去る春、君の声だけが在る2
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「だから、うちの先輩達がいちばん強くてかっこいいんです!」
私は「今期ハコガクスリートップがいかに強くてかっこいいか」の演説を終える。黒田さんが満足そうに私の肩を叩き、葦木場さんはボサボサの髪を整えるように撫でてくれた。
「ったくよー、かわいいこと言うじゃねーか」
「ウンウン……そんなとこで見てないで、真波もおいで」
「えっ」
「嫌がってんじゃねーよ!世界一かっこいいお前たちの先輩だぞ」
「勘弁してくださいよー」
「楽しそうだね、真波。オレもいい?」
「やーそれはちょっと、うわっ!」
「抵抗すんな!」
黒田さんと葦木場さんにもみくちゃにされる役割が真波に移り、私はそっと葦木場さんの拘束から抜け出した。
泉田さんがこういう時に輪に入ってくるのが下手なのは知ってる。いつもは黒田さんがうまいこと巻き込んで、それに乗っかるんだけど今日の黒田さんは満身創痍の後輩を可愛がるのに忙しい。ここにバシさんがいたら2対1でちょっとは違うんだけど、バシさんがいるのは九十九折りより下の救護テントだそうだから、まだ来ない。
「あの、泉田さん」
「頑張ったね。今日だけじゃない、この1年本当に、よく頑張ってくれた」
さっきとは違う噛み締めるような言い方を、私は素直に受け入れた。別に葦木場さんがするみたいにたくさん甘やかしてもらえるとは最初から期待していない。それがこの人のキャプテンの矜持で、その高いプライドを支えにこの人は1年キャプテンを務め上げた。私はそれを近くで見てきたから。
それに、向こうから甘やかしてもらえないなら、こっちから強請ればいい。おねだりもわがままも、かわいい後輩の特権でしょう?10センチ少しの身長差なら、つま先立ちで補えるし。今ならいけると確信して、私は目一杯笑顔を作る。
「はい!頑張ったし、いっぱい褒めてもらえて満足しました!それで、その……もっと褒めていただいても?」
「うわっ」
真正面からえいやっとハグするみたいに飛びつく。泉田さんは急に飛びついてきた私に驚いたけど、いつもバシさんやレイさんにやってるのを見慣れてるから、そのままつんのめってよろけた私の背中を支えてくれた。ただし呆れた顔で。
「先に宣言してからやってくれないか?」
「えへへ……褒めてもらえそうな貴重なチャンスだなって」
よろけたのは想定外。炎天下を3日も走り回ったせいで既に体力は限界だった。こ、これは部屋に戻った瞬間気絶かも……笑って誤魔化す。一方泉田さんの表情は曇る。
「そうだね。もっと褒めてやればよかった」
「え?」
「そんなに喜ぶなら、もっと褒めてやればよかった。ボクの我儘に君たちを1年もの間付き合わせたことだけは、悔やんでいるよ」
君たちというのは多分真波のことだ。この1年、真波は傍目から見てもわかるくらい特に厳しくされていた。去年のインターハイを走ったふたり、他の誰にも立ち入れない領域。ふたりの間で今日までどんなやり取りがあったか知らないけれど、真波はきっと全部わかっていた。厳しい言葉を気にする様子は見せず、いつも笑って返事をした。記録を伸ばし結果を出して、箱根学園のエースクライマーに相応しい走りでその期待に応えた。
私は「私も真波もそういう風には思ってません」と反論しようとして、しかしそれは言葉にならなかった。
「だから、君が望む方法で褒めてやることにしよう。存分にね」
「え?」
なぜなら、泉田さんが恐ろしい言葉と共に自分の首に腕を回すように誘導したから。私は訳もわからずそれに従う。身長差のせいで私の方が少し背伸びをした無理な姿勢で、私たちの体は不安定にぶつかった。あれ、この姿勢、あんまり良くない気が。
「あの、泉田さん?何を……」
恐る恐る名前を呼んでも返事なし。そして背中を支える片手はそのまま、もう片方が「失礼」と短い断りの言葉と共に膝裏に回り。上半身と下半身をホールドされて私は混乱した。ち、近すぎませんか?自分からハグするのはいいけど、向こうからされると普通に焦る。
「うわっ」
泉田さんが膝を折るのに合わせ、ホールドのせいで自由の効かない体は浮き上がって、それから重力に逆らい柔らかく沈みこむ。膝を無理やり持ち上げられたせいでつま先が地面から浮いた。地面が近い、それもそのはず泉田さんは片膝ついて、うまいこと二つ折りにした私を抱えていた。私の背骨と泉田さんの膝の骨がぶつかってゴリッと音を立てる。
「え?え?え?」
「いい子にできるね?」
「へ!?」
なんかすごいこと言ってる!!二つ折りにされた私の体、2本の腕と立てた膝で背中と膝裏を支えられたこの状況、見方によっては、ここここれ、お姫様だっこの前段階っていうか……!?
「え!?」
「行くよ、覚悟はいいかい」
「うそ!」
なにその楽しそうな顔!からかってる顔だ!本気だ!この人本気でやる気だ!二つ折りにされかけた体が、泉田さんにぐっと近づく。そう、何か重たいものを持ち上げるなら体になるべく接触させた方が、持ち上げる負担は少なくて。近すぎて泉田さんの胸筋と私の横面がぶつかる。何を思ったか鍛え上げた胸筋は大袈裟にピクリと震え、え、これ右の方?左の方?危機察知したなら主人 を止めてほしい!ていうかコレ危機なんですか!?ねえ!答えてくださいアンディかフランクか、どっちか!大混乱の頭はいつも以上に正解を出すのに時間がかかる。え?これ、マジのやつですか?
「アブレディ?」
「嘘でしょっ!?ヒャッ」
女王様然とした微笑みでもって泉田さんは私の悲鳴を無視した。そのまま元気なアブの掛け声と同時に放り出されるような感覚。一瞬の無重力と共に私のつま先は宙で跳ねる。そして抵抗できないまま地面が遠ざかり、気づいた時には再び鍛え上げた腕に支えられて、無事お姫様だっこが完成していた。唖然。
「わ、私のこと重量挙げのバーベルか何かだと思ってませんか!?」
「それにしては柔らかすぎるし軽すぎるよ」
「それ褒めてますか!?」
な、納得いかない!一度しゃがんだのは多分わざとで、私の抵抗を封じるためだ。位置エネルギーが増大した分を自前の筋力で補い、立ち上がって完成。おおおおお姫様だっこってもっとロマンチックなやつじゃないの!?呆然と見上げても、当の本人は満足そうにしている。これで満足なんですか!?
「すごい!お姫様だっこだ〜」
「おー、過程はアレだがとりあえず完成形はそうだな」
「さすが泉田さん、軽々いきますね〜」
パチパチ拍手する葦木場さんと真波、黒田さんがそうしないのはその手に携帯があるからで。
「ちょっと黒田さん!写真撮ってないで止めてくださいよ!」
「残念ながら動画なんだよな」
「ひどい!後でそれ送ってください!」
「お前は一体どういう心境だよ」
「褒められて嬉しいです。あの、褒めてくれたんですよね?」
「そのつもりだよ」
「やった!」
「……お前らがそれでいいならなんでもいいよ」黒田さんは呆れたままスマホを構えて、その間泉田さんは抱え直すようなこともなくだっこを維持している。……なんかだんだん恥ずかしくなってきた、いくら「褒めてる」とはいえ距離は近い通り越してゼロだし、特に理由もなくお姫様だっこだし……
そして楽しそうに見ていた葦木場さんが突然こちらへ手を伸ばし。
「塔ちゃんばっかりいいな。貸して」
「いいよ」
「ちょっとそんなコアラみたいな渡し方しないでください!」
「ほーら、おいで〜」
「怖い高い怖い!」
動物園のコアラを枝から枝に移すような、恐ろしいやり方でそのまま葦木場さんに譲渡される。脇を持たれてやってることは子供の「高いたかーい」だけど、体感としては「高いっ!怖い!」という感じだ。視界が高い!投げないでほしい!
「たかいーっ!」
テントに頭ぶつけそう!私の悲鳴を聞いて、葦木場さんは残念そうながらだっこに切り替えてくれた。今度は尻を支えられて、本当にコアラみたいだ。さっきよりは低いけどやっぱり地面が遠い。
……正直高さはあるけど、葦木場さんの方が緊張感なくくっついてられる。なんでかって……それは……その。まあ、今無理やり言語化しなくてもいい感情でしょう、これは。意味不明にドキドキする心臓を落ち着かせる間もなく、葦木場さんは「頑張ったね、偉かったね」と言ってそのままくるくる回った。行き場のない脚がぷらぷら揺れる。怖い怖い!
「こわ、こわい!真波代わって!」
「え?それはさすがに無理……」
「黒田さんでもいいです!」
「馬鹿苗字絵面考えろ!」
「オレはユキちゃんでも真波でもいいよ」
「だから絵面!」
テントは束の間、総合優勝を逃したとは思えないふざけた雰囲気だった。真波は撫で回されてボサボサの頭のまま、黒田さんは「3日間きっちりアシストしたのにまだ働かされんのかよ……」と呆れた顔で、泉田さんは満足そうに、葦木場さんに振り回される私を見ている。
ようやく降ろしてもらって、三半規管の弱い私はフラフラよろめきながら地面に降りた。今度こそ、泉田さんは心得たという風に私を受け止める。真正面から。
「満足したかい?」
「はい!とっても!」
私は嬉しくて、笑顔で頷いた。この1年なかなか自分では認められなかった努力を認め、そして認められて。心臓がドキドキするような、それでいてホッとしたような、満たされた気分だった。
私は「今期ハコガクスリートップがいかに強くてかっこいいか」の演説を終える。黒田さんが満足そうに私の肩を叩き、葦木場さんはボサボサの髪を整えるように撫でてくれた。
「ったくよー、かわいいこと言うじゃねーか」
「ウンウン……そんなとこで見てないで、真波もおいで」
「えっ」
「嫌がってんじゃねーよ!世界一かっこいいお前たちの先輩だぞ」
「勘弁してくださいよー」
「楽しそうだね、真波。オレもいい?」
「やーそれはちょっと、うわっ!」
「抵抗すんな!」
黒田さんと葦木場さんにもみくちゃにされる役割が真波に移り、私はそっと葦木場さんの拘束から抜け出した。
泉田さんがこういう時に輪に入ってくるのが下手なのは知ってる。いつもは黒田さんがうまいこと巻き込んで、それに乗っかるんだけど今日の黒田さんは満身創痍の後輩を可愛がるのに忙しい。ここにバシさんがいたら2対1でちょっとは違うんだけど、バシさんがいるのは九十九折りより下の救護テントだそうだから、まだ来ない。
「あの、泉田さん」
「頑張ったね。今日だけじゃない、この1年本当に、よく頑張ってくれた」
さっきとは違う噛み締めるような言い方を、私は素直に受け入れた。別に葦木場さんがするみたいにたくさん甘やかしてもらえるとは最初から期待していない。それがこの人のキャプテンの矜持で、その高いプライドを支えにこの人は1年キャプテンを務め上げた。私はそれを近くで見てきたから。
それに、向こうから甘やかしてもらえないなら、こっちから強請ればいい。おねだりもわがままも、かわいい後輩の特権でしょう?10センチ少しの身長差なら、つま先立ちで補えるし。今ならいけると確信して、私は目一杯笑顔を作る。
「はい!頑張ったし、いっぱい褒めてもらえて満足しました!それで、その……もっと褒めていただいても?」
「うわっ」
真正面からえいやっとハグするみたいに飛びつく。泉田さんは急に飛びついてきた私に驚いたけど、いつもバシさんやレイさんにやってるのを見慣れてるから、そのままつんのめってよろけた私の背中を支えてくれた。ただし呆れた顔で。
「先に宣言してからやってくれないか?」
「えへへ……褒めてもらえそうな貴重なチャンスだなって」
よろけたのは想定外。炎天下を3日も走り回ったせいで既に体力は限界だった。こ、これは部屋に戻った瞬間気絶かも……笑って誤魔化す。一方泉田さんの表情は曇る。
「そうだね。もっと褒めてやればよかった」
「え?」
「そんなに喜ぶなら、もっと褒めてやればよかった。ボクの我儘に君たちを1年もの間付き合わせたことだけは、悔やんでいるよ」
君たちというのは多分真波のことだ。この1年、真波は傍目から見てもわかるくらい特に厳しくされていた。去年のインターハイを走ったふたり、他の誰にも立ち入れない領域。ふたりの間で今日までどんなやり取りがあったか知らないけれど、真波はきっと全部わかっていた。厳しい言葉を気にする様子は見せず、いつも笑って返事をした。記録を伸ばし結果を出して、箱根学園のエースクライマーに相応しい走りでその期待に応えた。
私は「私も真波もそういう風には思ってません」と反論しようとして、しかしそれは言葉にならなかった。
「だから、君が望む方法で褒めてやることにしよう。存分にね」
「え?」
なぜなら、泉田さんが恐ろしい言葉と共に自分の首に腕を回すように誘導したから。私は訳もわからずそれに従う。身長差のせいで私の方が少し背伸びをした無理な姿勢で、私たちの体は不安定にぶつかった。あれ、この姿勢、あんまり良くない気が。
「あの、泉田さん?何を……」
恐る恐る名前を呼んでも返事なし。そして背中を支える片手はそのまま、もう片方が「失礼」と短い断りの言葉と共に膝裏に回り。上半身と下半身をホールドされて私は混乱した。ち、近すぎませんか?自分からハグするのはいいけど、向こうからされると普通に焦る。
「うわっ」
泉田さんが膝を折るのに合わせ、ホールドのせいで自由の効かない体は浮き上がって、それから重力に逆らい柔らかく沈みこむ。膝を無理やり持ち上げられたせいでつま先が地面から浮いた。地面が近い、それもそのはず泉田さんは片膝ついて、うまいこと二つ折りにした私を抱えていた。私の背骨と泉田さんの膝の骨がぶつかってゴリッと音を立てる。
「え?え?え?」
「いい子にできるね?」
「へ!?」
なんかすごいこと言ってる!!二つ折りにされた私の体、2本の腕と立てた膝で背中と膝裏を支えられたこの状況、見方によっては、ここここれ、お姫様だっこの前段階っていうか……!?
「え!?」
「行くよ、覚悟はいいかい」
「うそ!」
なにその楽しそうな顔!からかってる顔だ!本気だ!この人本気でやる気だ!二つ折りにされかけた体が、泉田さんにぐっと近づく。そう、何か重たいものを持ち上げるなら体になるべく接触させた方が、持ち上げる負担は少なくて。近すぎて泉田さんの胸筋と私の横面がぶつかる。何を思ったか鍛え上げた胸筋は大袈裟にピクリと震え、え、これ右の方?左の方?危機察知したなら
「アブレディ?」
「嘘でしょっ!?ヒャッ」
女王様然とした微笑みでもって泉田さんは私の悲鳴を無視した。そのまま元気なアブの掛け声と同時に放り出されるような感覚。一瞬の無重力と共に私のつま先は宙で跳ねる。そして抵抗できないまま地面が遠ざかり、気づいた時には再び鍛え上げた腕に支えられて、無事お姫様だっこが完成していた。唖然。
「わ、私のこと重量挙げのバーベルか何かだと思ってませんか!?」
「それにしては柔らかすぎるし軽すぎるよ」
「それ褒めてますか!?」
な、納得いかない!一度しゃがんだのは多分わざとで、私の抵抗を封じるためだ。位置エネルギーが増大した分を自前の筋力で補い、立ち上がって完成。おおおおお姫様だっこってもっとロマンチックなやつじゃないの!?呆然と見上げても、当の本人は満足そうにしている。これで満足なんですか!?
「すごい!お姫様だっこだ〜」
「おー、過程はアレだがとりあえず完成形はそうだな」
「さすが泉田さん、軽々いきますね〜」
パチパチ拍手する葦木場さんと真波、黒田さんがそうしないのはその手に携帯があるからで。
「ちょっと黒田さん!写真撮ってないで止めてくださいよ!」
「残念ながら動画なんだよな」
「ひどい!後でそれ送ってください!」
「お前は一体どういう心境だよ」
「褒められて嬉しいです。あの、褒めてくれたんですよね?」
「そのつもりだよ」
「やった!」
「……お前らがそれでいいならなんでもいいよ」黒田さんは呆れたままスマホを構えて、その間泉田さんは抱え直すようなこともなくだっこを維持している。……なんかだんだん恥ずかしくなってきた、いくら「褒めてる」とはいえ距離は近い通り越してゼロだし、特に理由もなくお姫様だっこだし……
そして楽しそうに見ていた葦木場さんが突然こちらへ手を伸ばし。
「塔ちゃんばっかりいいな。貸して」
「いいよ」
「ちょっとそんなコアラみたいな渡し方しないでください!」
「ほーら、おいで〜」
「怖い高い怖い!」
動物園のコアラを枝から枝に移すような、恐ろしいやり方でそのまま葦木場さんに譲渡される。脇を持たれてやってることは子供の「高いたかーい」だけど、体感としては「高いっ!怖い!」という感じだ。視界が高い!投げないでほしい!
「たかいーっ!」
テントに頭ぶつけそう!私の悲鳴を聞いて、葦木場さんは残念そうながらだっこに切り替えてくれた。今度は尻を支えられて、本当にコアラみたいだ。さっきよりは低いけどやっぱり地面が遠い。
……正直高さはあるけど、葦木場さんの方が緊張感なくくっついてられる。なんでかって……それは……その。まあ、今無理やり言語化しなくてもいい感情でしょう、これは。意味不明にドキドキする心臓を落ち着かせる間もなく、葦木場さんは「頑張ったね、偉かったね」と言ってそのままくるくる回った。行き場のない脚がぷらぷら揺れる。怖い怖い!
「こわ、こわい!真波代わって!」
「え?それはさすがに無理……」
「黒田さんでもいいです!」
「馬鹿苗字絵面考えろ!」
「オレはユキちゃんでも真波でもいいよ」
「だから絵面!」
テントは束の間、総合優勝を逃したとは思えないふざけた雰囲気だった。真波は撫で回されてボサボサの頭のまま、黒田さんは「3日間きっちりアシストしたのにまだ働かされんのかよ……」と呆れた顔で、泉田さんは満足そうに、葦木場さんに振り回される私を見ている。
ようやく降ろしてもらって、三半規管の弱い私はフラフラよろめきながら地面に降りた。今度こそ、泉田さんは心得たという風に私を受け止める。真正面から。
「満足したかい?」
「はい!とっても!」
私は嬉しくて、笑顔で頷いた。この1年なかなか自分では認められなかった努力を認め、そして認められて。心臓がドキドキするような、それでいてホッとしたような、満たされた気分だった。
