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今家にいるか?と一希くんが急に電話をしてきた。いるよといったらこれから行くから待っててくれと言われ金曜ロードショーを見ながら待っていたら一希くんはすぐに来た。それで、玄関先で小さめの白い紙袋を渡された。思い出すのはあのお高い青い化粧瓶。
「ら、ランコムじゃん!」
「嫌いか?」
「えっ手が出ないだけですごく好き!」
「なら良かった。もらってくれ」
一希くんは黒い薄手のカーディガンを羽織り金のふちの細いメガネ、中は白いTシャツに黒い細身のパンツを合わせるという変装ファッションだった。お顔を隠すマスクは必需品で黒いのをするとすぐばれる、とかいって花粉症予防みたいに白いやつをいつもしている。ぱっと見いつもの一希くんとは服の系統が違うように見えるけど何を参考にしてるんだろう。前にいつもの一希くんと系統違うねって言ったらだから変装なんだって返された。なるほど。
中身の黒い筒には見覚えがある。トップにあしらわれた金のバラ、一番人気の口紅だ。開けてみると、口紅の赤はみずみずしく派手すぎず、わたしでも使えそう。大人っぽくておしゃれな服を着た時につけよう。一希くんにもよく見てもらいたくて手渡すとくるっと回して玄関のオレンジ色の明かりに翳し、慎重に蓋を閉めた。
「これどこで買ってくれたの?」
「帰りに伊勢丹を突っ切ろうとしたら化粧品のフロアで見かけたんだ。似合うだろうと思って……」
一希くんが名入れもあったんだがあまり好きな感じじゃなかったから入れなかったよと言ってわたしに返す。たしかにこの綺麗な黒い体に無遠慮な文字が入るのはいただけない。
「前のは名入れしてくれたもんね。ありがとう、すごく気に入っちゃった」
前にイブサンローランのめちゃくちゃかわいいリップをネットで頼んだ時は一緒に見てた一希くんが(私1人では迷いすぎて永遠にどの色か決まらなかったため)名入れのサービスに気づいてそれを提案してくれた。私はその文字を中学校英語の記憶のままに親愛なる名前へ、と思ったのだけど一希くんはちょっと微妙な顔をしてもう少し恋人らしい意味で受け取ってくれないかと言ったのが懐かしい。恥ずかしかったけど嬉しかった。
「明日一限からか?」
「ううん。午後に研究室に資料もらいに行くだけの予定。一希くんは?」
「夕方から」
「そっか……」
帰らないでほしいなあと思ったけど言い出し難く、一希くんも同じ気持ちだったらいいのにな。せっかく一希くんが来てくれてこんなにすてきなプレゼントをくれたのに玄関で話しただけでお別れしなくちゃなのは寂しい。
「あの、一希くん、今日は……」
ぎゅうと抱きしめられて言葉が途切れた。中途半端に持ち上げた両手の行き先に困り、おそるおそる背中に手を回し返す。
「帰らない」
「うん」
「そんなに可愛い名前を見たら、帰れないよ」
「えっ!」
どんな顔をしてたんだろう。一希くんは外したメガネをそっと玄関の鍵を置いてるスペースにのせ、帰りに忘れそうだとちょっと笑った。
「ら、ランコムじゃん!」
「嫌いか?」
「えっ手が出ないだけですごく好き!」
「なら良かった。もらってくれ」
一希くんは黒い薄手のカーディガンを羽織り金のふちの細いメガネ、中は白いTシャツに黒い細身のパンツを合わせるという変装ファッションだった。お顔を隠すマスクは必需品で黒いのをするとすぐばれる、とかいって花粉症予防みたいに白いやつをいつもしている。ぱっと見いつもの一希くんとは服の系統が違うように見えるけど何を参考にしてるんだろう。前にいつもの一希くんと系統違うねって言ったらだから変装なんだって返された。なるほど。
中身の黒い筒には見覚えがある。トップにあしらわれた金のバラ、一番人気の口紅だ。開けてみると、口紅の赤はみずみずしく派手すぎず、わたしでも使えそう。大人っぽくておしゃれな服を着た時につけよう。一希くんにもよく見てもらいたくて手渡すとくるっと回して玄関のオレンジ色の明かりに翳し、慎重に蓋を閉めた。
「これどこで買ってくれたの?」
「帰りに伊勢丹を突っ切ろうとしたら化粧品のフロアで見かけたんだ。似合うだろうと思って……」
一希くんが名入れもあったんだがあまり好きな感じじゃなかったから入れなかったよと言ってわたしに返す。たしかにこの綺麗な黒い体に無遠慮な文字が入るのはいただけない。
「前のは名入れしてくれたもんね。ありがとう、すごく気に入っちゃった」
前にイブサンローランのめちゃくちゃかわいいリップをネットで頼んだ時は一緒に見てた一希くんが(私1人では迷いすぎて永遠にどの色か決まらなかったため)名入れのサービスに気づいてそれを提案してくれた。私はその文字を中学校英語の記憶のままに親愛なる名前へ、と思ったのだけど一希くんはちょっと微妙な顔をしてもう少し恋人らしい意味で受け取ってくれないかと言ったのが懐かしい。恥ずかしかったけど嬉しかった。
「明日一限からか?」
「ううん。午後に研究室に資料もらいに行くだけの予定。一希くんは?」
「夕方から」
「そっか……」
帰らないでほしいなあと思ったけど言い出し難く、一希くんも同じ気持ちだったらいいのにな。せっかく一希くんが来てくれてこんなにすてきなプレゼントをくれたのに玄関で話しただけでお別れしなくちゃなのは寂しい。
「あの、一希くん、今日は……」
ぎゅうと抱きしめられて言葉が途切れた。中途半端に持ち上げた両手の行き先に困り、おそるおそる背中に手を回し返す。
「帰らない」
「うん」
「そんなに可愛い名前を見たら、帰れないよ」
「えっ!」
どんな顔をしてたんだろう。一希くんは外したメガネをそっと玄関の鍵を置いてるスペースにのせ、帰りに忘れそうだとちょっと笑った。
