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きっかけは事務所の納涼祭の終わりに「期始めテストはマジメガヤバイっすけどこういうのやると夏休み~~って感じがする!」の声に、「俺も全然終わってないけど!」みたいな声が続いたことだ。空気が凍って即座に学生陣の課題の進み具合、夏休み終わりの模試やテストの勉強の進み具合が確認された。課題が終わっていてもテストの対策まで手が回らない子が多かった。お仕事の合間にやるにしても限界があるのだ。
7月中に宿題を終わらせ、後は毎日の1行日記を残すのみのもふもふえんの3人や面倒ごとは早めに済ます翔太くん、計画性でとっくに済ませた大吾くん涼くんら中学生以下とピエールくんあたりは全く問題ない。えらい。遅くなる前にお家に帰した。
「……それにしても、これは……マズイのでは?」
「はい……ちょっと困りましたね……」
それぞれの進み具合をまとめた私と賢ちゃんは顔を見合わせた。
そして、お仕事としてアイドルを選んでもらったとはいえ、やっぱりお勉強も頑張ってほしい。それに、テストで低い点を取って悲しい思いをしてほしくない……との元教師陣のもっともな発言を受けて、急遽「夏休み限定315塾」が開校したのだ。
「えっと申告を元に教科を振り分けますね。硲さんは数学、それから物理も。山下さんは化学、生物か物理もできたらお願いしたいです。類くんは英語……翼さんが英語と理系、輝さんが現国と社会中心の全般、薫さんが特に理系で全般……想楽くん九郎さん北斗さんとかみのりさん、雨彦さん……神谷さん東雲さん恭二くん辺りは専攻とか得意科目中心でいいので教えてください。若い子は記憶が新しいと思うので戦力、よろしくお願いします。FRAMEのお三方も公務員試験とかありましたし、華村さんは古典に強いそうですし、キリオくんは漢文古典あと歴史系も頼みたいし、古論さん生物系だし、道流さん勉強しなれてるし、一希さんは文系だし都築さんは寝てるし、アスランさん私と賢ちゃんと一緒に夜食隊お願いしたいし……補給部隊3人は厳しいから神谷さんと東雲さんもできればこっちに……あーもうわかんなくなってきた……だいたいこれでいいかな……」
「はーいプロデューサーちゃんお疲れ様~。あとは俺らに任して責任者よろしくね」
山下さんがぽんと肩を叩いて硲さんが重々しく頷き、類くんはパチンとウインクをした。
「我々は科目ごとに分散して着席する。そこが簡易質問ブースになる。奥から数学、理科系、社会、古典漢文、現国、英語だ。学生諸君は気兼ねなく質問相談に来るように。ではそれぞれ勉強道具を持って10分後に始業としよう」
塾長・硲さんの号令でアイドルたちが一斉に動き出す。机と椅子が動かされ、パーテーションがゴロゴロと運ばれてきた。
私と賢ちゃんは事務所に常備してある勉強熱心な方々に寄贈され一通りそろっている資料集や教科書をそれぞれチューター役に手渡した。パラパラめくってそこらで懐かしいなとの声が上がった。学生に対してチューターの人数も頭脳も十分なくらいだ。学生陣の出来はチューターにかかっている。学生時代の記憶を懐かしみつつ、精鋭の方々には東大にいれるくらいの勢いで頑張ってもらいたい。
「皆で勉強会なんてワクワクする~~!」
「荘一郎さんケーキ差し入れしてくれないかな……」
巻緒くんと咲ちゃんはやる気も十分で何より。このまま課題もパピッと終わらせて明るい気持ちで差し入れのケーキを食べられるよう頑張ってほしい。
「都築さん、机動かしてますし我々も移動しましょう」
「麗さんは何をやるのかい?」
「わ、私は世界史を……」
「なら、隣にいようかな……今日のここでは新しい音楽に出会えるような気がする」
「そうですか!」
歩きながら麗さんが開いたのは世界史で、覗き込んだ都築さんは「ああ、これは……」と何か麗さんに指さして教えた。麗さんも都築さんと一緒に勉強ができて嬉しそうだ。2人で何かすることでちょっとでもユニットとしてプラスになればいいと思う。
「番長さん」
「あっ、玄武くん。玄武くんは心配しなくても模試まで全然オッケーだと思うんだけど……」
「任せてくれ、朱雀の勉強見ながら自分の勉強も終わらせる予定だからな」
「本当に……助かります、神速席作っておくね。私と賢ちゃんのデスク使っていいよ。わかんないとこあったら気軽に来てね。先生たちも楽しみにしてるから。休憩とかでもいいからね」
「ああ、ありがとうよ」
自分でやってくれる子もいるのは本当に助かる。 朱雀くんが数学の問題集を開いてため息をついたが二学期こそは数学の成績をちょっとでもあげられるよう頑張ってほしい。背中の愛猫がにゃーと鳴いて、それから賢ちゃんに預けられた。朱雀くんも本気の勉強モードだ。にゃーと今度は悲しげに鳴いて、朱雀くんは後ろ髪を引かれつつ特別席に向かっていった。課題が終わったら存分に構ってやってほしい。
自分でやってくれる子と言えば、旬くんとかもいつも人の進み具合を気にしながらやってくれるけれどお仕事が詰まっていたから、今回ばかりは厳しかったはず。とりあえずは解放された訳で、たまには自分の勉強に専念してほしい。高校生代表のHigh×Jokerも半泣きになっているもの、ぷりぷり怒っているもの、おろおろと取りなすもの、まあまあとなだめるもの……といつも通りだが仲良く机を並べた。やはり一緒にやった方が慣れているし効率もいいらしい。
「それと漣くんはどうする?」
「ハァ?」
「漣、たまには本でも読まないか?タケルも課題をやることだし」
大きな資料集を持った道流さんと問題集を持ったタケルくんに誘われ珍しく漣くんもフラフラとついていった。タケルくんは確実にノルマをこなすのは慣れているのでどうにか終わりそうだ。それに、あそこはきっと競い合った方が効率がいい。色々起こりそうだけど、後は道流さんにまかせた。目で合図すると道流さんは心得たというようににっこり笑って頷いた。
「それと、悠介と享介は……」
「俺らも机借りて作戦会議していい?」
「どうぞどうぞ。社長室か玄武くん朱雀くんの隣のデスクとかソファ使っていいよ。大丈夫だと思うけど社長室のもの触らないでっていうのと、2人の勉強の邪魔しないようにだけ、よろしくね」
「了解!」
2人はサッカーコートの書かれた小さいホワイトボードと演出だとかダンスのことをまとめたノート、それから台本に辞書まで抱えて去っていった。他の同年代の子が勉強に励んでいるから、いつも享介が考え事担当だけど2人で考え事をするのにいい機会だったのだろう。
冬馬くんはすでに窓際の机を確保して英語のワークを開いていた。夏休み中は撮影やら収録で忙しくしていたし、全てには手が回らなかったのだろう。計画性もあるし、集中力もあるし何より負けず嫌いなので課題が終わる終わらないはあまり心配していない。そういう訳で1人でやらせた方がいいタイプなので声はかけずにそっと離れた。集中力の切れる頃に北斗さんとか大人組の誰かが絡みに行って休ませてくれるだろう。
「ほうほう、これが世に聞く学生の勉強会……ふむふむこれまた新たな小噺のネタを受信したでにゃんす……!!!!」
小噺のネタ集めに古典はもちろん漢文、歴史は最適と言っていたのは本当のようでキリオくんは積み上げた古語辞典や漢文文法のテキストをめくったり学生たちを観察したりと大忙しだ。声は控えめでお願いします。
補給部隊のアスランさん、それから東雲さんと神谷さんもスープやその他菓子類の差し入れを取りに戻り、賢ちゃんは飲み物の確保に走り、私はおにぎりを握ることにした。
電気もつけずに給湯室でおにぎりを作る。静かな中に、勉強部屋の明かりと質問の声が漏れていた。いい雰囲気だ。
この上なく質の高い教師役、たまに高校生たちが勉強会をしているのは知っているけどこれだけ大規模だと競い合ってきっといい刺激になる。
いつも賢ちゃんと2人で残業をすることが多いこの時間、珍しく皆がいると楽しいとさえ思える。とはいえ、お勉強を終わらしてもらわないと困るし夜はまだまだ長いので、今夜は勉強が捗ることだろう。
