去る春、君の声だけが在る2
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救護テントを出た時にはとっくに総合優勝は決まっていた。やはりあいつが。静かな救護テントにも先頭ゴールを告げる放送は聞こえていた。石垣さんと別れ、一歩外に出た瞬間から夏の日差しにじりじり焼かれる。目が眩む、少しふらついて。
目の前で見覚えのある車が停止した。運転席の窓が開いて。あれ、確か……
「君、ハコガクの……」
報道車!初日に自動車事故起因で乗せてもらった新聞社の人だ。渡りに船。ラッキー!後部座席に人影なし。ラッキー!ゴールまでの足になってもらおう。
なるべくしおらしい声を出そうとは思ったが、疲れ果てた身体では演技もできない。しかし意図せず、か弱そうな声が出た。
「すみません、チームと合流したくて……今日もゴールまでお願いできませんか」
「もちろん!真波選手残念だったね、彼のこと聞かせてくれないかな」
……ああ、乗る船間違ったかも。息を吸う。一度伏せた顔を上げ、被っていた帽子を取る。汗で張り付いた前髪が邪魔くさくて手で払う。
「ええ、もちろんです。2年連続総合優勝を逃した箱根学園 が何か……記事になるような話題を提供できるといいのですけど」
「は、」
新聞社の人は後部座席に乗り込む私の顔を見て息を呑んだ。ルームミラーに写る笑顔は我ながらぎこちない。何でも聞けよ、泣き腫らした目、雨と汗で濡れた髪。見るからに惨めで哀れな「雨に降られ、チームに置いて行かれた哀れな女子マネージャー」だろう。その上2年連続で総合優勝を逃している。さあ聞けよ、聞けることがあるって言うならな。
私は息を呑んだ新聞社の人に対して「よろしくお願いします」と微笑んで見せた。さっさとゴールまで連れってってくれ、とりあえず私の願いはそれだけ。
目の前で見覚えのある車が停止した。運転席の窓が開いて。あれ、確か……
「君、ハコガクの……」
報道車!初日に自動車事故起因で乗せてもらった新聞社の人だ。渡りに船。ラッキー!後部座席に人影なし。ラッキー!ゴールまでの足になってもらおう。
なるべくしおらしい声を出そうとは思ったが、疲れ果てた身体では演技もできない。しかし意図せず、か弱そうな声が出た。
「すみません、チームと合流したくて……今日もゴールまでお願いできませんか」
「もちろん!真波選手残念だったね、彼のこと聞かせてくれないかな」
……ああ、乗る船間違ったかも。息を吸う。一度伏せた顔を上げ、被っていた帽子を取る。汗で張り付いた前髪が邪魔くさくて手で払う。
「ええ、もちろんです。2年連続総合優勝を逃した
「は、」
新聞社の人は後部座席に乗り込む私の顔を見て息を呑んだ。ルームミラーに写る笑顔は我ながらぎこちない。何でも聞けよ、泣き腫らした目、雨と汗で濡れた髪。見るからに惨めで哀れな「雨に降られ、チームに置いて行かれた哀れな女子マネージャー」だろう。その上2年連続で総合優勝を逃している。さあ聞けよ、聞けることがあるって言うならな。
私は息を呑んだ新聞社の人に対して「よろしくお願いします」と微笑んで見せた。さっさとゴールまで連れってってくれ、とりあえず私の願いはそれだけ。
