」ガックリ項垂れる姿に、やっぱり美女はため息を吐いても美女だと私は深く感心した。
それからすぐ、バタバタと黒田さんが飛び込んできた。私を見つけて、「大変なんだよ!!」と叫び、膝に手をついて息を整える。あの黒田さんが。珍しいなと思って私はまじまじと黒田さんのまん丸い後頭部を見た。黒田さんがこんなに慌ててるのだから、相当な事態だろう。掃除も今日はここまでにしよう、とりあえず蛇口を閉める。
「どうしたんですか?何かありました?」
「とにかく、来い、塔一郎が……大変なことに……!」
「えっ怪我でもしました!?」
「ここじゃ言えねえ、部室行くぞ」
「ここじゃ言えねえってなに!?」
黒田さんを追って慌てて部室に戻る。1番小さい部屋、私がよく事務仕事をするのに使っている。が、扉に「立入禁止」の張り紙がされている。えっ何これ。
「この部屋で起こったことは他言無用だ。いいな」
「えっ怖、本当に怖いんですけど!」
黒田さんが恐ろしい宣言をして扉を少しだけ開ける。私も続いて入って、扉を閉める。促されて、鍵をかける。
室内には作業用の大きいテーブル、資料の入ったロッカー、パイプ椅子と長椅子。それから困った顔で立ちすくむ、巨乳の美女がいた。ハコガクのジャージ姿……胸とお尻と太ももがパツパツになっている。長いまつ毛を伏せて、ためいきをつく姿で確信した。
「うわっ泉田さんだ」
「ユキ……名前を呼ぶ必要はないって言ったのに」
「女の子の声だ!!」
「名前」
「はい。黙ります」
冷たい声で名前を呼ばれて姿勢を正す。女の子の声だけど、トーンは完全にいつもと同じで、私の脳内は(うわ、女の子だ……)と(泉田さんだ……)を行ったり来たりして大混乱だ。この状況についていけてない私を置いてけぼりに、黒田さんと泉田さんが揉めている。
「他にどうしろっつーんだよ、部員を呼ぶわけにもいかねーだろ」
「だからって……」
確かに前キャプテンが巨乳の美女になった今(本当に信じられないけど)、飢えた男子高校生の前に無闇にその姿を晒すのは危険な気がする。私が呼ばれたのはそういうわけか。とりあえず、この汗臭い部室に美女がいるのが居た堪れなくて、窓を少しだけ開けた。
「いや、なんでこんなことになっちゃったんですか。お姉さんか妹さんがいる話聞いたことないから普通に信じちゃいましたけど、おかしいでしょ!?」
「ボクだって今の状況が現実だって信じたくないけどね……」
美女の一人称がボクなの、当たり前なんだけどちょっとときめいた。それにしてもおっぱいが大きすぎる。泉田さんは頭痛を堪えるようにこめかみを抑え、その拍子にサイジャに包まれたおっぱいがむにゅっと形を変えた。す、すごい……
いわく、自主練中に道で倒れているご老人を助けたところ、「感心な若者じゃ、褒めてつかわす」との言葉の後眩い光に包まれ気絶して、目が覚めたらこうだったのだという。慌てて黒田さんに連絡を取り、不慣れなカラダでなんとか自転車漕いで学校まで戻ってきた。
説明してもらっても何がなんだかだし、泉田さんの事情説明の間、私は立派すぎるおっぱいから目を離せないでいたのであまり内容が入ってこなかった。も、ものすごく大きいし、丸い。羨ましいの域を超えて普通に大変そう。サイジャを無理やり押し上げる(ジッパーなるべく上げようとしたみたいだけど、上まで上がってなくて逆に大変なことになっている。ジッパーが壊れそうだ)おっぱいはとにかく大迫力だ。すっご……ていうか練習行ってたってことは今も下着的なものをつけてなくてこの大迫力ってこと?重力どうなってるの?やっぱ大胸筋パワーか。アンディとフランクってすごい……!そんな感じでおっぱいに夢中になっていたところ、黒田さんに小突かれて我に返る。
「戻るまで服かなんか貸してやれ。で、お前が面倒見ろ」
「む、無理です……!服、黒田さんの着れます?それか、誰かに借りて……とりあえず、なんか大きめの羽織って……」
黒田さんの長袖ジャージを借りて羽織る、それだけの動作なのに大きいおっぱいは多彩な表情を見せてくれて私と黒田さんはそれを固唾を飲んで見守った。す、すげえ……私達は同じタイミングでゴクリと喉を鳴らし、美女の泉田さんに睨まれる。
それで、幼馴染が女体化したことをイマイチ受け止めきれてない黒田さんはそのまま練習に去っていった。お、押し付けられた!しかし後輩クライマーに指導してやる約束だというのだから仕方ない。元凶の老人曰く「今夜男子寮の12時の鐘が鳴り終わった時に元の姿に戻る」とのことで、黒田さんは練習に行く前に男子寮のボンボン時計の設定をいじってくれるらしい。あれは普段、消灯以降鐘が鳴らないようになっているから。っていうか夕飯と風呂どうしたらいいんだろう……?無理じゃない?
まあいいか、黒田さんにどうにかしてもらおう。私は立入禁止にされたこの部屋で遠征関係の書類仕事をすることにした。泉田さんは「アンディとフランクの声が全然聞こえない……!!」と絶望した様子で、それから背の高さや重心がいつもと異なる不慣れなカラダでかなり居心地悪そうにしている。でも諦めて「時間を無駄にはできないから」と勉強することにしたようだ。
……が、私の仕事は一向に捗らない。目の前に座られたせいで、気になって仕方ない。大きな目と長いまつげの印象はそのままに、首も肩も腰も細い、女の子の姿。とにかくおっぱいが大きい。サイジャとジャージに覆われても主張が激しい。すっげえ……!正直、かなり好きだな……普通にどタイプかも。女の子を好きになったことがないからこのドキドキが何かはわかんない。大好きな先輩が女の子になったこの状況にドキドキしているのかも?いや普通に顔か……今夜12時に戻るなら、今のうちに目に焼き付けておかないと……
「……こら、手が止まっているよ」
「うわっ」
いつもならひぇってなる注意もご褒美だな。見過ぎだと言うように私の顔を逸せる、その指先が細い。何もかも、普段と違う。顔が熱い。泉田さんが不思議そうに私の顔を覗き込む。
「名前?」
「す、すみません。すごく好みの顔で……」
「好みの顔……」
「アイドルだったら推してました」
「推し……」
「正直な気持ち、大好きです」
「だ、大好き……」
「できることなら結婚してほしいです。そのくらい好きです。12時で戻っちゃうのが本当に惜しいです。なので目に焼き付けておいてもいいですか?」
「結婚……」
「毎日この顔眺めて暮らせたら、きっと幸せだろうなって……」
「もういい、十分だよ」
美女は呆れ顔でも美女……夕飯とか風呂とか寝るとことか、一旦そういう細かい面倒ごとは考えないことにして、私は今夜12時で消えることが確定しているシンデレラならぬアブデレラの観察に集中する。泉田さんってお母さま似だったりする?あとで黒田さんに聞いてみよう。遠征の準備は全く進んでいないけど、明日早起きしてやればいいや。
「ハッそうだ写真……写真とってもいいですか」
「許すと思うかい?」
「で、でも……バシさん達、この姿を拝めないなんてかわいそう……」
泉田さんは呆れたように深い深いため息をついた。「全然ご褒美じゃないのはどういうことなんだ……?」ガックリ項垂れる姿に、やっぱり美女はため息を吐いても美女だと私は深く感心した。
