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11月の頭、事務所をあげて大盛り上がりしたハロウィンも終わり事務所には大量のかぼちゃが残されていた。冬馬くんが10月も早い頃からはしゃいだ様子もなくあまり嬉しくなさそうに大量のかぼちゃを気にかけていた通り、ハロウィンが終わったところで社長から「まあ皆で消費してくれ!」とのお達しがありわたしは白目を剥いた。1人1つ持ち帰るようにしても皆困ってしまうだろう。どうやって、この、大量のかぼちゃを消費しろというのか……
「そういうわけで皆さんの出番です。力を貸してください……」
「任せろ!っていいたいところだけど、これはな……」
困った顔でかぼちゃを拾い上げたのは輝さん。今回ヘルプを求めたのは料理上手で知られる冬馬くん、天道さん、道流さん、信玄さん、アスランさん。それからスイーツ担当東雲さん。
さすがにこのメンバーでもこれだけのかぼちゃは持て余すのか皆一様に考え込む様子を見せる。
「かぼちゃの煮付けとか、色々できるんじゃないですか?」
食べるの担当翼さんが首をかしげるも皆浮かない様子だ。
「こういうかぼちゃって、水っぽかったり甘みが足りなくて難しいんだ」
「そ、そうなんですか……」
「で、す、が!そこは皆さんの腕の見せ所です。事務所のみんなが喜ぶかぼちゃ料理をよろしくお願いしますね!1人一品、ヘルプ有り。料理中も出来上がりも写真を撮って今後のお仕事獲得のアピールにも使おうと思ってますので、頑張りましょう!」
パンパンと手を叩いて空気を変えるとそれぞれしっかりと頷いてくれた。さすがは頼もしすぎるうちのアイドルたちだ。
「ちなみにメニューは早い者勝ちです」
「俺ポタージュスープ!」
「あっ取られた!」
天道さんの悲痛な叫び声をよそに若さと速さで冬馬くんがポタージュスープを勝ち取った。ゼリーの時といい、瞬発力がすごい。楽勝、だぜ!とそのままかぼちゃを2つ3つ掴んで北斗くんと翔太くんに意気揚々と声をかけて去っていく。2人はエプロンつけて準備万端。ヘルプを求められるのは端から承知していたようだ。
「めんどくさいけど、新しいお仕事のためなら仕方ないよね~」
「冬馬に振り回されるのは慣れてますから」
揃って新しいお仕事に意欲は十分。かぼちゃをひたすらに切ってフードプロセッサーにかけ裏ごしするには人手がいるけど2人いれば大丈夫だろう。
「潰してプリンでも作りますかね」
「やっぱり潰すのが無難ですかね……」
「まあ、砂糖も入りますし……どうにかなるやろ」
東雲さんも水っぽいかぼちゃは潰して原型をなくす作戦に出たらしい。ぼそっと関西弁で呟いたのはちょっときになるけどさすがは元パティシエ、助けも借りずにかぼちゃを選ぶと着替えのために去っていく。かぼちゃスイーツは秋には必須ともあって全然困った様子は見せなかった。さすがすぎる。
「なら自分は粉ふき芋の要領で水分を飛ばしてみるか……煮付けなら慣れているし……」
「あっ確かに。それなら水分飛びますね!」
美味しく食べるためにべちゃべちゃ感をなくすこと。潰す以外の選択肢を信玄さんが見つけてくれて翼くんの目もかがやく。皆大好き、待望の煮付けだ。
「龍!英雄!手伝ってくれ。総員、切って切って切りまくるぞ!」
頼もしすぎる号令のもとにFRAMEが集合し信玄さんからキビキビと手順が指示されていく。固いかぼちゃを切るには力がいるけど3人なら心配ないだろう。龍くんの不運にだけは気をつけてほしい。
「……サツマイモと合わせてサラダにして……かぼちゃの水分をサツマイモで調節すればいけるな!」
「さすが天道さん!」
ポタージュスープの案が消えた天道さんはべちゃべちゃ感をなくす方法を考えてたみたいだけど水分を飛ばす方向でかたまったみたい。安心感のある笑顔で「料理番組の仕事は俺たちドラマチックスターズがいただきだーっ!」とガッツポーズを見せてくれた。
「まさかとは思うが」
「桜庭も翼も、手伝ってくれるだろ?」
嫌そうな桜庭さんに当然とでも言わんばかりに声をかける。
「ドラスタの3人でやったら、ゲロゲロキッチンのオファーが来た時の予習になりますね!私頑張ってお仕事取って来ますから!」
「うわあ楽しみですね」
「やるからには完璧を目指す……いくぞ天道、柏木」
「……結局あいつが一番やる気入ってんだよな……」
私がケーブルテレビからのし上がった人気番組の名前を出すと桜庭さんのスイッチも入ったらしい。おしゃれなサラダでぜひともオファーに備えてほしい。
「アスランさんと道流さんはどうします?」
「ムム、我は灼熱の業火で主を苦しめんとするその涙を払い、女神より生まれし純白の抱擁でもって同胞たちを持て成さん!ンナァーッハッハッハ!!」
「ぜ、全然わからなかった……」
アスランさんは高らかに笑ってかぼちゃ片手にポーズを決め、エプロンの裾を翻してキッチンへ向かっていった。
「あっ巻緒くん、今のわかった……?」
東雲さんがプリンを作ると聞いてケーキも作ってもらうようお願いに来たらしい巻緒くんにこっそり尋ねると「加熱で水気を飛ばして、小麦粉と練ってニョッキをつくるってことですよ!」とあっさり教えてくれた。か、完敗です……もっと理解するために精進しなければとメモを取る。ゲヘナ語は難しい……せめて法則だけでもわかれば……
「道流さん、選択肢なくなってきましたね……」
「自分も小麦で水分減らす作戦に出るっス。かぼちゃぱんとか……かぼちゃまんとか…」
逞しい力こぶでアピールしつつ潰すなら任せてほしいっスと笑顔の道流さん。選択肢がほぼゼロのところでメニューをしぼりだすところが流石だ。私もよくお弁当とかに困った時に、道流さんにメニューを相談するけど出てくるメニューが基本的に主婦なのは牙崎くんと大河くんによく振舞ってることもあるんだろう。
牙崎くんと大河くんを呼んだところを見るととりあえず潰してからどちらに向いてるか決めるみたい。
「円城寺さん、俺は何を手伝えばいい?」
「ゼッテー手伝わねえからな!」
何でもない様子で声に応じた大河くんは呼ばれるのをきっと待っていたのだろうし、牙崎くんは結局参加させられるなんて思ってもみなかったんだろうけど道流さんにうまいことフォローされてかぼちゃを持たされている。単純作業なら料理に不慣れな2人でもきっと大丈夫だろうし。
「これで全員メニューは決まったね……あとはお任せして仕事に戻ろうかな」
「プロデューサーさん、ご飯はどうするの?」
「かのんさん」
小さな体で大きな炊飯器を持って来てくれたかのんさん。皆よく食べるから、もふもふえんをはじめとする若い子達にはお米の用意をお願いしていた。こんな大きい炊飯器はじめて!と驚く様子がかわいかった。
「そういえば、おかずになるようなメニューはあんまりないな」
「監督、炊き始めていーい?」
もふもふえんの子達だけでは心配なので18歳ともあってしっかりしてるWの2人にフォロー役をお願いした。炊飯器の数と、料理に取り組む大人たちを見て享介は「ブレーカー落ちないかな……」と若干心配そうだ。ブレーカーだけならいいのだけど、もしやばくなったら近所のエレぇキテる電気工事が得意なお兄さんに電話しないといけない……それか電気屋さんの娘さんをいとこに持つアイドルに連絡をお願いするか……どっちもかなり情けないので祈るばかりだ。
「監督は何も作らないの?」
「うーん……今日たしか豚肉安かったしおかず作ろうかな……」
炊飯してる間に買い物行こうかなというと「俺もいく!」「かのんも!」「ぼくも!」と次々と手が上がりけんちゃんに買い物に行きますと伝えて財布とエコバッグを持った。エコバッグは今後発売予定のユニットデザインの試作品です。
「プロデューサー、何作るんだ?」
「かぼちゃと豚こま炒めたやつ。学生の時、お金なくて……安いべちゃべちゃのかぼちゃしか買えなくて……煮ても美味しくないから、かぼちゃといえば特売の豚肉とにんにくチューブちょっとで炒めて塩こしょうとか醤油で味付けたの食べてたんだよね。ご飯がすすむからおすすめ」
「いいな~!早く食べたいね」
「アイドルの皆さんが作ってくれる料理も凄そうだったよ」
「……今見ても鬼の形相でかぼちゃ切ったり潰してるとこしか見えないけど……」
その言葉の通り、かたいかぼちゃと戦うアイドルの皆さんの様子を言葉にするなら、まさに戦場。写真はもうちょっと後になって落ち着いてからの方がいいかな。
事務所の外に出るとすっかり秋めいた空気で、年の瀬がどんどん迫って来ているのを感じた。かのんさんと手を繋ぐと子供体温であったかい。
あとひと月ちょっとで今年も終わってしまう。年末年始に備えた撮影や収録も多いし、音楽番組の出演も増える。アイドルの皆さんも楽しみにしてるクリスマスライブにカウントダウンライブ、それから事務所主催のパーティだって大規模に開催したい。お料理が得意なアイドルたちには今回のはクリスマスパーティの前哨戦にもなることだろうし、みんな仕事がどんどん増えて中々事務所に揃う機会も少ない。せっかくの機会だし、楽しんでもらえただろうか。とりあえず、スーパーの特売に勝利して肉を勝ち取って帰ろう。Wともふもふえんの皆にそう声をかけると任せて!と頼もしい返事。うちのアイドル達、本当に頼りになるなあ。
