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プロデューサーさんが結婚すると決まった時、事務所は本当にお祭り騒ぎになった。泣いてる子もいて、その涙はきっとお祝いの涙だけじゃなくて。それでもみんなが大好きな人の結婚をお祝いした。
私も、嬉しかった。あんなに幸せそうなプロデューサーさん見たことがなかったから。
「春香?そこにいる?」
ドキドキしながらリボンで彩られたドアに手をかけてゆっくりと開ける。深呼吸、深呼吸。
「プロデューサーさん、入りますね!」
ドアを開けた先には優しい笑顔、でもどこか緊張した様子のプロデューサーさんが座っていた。いつも黒いスーツばかりだから白い衣装は新鮮だった。
「プロデューサーさん、あんまりそわそわしてるとみっともないですよ!」
「ああ、そうだよね。でも緊張しちゃって……」
アイドルみんなの本番前とはまた違った緊張なんだよ、自分のことでこんなに緊張したの試験以来だよ。とプロデューサーさんがいってもう、落ち着いてください!と私がなだめる。いつもと逆、だった。
「なら私、式が始まるまでの話し相手になってもいいですか?みんなはお仕事してるけど、実は私、本番までは暇なんです」
「本当に?そっか、春香はブライズメイドだから仕事割り振られなかったんだね」
「そうなんです、花嫁さん…も今多分事務所の人たちとお話ししてるみたいで、私こっちにきちゃいました」
「あ、どうせ天ヶ瀬冬馬だろ」
「ふふ、冬馬くんもいましたけどジュピターの3人でしたよ」
「あいつら……絶対俺より先に花嫁姿見たって自慢しにくるぞ」
今日は私たちの大好きなプロデューサーさんの結婚式。花嫁さんとして紹介されたのはよその事務所のプロデューサーさんだった。
同じお仕事してるもの同士初めて会った時から意気投合して、それがいつしか信頼と愛情に変わったのだろう。憧れるくらい、素敵な関係だった。本当に、夢みたいに素敵な。
プロデューサーさんの担当アイドルである私は、結婚を報告される前にも何度か彼女と会っていて、優しくて元気でそれでいて聡明な彼女を大好きになった。
結婚が決まって、彼女のことだからたくさんお友達もいるだろうに私にブライズメイドのリーダーになってくれないかなと恥ずかしそうに伝えた彼女は、年上の人なのに本当にかわいらしかった。かわいいアイドルなら周りにたくさんいるし、恥ずかしながら私だってかわいいねって褒められることの多いアイドルだけど、それでも幸せな女性はこんなにかわいいんだってびっくりするくらいに。
「春香もドレス似合ってるな。ウェディングドレスだってきっと似合うけど今日のピンクのドレスもすごくかわいいよ」
「……ありがとう、ございます」
廊下を歩く革靴の音がして、北斗さんと翔太くんの声がした。冬馬くんの声は聞こえないから、きっと花嫁さんの元に残ったのだろう。
冬馬くんはプロデューサーさんとはかつて決していい関係ではなかったらしいけど今ではグルームズマンのリーダーを頼まれるくらいには親しいらしかった。きっと私と花嫁さんがそうだったのと同じ様に頼まれたのだろう。
冬馬くんは、苦しくなかったのかな。きっと彼も彼のプロデューサーさんが大切で、好きで、それなのに彼女が別の男の人の元に行ってしまうのに、どんな気持ちで引き受けたのだろう。
「プロデューサーさん、あの」
「どうした?春香」
プロデューサーさんはいつもみたいに優しくニコニコ笑って私の言葉を待った。緊張してるみたいで、手は震えていたけどそれでもいつもの優しい私の大好きなプロデューサーさんだった。
「結婚しても、変わらずにプロデュースしてくれますよね?ずっと、お仕事してくれるんですよね、」
「当たり前だよ。俺はずっと春香のプロデューサーだよ。たとえ社長にクビだって言われても春香にいらないって言われても俺は春香のプロデューサーでいたいんだ」
春香にいらないって言われたらショックで寝込むかもしれないけど、とプロデューサーさんがわらった。
私はそれを聞いて溢れそうな涙を、どうにかして止めたかった。
花嫁さんにはベールがあっても、ブライズメイドの私には涙を隠すベールはないから、どうにかして止めたくて唇を噛んだ。……どうして、私はプロデューサーさんの1番のアイドルになれても、お嫁さんにはなれないんだろう。
前だって、私だけは1番になったって、プロデューサーさんに選んでもらえなかったのに、どうして、今度こそ私も最後には選んでもらえるように頑張ったのに。アイドルになりたかった。アイドルに憧れて1番のアイドルになりたかった。でも、プロデューサーさんを好きで選ばれたい気持ちだって嘘じゃなかったのに。
ぐるぐると頭の中がかき混ぜられるような感じがして、涙がぽとりと爪先に落ちた。花嫁さんとは違う短いスカートだから磨かれた薄いピンク色のハイヒールがキラリと光った。
「春香?どうしたんだ?」
「プロデューサーさん、次こそ、本当に次こそは、私を選んでくださいね」
泣きの演技のお仕事の時だって、もうちょっと上手に言えたかもしれない。絞り出した言葉は涙交じりで、到底前なんて向けなかった。
「春香、お前まさか」
「結婚、おめでとうございます、プロデューサーさん!これからもプロデュースよろしくお願いしますね」
意を決して顔を上げると俺のこと、好きだったのか、ってプロデューサーさんが息だけで囁いた気がした。
そんな言葉、絶対に聞きたくなかった。聞いたら本当に何もかも全部壊れちゃうんじゃないかって予感がしたから、聞こえないふりをして。
プロデューサーさんは涙をたたえてそれでも一生懸命結婚を祝福して笑う私を見て、一生忘れないで、それで、いつか私が誰かと結ばれたときの花嫁姿を見て誰よりも、世界で1番綺麗だって褒めてくれれば、それでいいの。だって私は……私は、プロデューサーさんの1番のアイドルだから。
私も、嬉しかった。あんなに幸せそうなプロデューサーさん見たことがなかったから。
「春香?そこにいる?」
ドキドキしながらリボンで彩られたドアに手をかけてゆっくりと開ける。深呼吸、深呼吸。
「プロデューサーさん、入りますね!」
ドアを開けた先には優しい笑顔、でもどこか緊張した様子のプロデューサーさんが座っていた。いつも黒いスーツばかりだから白い衣装は新鮮だった。
「プロデューサーさん、あんまりそわそわしてるとみっともないですよ!」
「ああ、そうだよね。でも緊張しちゃって……」
アイドルみんなの本番前とはまた違った緊張なんだよ、自分のことでこんなに緊張したの試験以来だよ。とプロデューサーさんがいってもう、落ち着いてください!と私がなだめる。いつもと逆、だった。
「なら私、式が始まるまでの話し相手になってもいいですか?みんなはお仕事してるけど、実は私、本番までは暇なんです」
「本当に?そっか、春香はブライズメイドだから仕事割り振られなかったんだね」
「そうなんです、花嫁さん…も今多分事務所の人たちとお話ししてるみたいで、私こっちにきちゃいました」
「あ、どうせ天ヶ瀬冬馬だろ」
「ふふ、冬馬くんもいましたけどジュピターの3人でしたよ」
「あいつら……絶対俺より先に花嫁姿見たって自慢しにくるぞ」
今日は私たちの大好きなプロデューサーさんの結婚式。花嫁さんとして紹介されたのはよその事務所のプロデューサーさんだった。
同じお仕事してるもの同士初めて会った時から意気投合して、それがいつしか信頼と愛情に変わったのだろう。憧れるくらい、素敵な関係だった。本当に、夢みたいに素敵な。
プロデューサーさんの担当アイドルである私は、結婚を報告される前にも何度か彼女と会っていて、優しくて元気でそれでいて聡明な彼女を大好きになった。
結婚が決まって、彼女のことだからたくさんお友達もいるだろうに私にブライズメイドのリーダーになってくれないかなと恥ずかしそうに伝えた彼女は、年上の人なのに本当にかわいらしかった。かわいいアイドルなら周りにたくさんいるし、恥ずかしながら私だってかわいいねって褒められることの多いアイドルだけど、それでも幸せな女性はこんなにかわいいんだってびっくりするくらいに。
「春香もドレス似合ってるな。ウェディングドレスだってきっと似合うけど今日のピンクのドレスもすごくかわいいよ」
「……ありがとう、ございます」
廊下を歩く革靴の音がして、北斗さんと翔太くんの声がした。冬馬くんの声は聞こえないから、きっと花嫁さんの元に残ったのだろう。
冬馬くんはプロデューサーさんとはかつて決していい関係ではなかったらしいけど今ではグルームズマンのリーダーを頼まれるくらいには親しいらしかった。きっと私と花嫁さんがそうだったのと同じ様に頼まれたのだろう。
冬馬くんは、苦しくなかったのかな。きっと彼も彼のプロデューサーさんが大切で、好きで、それなのに彼女が別の男の人の元に行ってしまうのに、どんな気持ちで引き受けたのだろう。
「プロデューサーさん、あの」
「どうした?春香」
プロデューサーさんはいつもみたいに優しくニコニコ笑って私の言葉を待った。緊張してるみたいで、手は震えていたけどそれでもいつもの優しい私の大好きなプロデューサーさんだった。
「結婚しても、変わらずにプロデュースしてくれますよね?ずっと、お仕事してくれるんですよね、」
「当たり前だよ。俺はずっと春香のプロデューサーだよ。たとえ社長にクビだって言われても春香にいらないって言われても俺は春香のプロデューサーでいたいんだ」
春香にいらないって言われたらショックで寝込むかもしれないけど、とプロデューサーさんがわらった。
私はそれを聞いて溢れそうな涙を、どうにかして止めたかった。
花嫁さんにはベールがあっても、ブライズメイドの私には涙を隠すベールはないから、どうにかして止めたくて唇を噛んだ。……どうして、私はプロデューサーさんの1番のアイドルになれても、お嫁さんにはなれないんだろう。
前だって、私だけは1番になったって、プロデューサーさんに選んでもらえなかったのに、どうして、今度こそ私も最後には選んでもらえるように頑張ったのに。アイドルになりたかった。アイドルに憧れて1番のアイドルになりたかった。でも、プロデューサーさんを好きで選ばれたい気持ちだって嘘じゃなかったのに。
ぐるぐると頭の中がかき混ぜられるような感じがして、涙がぽとりと爪先に落ちた。花嫁さんとは違う短いスカートだから磨かれた薄いピンク色のハイヒールがキラリと光った。
「春香?どうしたんだ?」
「プロデューサーさん、次こそ、本当に次こそは、私を選んでくださいね」
泣きの演技のお仕事の時だって、もうちょっと上手に言えたかもしれない。絞り出した言葉は涙交じりで、到底前なんて向けなかった。
「春香、お前まさか」
「結婚、おめでとうございます、プロデューサーさん!これからもプロデュースよろしくお願いしますね」
意を決して顔を上げると俺のこと、好きだったのか、ってプロデューサーさんが息だけで囁いた気がした。
そんな言葉、絶対に聞きたくなかった。聞いたら本当に何もかも全部壊れちゃうんじゃないかって予感がしたから、聞こえないふりをして。
プロデューサーさんは涙をたたえてそれでも一生懸命結婚を祝福して笑う私を見て、一生忘れないで、それで、いつか私が誰かと結ばれたときの花嫁姿を見て誰よりも、世界で1番綺麗だって褒めてくれれば、それでいいの。だって私は……私は、プロデューサーさんの1番のアイドルだから。
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