去る春、君の声だけが在る2
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やることは、全部片付いた。金子さんに突然呼び出されて、5次追加打ち合わせに出席したりもしたけど、要件が終わると割と早くに解放された。
風呂も済ませたし後は寝るだけなのに、すぐに布団に入る気にはならなかった。真波も部屋で大人しくしているし、悠人も疲れ切ってすぐに1年部屋に引き上げた。バシさんとは「早く寝ろよ」「うん」と短い会話で別れた。今夜はあまりにも、夜空の星が煌めいていた。
静かで、誰にも会わなくて、暑くないところを探して。ふらふら彷徨って、宿の裏口に辿り着いた。裏口は土間みたいになっていて、スペア含む自転車を並べてさせてもらっている。
誰もいない裏口は自転車の匂いと静寂に満ちていて、深く息を吸って吐いた。ここなら落ち着けそうという読みは大当たり。
「……あれ?」
しかし裏口土間の、外につながる出口がなぜか開いていた。夜間は施錠するという話ではなかったか。不用心だ。自転車盗りにこんなところまで来る人はいないだろうが、もし何かあったらどうするつもりだ。明日の朝いざ出走しようとして、自転車がなかったら……冗談でも笑えない。
クオータ、ルック、ウィリエール……綺麗に整列した自転車の間を通り抜けて、外につながる出口……その段差に腰掛ける。
鍵どころかドア自体を閉めていないということは、まだ誰か帰ってないのかもしれない。自転車の数は数えてないけど、来る前に通った2年部屋には真波がいたから、真波じゃないはずだ。白い愛車もここにあるし。
夜空を見上げると、星がたくさん見えた。箱根もだけど、標高が高くて人工の灯りが少ないとよく見える。それにしたって今日はよく光っている。
いつものくせでポケットを探る。「暇な時に眺めるだけでもいいから」とレイさんに言われて持ち歩いている単語帳。無い。インターハイだからって荷物を減らそうと置いてきたんだった。本当にぼんやりするしかやることがなくなってしまった。
誰かが戻ってくるまでここで時間を潰して、帰ってきたら一緒に自転車の数数えて、今度こそ鍵を閉めよう。そしたら寝よう……
「こんなところで寝るな。不用心だぞ」
頭上から、聞き覚えのある声。はっとして顔を上げる、やばい寝てた!
「具合が悪いのか?そうでないなら、部屋に戻って寝ろ」
「……と、東堂さん?」
「どうした?寝ぼけているのか?」
暗闇の中からぬっと現れるところ……妖怪みたい。寝起きの目が慣れて、漸くその姿をとらえることができた。星空を背負って、見慣れない自転車を引いた、見慣れないジャージ姿。汗だくの姿を見て、いくつか合点がいった。もしかして、真波が見たとかいう自転車の光は。
「乗ってたの、東堂さんだったんですね」
「ああ、少し借りた。悪かったな!」
少しって……一体どれだけ走ったのか。インターハイ気分か?とっくに引退したはずなのに。
バイクを慌てて借りにきたとは聞いていたけど、乗ったんだな。きっとめちゃくちゃ走ったんだろう。この人が、借り物のバイクでこんなに汗だくになるまで走るなんて、きっと相手はひとりしかいない。
それに、借り物のジャージは全然似合ってなかった。ジャージ着てくればよかったのに。明早の先輩達はジャージで来てたらしいし。
東堂さんは空いていたスペースに自転車を1台並べた。手つきは丁寧だったが、そのピリッとした空気に眠気が吹き飛んだ。いったい何を言われるんだろう、って。紫色の視線が私を睨みつける。いや多分睨んでないけど、この人は目元に力が入ると睨んでる風に見える。決して人のこと、人相が悪いとか言えるタイプの顔ではない。涼やかな印象も真剣さが過ぎれば、人を寄せ付けない冷徹な印象になる。
「悩み事か?部活に関わることなら、ここで今解決しろ。明日のレースに影響させるな」
厳しい口調。まるで、去年みたいな。卒業したはずなのに。
別に、私の懸念が部員に影響するとは思わないけど。この人の前で隠し事は難しいと思った。昨秋スランプに陥った真波の、屈折した感情を見事に解消させた手腕。すずこちゃんも「東堂さんって人のことをよく見ているのね」と感心していた。
誰にも言わない。選手には……それどころかレイさんにも言えないと思ってた言葉がポロッと出た。
「……私、信じてますって言ったけどわかってなかった。先輩方の、真波が背負ってる責任やプライドのこと、何もわかってなかった……」
堪えきれず涙が溢れた。情けなく声が震える。東堂さんは動揺しなかった。慰めるそぶりすら見せず、続きを促すこともしない。腕を組んだまま、私を睨みつけている。
今日のゴールを逃して初めて気がついた。「自由に走って」と選手に託すその願いが、どれほど無責任か!勝利のプレッシャーと、チームの責を知った選手には、重荷にしかならない言葉。
私の「自由に走って」の言葉の底には、勝って当然という考えがあった。これまでが順調すぎた。レースに出れば連戦連勝の選手達。インターハイの大舞台でも初日のゼッケンを全獲りして。負けることを疑っていなかった。「信じている」と口にしながら、私は何もわかっていなかったのだ。
「大事なモンは捨てなあかんよ」と断言した、御堂筋の言葉は正しかった。悠人のためにと口にした言葉は、悠人のためにならなかった。
「自由に、自由にって……本当にそう思ってたんです。こうなるまで、それが余計に選手を不自由にするんだって、わかってなかった」
「誰かにそう言われたのか」
「いいえ。でも、2年生にもなって、わかってなかったんです。私だけ!」
叫ぶような声にも東堂さんはわずかに眉を寄せただけで。冷静な声が私を諭す。
「それは皆が皆、同じタイミングで学ぶことではない。わかっているはずだ、お前も」
「でも私、昨日初めて観戦に来た子に説教までしておいて……あああ、自己嫌悪で爆発しそう……自分だってわかってないくせに、何を偉そうに……」
「なんだ、そんなことか」
「そんなことって」
「オレはてっきり……いや、やめておこう」
何だと思ったのか聞きたかったけど、再び顔を上げた東堂さんは怖い顔をやめていた。無理に聞くことではないと思って私は黙る。
「明日が来るのがこわいか?」
「……」
「泣いても笑っても、明日が決着だ。ちゃんと送り出してちゃんと迎え入れろ。どんな結末であっても」
「はい」
「懲りずに明日も言ってやれ、自由に走れと。その先、代が変わっても。きっと、最後に足を動かすのはそういう『願い』だ」
「……」
「返事」
「はい」
底知れない瞳が私を見ていた。誤魔化しも、逃げ出すことも許さないと、そう言っていた。去年みたいに泣いて帰るのは、私だってしたくない。何もできなかったと、誰かに縋って泣くような真似はしない。隼人くんはもう卒業したし、私は2年生になった。泣き方だって、振る舞いだって、心得ている。
私の返事を受けて、東堂さんは満足そうに頷いた。常夜灯を受けてピアスが光る。実はミーティングの時から気になっていた。あれ、何の石だろう。
「早く寝ろよ。明日も早いんだろう」
「そうですね……ゴール手前待機なので5時起きです」
「余計なこと考えすぎて寝れないとか言うんじゃないぞ」
「東堂さんこそ」
「オレか?」
全く心当たりのない顔をされて笑ってしまう。誤魔化している?いや、どこで何をしてきたのか、後輩にはバレていないつもりなんだ。きっと真波にも言わないだろう……真波にだけは、という方が正しいか。
峠を登るライトの数は3だと、真波は言っていた。東堂さん、それから東堂さんの唯一無二の愛しい人 。イギリスに渡ったその人がどうやら帰国しているらしいと、昨日の時点で情報は入っていた。
「興奮して今夜は寝れないんじゃないですか。巻島さんとデートしたんでしょう」
「デートって……お前な……」
「真波が見たって言ってましたよ。光が、登ってたって。あれ、東堂さん達でしょう」
「そうか」
「羨ましかったって」
「……そうか」
このことは真波には言わないでおこうと思った。あの光が誰なのか、薄々察しているかもしれないけど。きっと、東堂さんがこんな顔していると知ったら傷つくから。だから、残るひとつの光が誰なのかは聞かないでおいた。
「ミーティングもすぐに出てってちゃったから、寂しかったって」
「……それは言ってないだろう」
「言ってないけど、拗ねてました。うちの大事なエースクライマーの機嫌、簡単に損ねないでくださいよ」
「フッ……それをコントロールするのも敏腕マネージャーの腕の見せ所だ」
「無茶言わないでくださいよ……ふあ」
「ほら、戻れ。あんまり遅いと心配するやつがいるだろう」
「いませんけど……」
自転車の整備、やっときますよと申し出たら、「借りたバイクの面倒くらい自分で見る」と東堂さんは私を追い出した。私がやるより東堂さんがやった方が丁寧なのは確かだ。漸く訪れた眠気を逃さないためにも私は大人しく先輩に甘えることにした。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。ゆっくり休めよ」
東堂さんは自転車の手入れに取り掛かろうとかがみ込み、手をヒラヒラ振った。それに背を向けて、自転車の横を通り抜ける。エス・ワークス、ビーエイチ、それからサーヴェロ。色は白。選手の自転車は全てきっちり整備された状態でここにある。心配事は何もない。
モヤがかかったように頭が重く、今なら一瞬で寝れる気がした。夢も見ないで深く眠れるような気がしている。
充満する自転車の匂いを吸い込むように深く息を吸って、それから吐き出す。泣いても笑っても明日、この1年の成果が出揃い、すべての決着がつく。
風呂も済ませたし後は寝るだけなのに、すぐに布団に入る気にはならなかった。真波も部屋で大人しくしているし、悠人も疲れ切ってすぐに1年部屋に引き上げた。バシさんとは「早く寝ろよ」「うん」と短い会話で別れた。今夜はあまりにも、夜空の星が煌めいていた。
静かで、誰にも会わなくて、暑くないところを探して。ふらふら彷徨って、宿の裏口に辿り着いた。裏口は土間みたいになっていて、スペア含む自転車を並べてさせてもらっている。
誰もいない裏口は自転車の匂いと静寂に満ちていて、深く息を吸って吐いた。ここなら落ち着けそうという読みは大当たり。
「……あれ?」
しかし裏口土間の、外につながる出口がなぜか開いていた。夜間は施錠するという話ではなかったか。不用心だ。自転車盗りにこんなところまで来る人はいないだろうが、もし何かあったらどうするつもりだ。明日の朝いざ出走しようとして、自転車がなかったら……冗談でも笑えない。
クオータ、ルック、ウィリエール……綺麗に整列した自転車の間を通り抜けて、外につながる出口……その段差に腰掛ける。
鍵どころかドア自体を閉めていないということは、まだ誰か帰ってないのかもしれない。自転車の数は数えてないけど、来る前に通った2年部屋には真波がいたから、真波じゃないはずだ。白い愛車もここにあるし。
夜空を見上げると、星がたくさん見えた。箱根もだけど、標高が高くて人工の灯りが少ないとよく見える。それにしたって今日はよく光っている。
いつものくせでポケットを探る。「暇な時に眺めるだけでもいいから」とレイさんに言われて持ち歩いている単語帳。無い。インターハイだからって荷物を減らそうと置いてきたんだった。本当にぼんやりするしかやることがなくなってしまった。
誰かが戻ってくるまでここで時間を潰して、帰ってきたら一緒に自転車の数数えて、今度こそ鍵を閉めよう。そしたら寝よう……
「こんなところで寝るな。不用心だぞ」
頭上から、聞き覚えのある声。はっとして顔を上げる、やばい寝てた!
「具合が悪いのか?そうでないなら、部屋に戻って寝ろ」
「……と、東堂さん?」
「どうした?寝ぼけているのか?」
暗闇の中からぬっと現れるところ……妖怪みたい。寝起きの目が慣れて、漸くその姿をとらえることができた。星空を背負って、見慣れない自転車を引いた、見慣れないジャージ姿。汗だくの姿を見て、いくつか合点がいった。もしかして、真波が見たとかいう自転車の光は。
「乗ってたの、東堂さんだったんですね」
「ああ、少し借りた。悪かったな!」
少しって……一体どれだけ走ったのか。インターハイ気分か?とっくに引退したはずなのに。
バイクを慌てて借りにきたとは聞いていたけど、乗ったんだな。きっとめちゃくちゃ走ったんだろう。この人が、借り物のバイクでこんなに汗だくになるまで走るなんて、きっと相手はひとりしかいない。
それに、借り物のジャージは全然似合ってなかった。ジャージ着てくればよかったのに。明早の先輩達はジャージで来てたらしいし。
東堂さんは空いていたスペースに自転車を1台並べた。手つきは丁寧だったが、そのピリッとした空気に眠気が吹き飛んだ。いったい何を言われるんだろう、って。紫色の視線が私を睨みつける。いや多分睨んでないけど、この人は目元に力が入ると睨んでる風に見える。決して人のこと、人相が悪いとか言えるタイプの顔ではない。涼やかな印象も真剣さが過ぎれば、人を寄せ付けない冷徹な印象になる。
「悩み事か?部活に関わることなら、ここで今解決しろ。明日のレースに影響させるな」
厳しい口調。まるで、去年みたいな。卒業したはずなのに。
別に、私の懸念が部員に影響するとは思わないけど。この人の前で隠し事は難しいと思った。昨秋スランプに陥った真波の、屈折した感情を見事に解消させた手腕。すずこちゃんも「東堂さんって人のことをよく見ているのね」と感心していた。
誰にも言わない。選手には……それどころかレイさんにも言えないと思ってた言葉がポロッと出た。
「……私、信じてますって言ったけどわかってなかった。先輩方の、真波が背負ってる責任やプライドのこと、何もわかってなかった……」
堪えきれず涙が溢れた。情けなく声が震える。東堂さんは動揺しなかった。慰めるそぶりすら見せず、続きを促すこともしない。腕を組んだまま、私を睨みつけている。
今日のゴールを逃して初めて気がついた。「自由に走って」と選手に託すその願いが、どれほど無責任か!勝利のプレッシャーと、チームの責を知った選手には、重荷にしかならない言葉。
私の「自由に走って」の言葉の底には、勝って当然という考えがあった。これまでが順調すぎた。レースに出れば連戦連勝の選手達。インターハイの大舞台でも初日のゼッケンを全獲りして。負けることを疑っていなかった。「信じている」と口にしながら、私は何もわかっていなかったのだ。
「大事なモンは捨てなあかんよ」と断言した、御堂筋の言葉は正しかった。悠人のためにと口にした言葉は、悠人のためにならなかった。
「自由に、自由にって……本当にそう思ってたんです。こうなるまで、それが余計に選手を不自由にするんだって、わかってなかった」
「誰かにそう言われたのか」
「いいえ。でも、2年生にもなって、わかってなかったんです。私だけ!」
叫ぶような声にも東堂さんはわずかに眉を寄せただけで。冷静な声が私を諭す。
「それは皆が皆、同じタイミングで学ぶことではない。わかっているはずだ、お前も」
「でも私、昨日初めて観戦に来た子に説教までしておいて……あああ、自己嫌悪で爆発しそう……自分だってわかってないくせに、何を偉そうに……」
「なんだ、そんなことか」
「そんなことって」
「オレはてっきり……いや、やめておこう」
何だと思ったのか聞きたかったけど、再び顔を上げた東堂さんは怖い顔をやめていた。無理に聞くことではないと思って私は黙る。
「明日が来るのがこわいか?」
「……」
「泣いても笑っても、明日が決着だ。ちゃんと送り出してちゃんと迎え入れろ。どんな結末であっても」
「はい」
「懲りずに明日も言ってやれ、自由に走れと。その先、代が変わっても。きっと、最後に足を動かすのはそういう『願い』だ」
「……」
「返事」
「はい」
底知れない瞳が私を見ていた。誤魔化しも、逃げ出すことも許さないと、そう言っていた。去年みたいに泣いて帰るのは、私だってしたくない。何もできなかったと、誰かに縋って泣くような真似はしない。隼人くんはもう卒業したし、私は2年生になった。泣き方だって、振る舞いだって、心得ている。
私の返事を受けて、東堂さんは満足そうに頷いた。常夜灯を受けてピアスが光る。実はミーティングの時から気になっていた。あれ、何の石だろう。
「早く寝ろよ。明日も早いんだろう」
「そうですね……ゴール手前待機なので5時起きです」
「余計なこと考えすぎて寝れないとか言うんじゃないぞ」
「東堂さんこそ」
「オレか?」
全く心当たりのない顔をされて笑ってしまう。誤魔化している?いや、どこで何をしてきたのか、後輩にはバレていないつもりなんだ。きっと真波にも言わないだろう……真波にだけは、という方が正しいか。
峠を登るライトの数は3だと、真波は言っていた。東堂さん、それから東堂さんの唯一無二の
「興奮して今夜は寝れないんじゃないですか。巻島さんとデートしたんでしょう」
「デートって……お前な……」
「真波が見たって言ってましたよ。光が、登ってたって。あれ、東堂さん達でしょう」
「そうか」
「羨ましかったって」
「……そうか」
このことは真波には言わないでおこうと思った。あの光が誰なのか、薄々察しているかもしれないけど。きっと、東堂さんがこんな顔していると知ったら傷つくから。だから、残るひとつの光が誰なのかは聞かないでおいた。
「ミーティングもすぐに出てってちゃったから、寂しかったって」
「……それは言ってないだろう」
「言ってないけど、拗ねてました。うちの大事なエースクライマーの機嫌、簡単に損ねないでくださいよ」
「フッ……それをコントロールするのも敏腕マネージャーの腕の見せ所だ」
「無茶言わないでくださいよ……ふあ」
「ほら、戻れ。あんまり遅いと心配するやつがいるだろう」
「いませんけど……」
自転車の整備、やっときますよと申し出たら、「借りたバイクの面倒くらい自分で見る」と東堂さんは私を追い出した。私がやるより東堂さんがやった方が丁寧なのは確かだ。漸く訪れた眠気を逃さないためにも私は大人しく先輩に甘えることにした。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。ゆっくり休めよ」
東堂さんは自転車の手入れに取り掛かろうとかがみ込み、手をヒラヒラ振った。それに背を向けて、自転車の横を通り抜ける。エス・ワークス、ビーエイチ、それからサーヴェロ。色は白。選手の自転車は全てきっちり整備された状態でここにある。心配事は何もない。
モヤがかかったように頭が重く、今なら一瞬で寝れる気がした。夢も見ないで深く眠れるような気がしている。
充満する自転車の匂いを吸い込むように深く息を吸って、それから吐き出す。泣いても笑っても明日、この1年の成果が出揃い、すべての決着がつく。
