神速一魂
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「名前!!今度の仕事フランスに行くことになった!!!」
「えっすごいね!」
テレビ局でたまたますれ違った朱雀くんは興奮した様子で私の手を掴んでお仕事の報告をしてくれた。バレンタインフェアのお仕事も決まっているそうで忙しそうなのに元気で、それもすごい。オーラがぴかぴかしている。
「それで……いつからなの?」
「確か……週明けからいって、バレンタイン前に戻ってきてそしたら玄武たちとバレンタインの仕事って感じだな!」
「へ、へぇ~~」
じゃあチョコあげられないじゃん!!!!会う暇ないじゃん!!!!私の微妙な返事と心の叫びに朱雀くんは全く気づかないでにこにこしてて「名前は?確か今年バレンタインイベントに出るよな?あっ今日衣装チョコみてぇなのはそういうことか!」なんて言ってる。
「……か」
「あ?名前、腹でもいてぇのか?」
「馬鹿じゃないの!?!?朱雀くんなんて知らない!嫌い!!!!フランスでもブラジルでも南極でもどこでも勝手に行けば!!」
「おい名前!」
馬鹿馬鹿これだからデリカシーのない脳筋ヤンキーは!バレンタインもうすぐだね、どういうのがいいかなあなんて先週話したのもどうせすっかり忘れて、どうせ、事務所にチョコが届き始めて女子から俺にか!?なんて驚いて私のことなんてすっかり頭の隅っこにやってしまったに違いない。あのままいってたらそういうファンからチョコもらった!なんて言葉が朱雀くんの口から聞かされる羽目になってたかも。朱雀くん自身は女子に対して弱々な感じとはいえ女の子のファンも普通にいるのはわかってる。でもやだ!!朱雀くんがチョコもらったとか聞くの絶対やだ!!
@@@
私の葛藤をよそに朱雀くんはめちゃめちゃ忙しそうだった。ばたばたとフランスに行き、戻ってきたらバレンタインのお仕事。私も今年はバレンタインフェスに出てるからその忙しさはよくわかる。
私といえば毎日寒いのにチョコレートカラーの衣装を着て歌ったり、ファンの人たちにチョコをあげるお渡し会に出たり。長い間並んで待っていてくれたファンの指は冷たくて、私もこうやって朱雀くんにチョコあげたかったなあって涙が出そうになった。歌を歌っていてもラブラブな歌詞が恨めしい。
チョコ、1番にあげたかったなあ。ドキドキしながら買ったチョコはもったいなくて捨てることも食べることもできなくて部屋に置いてある。お部屋にいたら突然インターホンが鳴った。赤毛がモニターに映って大慌てで玄関のドアを開ける。
「ど、どうしたのその荷物」
「おう、フランスってすげーな!なんでも売っててよ」
「へ、へえ~」
久しぶりに会えてほんとはすごく嬉しいのに朱雀くんはいたっていつも通りだった。
朱雀くんはそうして一個ずつ袋から出して床におろして並べてこれがマルセイユ石けん、マリーアントワネットのやつ、ナントカっていうとこの香水、有名なとこの紅茶、口に塗るやつ、顔に塗るやつ、これも多分口に塗る、オーシツゴヨータシのチョコ……と1つずつイマイチ要領を得ない説明をした。
「あとこれが、マカロン」
ずっと担いでいた帽子箱みたいなそれをそおっと私に差し出して朱雀くんはがばりと頭を下げた。
「悪かった!」
「なに!」
「オレほんとーっに自分じゃ名前がどうして怒ったのかもわかんねぇし、仕事があったら一緒にいられねぇ……ごめんなあ」
頭だけあげて顔を見るといつもは元気な眉毛が珍しく下がっている。大量のお土産はお詫びの品というわけらしい。朱雀くんがこんな女子好みなお土産を選ぶのは想像がつかないから玄武くんや一緒にお仕事をしたお兄さんたちのセレクトだろう。
「……私もね、今年バレンタインのお仕事してたでしょ。ファンの人たちにチョコ、手渡して」
「ああ」
「ほんとは一番に朱雀くんに渡したかった!それで怒ってたの!なのに、こんなお土産いっぱい買ってきて……」
「お、おう!」
「ばか!ほんとばか!すっごく嬉しいけどこんなに山ほど甘いもの食べたら衣装入らなくなっちゃう!」
「……!」
「これ食べて!それでフランスの話して!それで今日は早く帰って寝て!」
「おう!」
「……あとごめん……勝手にやきもち焼いて勝手に拗ねた……」
「そんくらいわかってらぁ」
朱雀くんはぱっと笑顔になってバタバタとごつい靴を脱いだ。お土産をまたまとめて廊下に上がる。
だいたい私たちが喧嘩するとき私が朱雀くんにどうしようもないことで怒って朱雀くんはそれに怒ることもあるけど最後は優しいからわかってらぁの一言で大好きな笑顔を見せて許してくれる。色とりどりのマカロンは、何個入りだっけ。あんなに大きな箱なら今日じゃ食べきれないし、バレンタインのお仕事が終わってまたお家デートの時用に取っておこうかな。
「名前!早くこいよ!」
お湯を沸かして朱雀くんのくれた紅茶を早速淹れよう。それで楽しかった話をいっぱい聞いて、それで私の話も聞いてもらってもう一回ごめんなさいって謝ってそしたら、今度こそチョコを渡そう。手洗いうがいが先でしょ!って笑う私の声がすごく明るくてなんだかそれがちょっとだけ恥ずかしい。
「えっすごいね!」
テレビ局でたまたますれ違った朱雀くんは興奮した様子で私の手を掴んでお仕事の報告をしてくれた。バレンタインフェアのお仕事も決まっているそうで忙しそうなのに元気で、それもすごい。オーラがぴかぴかしている。
「それで……いつからなの?」
「確か……週明けからいって、バレンタイン前に戻ってきてそしたら玄武たちとバレンタインの仕事って感じだな!」
「へ、へぇ~~」
じゃあチョコあげられないじゃん!!!!会う暇ないじゃん!!!!私の微妙な返事と心の叫びに朱雀くんは全く気づかないでにこにこしてて「名前は?確か今年バレンタインイベントに出るよな?あっ今日衣装チョコみてぇなのはそういうことか!」なんて言ってる。
「……か」
「あ?名前、腹でもいてぇのか?」
「馬鹿じゃないの!?!?朱雀くんなんて知らない!嫌い!!!!フランスでもブラジルでも南極でもどこでも勝手に行けば!!」
「おい名前!」
馬鹿馬鹿これだからデリカシーのない脳筋ヤンキーは!バレンタインもうすぐだね、どういうのがいいかなあなんて先週話したのもどうせすっかり忘れて、どうせ、事務所にチョコが届き始めて女子から俺にか!?なんて驚いて私のことなんてすっかり頭の隅っこにやってしまったに違いない。あのままいってたらそういうファンからチョコもらった!なんて言葉が朱雀くんの口から聞かされる羽目になってたかも。朱雀くん自身は女子に対して弱々な感じとはいえ女の子のファンも普通にいるのはわかってる。でもやだ!!朱雀くんがチョコもらったとか聞くの絶対やだ!!
@@@
私の葛藤をよそに朱雀くんはめちゃめちゃ忙しそうだった。ばたばたとフランスに行き、戻ってきたらバレンタインのお仕事。私も今年はバレンタインフェスに出てるからその忙しさはよくわかる。
私といえば毎日寒いのにチョコレートカラーの衣装を着て歌ったり、ファンの人たちにチョコをあげるお渡し会に出たり。長い間並んで待っていてくれたファンの指は冷たくて、私もこうやって朱雀くんにチョコあげたかったなあって涙が出そうになった。歌を歌っていてもラブラブな歌詞が恨めしい。
チョコ、1番にあげたかったなあ。ドキドキしながら買ったチョコはもったいなくて捨てることも食べることもできなくて部屋に置いてある。お部屋にいたら突然インターホンが鳴った。赤毛がモニターに映って大慌てで玄関のドアを開ける。
「ど、どうしたのその荷物」
「おう、フランスってすげーな!なんでも売っててよ」
「へ、へえ~」
久しぶりに会えてほんとはすごく嬉しいのに朱雀くんはいたっていつも通りだった。
朱雀くんはそうして一個ずつ袋から出して床におろして並べてこれがマルセイユ石けん、マリーアントワネットのやつ、ナントカっていうとこの香水、有名なとこの紅茶、口に塗るやつ、顔に塗るやつ、これも多分口に塗る、オーシツゴヨータシのチョコ……と1つずつイマイチ要領を得ない説明をした。
「あとこれが、マカロン」
ずっと担いでいた帽子箱みたいなそれをそおっと私に差し出して朱雀くんはがばりと頭を下げた。
「悪かった!」
「なに!」
「オレほんとーっに自分じゃ名前がどうして怒ったのかもわかんねぇし、仕事があったら一緒にいられねぇ……ごめんなあ」
頭だけあげて顔を見るといつもは元気な眉毛が珍しく下がっている。大量のお土産はお詫びの品というわけらしい。朱雀くんがこんな女子好みなお土産を選ぶのは想像がつかないから玄武くんや一緒にお仕事をしたお兄さんたちのセレクトだろう。
「……私もね、今年バレンタインのお仕事してたでしょ。ファンの人たちにチョコ、手渡して」
「ああ」
「ほんとは一番に朱雀くんに渡したかった!それで怒ってたの!なのに、こんなお土産いっぱい買ってきて……」
「お、おう!」
「ばか!ほんとばか!すっごく嬉しいけどこんなに山ほど甘いもの食べたら衣装入らなくなっちゃう!」
「……!」
「これ食べて!それでフランスの話して!それで今日は早く帰って寝て!」
「おう!」
「……あとごめん……勝手にやきもち焼いて勝手に拗ねた……」
「そんくらいわかってらぁ」
朱雀くんはぱっと笑顔になってバタバタとごつい靴を脱いだ。お土産をまたまとめて廊下に上がる。
だいたい私たちが喧嘩するとき私が朱雀くんにどうしようもないことで怒って朱雀くんはそれに怒ることもあるけど最後は優しいからわかってらぁの一言で大好きな笑顔を見せて許してくれる。色とりどりのマカロンは、何個入りだっけ。あんなに大きな箱なら今日じゃ食べきれないし、バレンタインのお仕事が終わってまたお家デートの時用に取っておこうかな。
「名前!早くこいよ!」
お湯を沸かして朱雀くんのくれた紅茶を早速淹れよう。それで楽しかった話をいっぱい聞いて、それで私の話も聞いてもらってもう一回ごめんなさいって謝ってそしたら、今度こそチョコを渡そう。手洗いうがいが先でしょ!って笑う私の声がすごく明るくてなんだかそれがちょっとだけ恥ずかしい。
